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COLDCUT インタビュー/LOUD144号

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創造的ビデオ・クリップとリミックス作品を一挙放出


 今年、約9年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Sound Mirrors』をリリースして話題をさらった、UKブレイクビーツ・ミュージックのパイオニア、コールドカット。彼らが、そのアルバム全曲をビデオ作品化したPV集とリミックス作品をまとめたコンピレーション『Sound Mirrors Videos + Remixes』
(DVD+CD)をリリースした。
 DVDに収録されたPV作品は、各曲をそれぞれ異なる監督に託し、同予算内で自由に映像をつけてもらったものだという。一般的なPVでは見られないアーティスティックな作品ばかりで、各監督の個性が楽しめる。一方、CDのほうでは、新人や旬のアーティストによる大胆なリミックス作品を聴くことができる。ダンサブルなフロアキラーが目白押しで、非常に興味深い。
 本作が生まれた背景について、コールドカットのジョナサン・モアから話を聞いた。




part 1 : DVD
監督には“リミキサーと同じ立場で作品をつくってほしい”とお願いした。


—アルバム『Sound Mirrors』に収録されている全11曲のPVを、それぞれ異なる映像ディレクターに依頼してつくりあげるのは、大変な仕事ではありませんでしたか?
「面白いプロジェクトだったよ。PV制作の発注という意味では、普通のルートをたどらなかったからね。普通は、レコード会社が一曲につき五、六人の監督をピックアップして、全員に絵コンテや“宣伝文句”の提出をお願いするんだ。そこから一名にしぼって、その人にMTVや他のTV番組でかかりやすいと思う映像をつくらせる。つまり譲歩の連続なんだよ。こういうプロセスだと、“素晴しい作品”はできなくて、“そこそこの作品”しか生まれない。ポップ・ミュージックのビデオを見ているとわかるよね。どれも似たり寄ったりでしょ?」
—たしかにそうですね。
「だから、僕らは別のルートをとったのさ。監督に音楽を聴いてもらって、そのうえでアイディアを出してもらったんだ。選んだ監督は、一曲につき一人だ。結果的に上手くいかない可能性もあったわけで、かなりラディカルな方法だったね。それから、監督には“リミキサーと同じ立場で作品をつくってほしい”とお願いしたんだ。印税を受け取ってもらうというオファーで、これも普通の経済モデルとは異なっていた。結果、できあがった作品にはすごく満足しているよ。上手くいったと思う。パワフルだったり、感動的だったり、笑えたりする作品ができた。全作品がオリジナリティにあふれている」
—各監督は、どうやって選んだのですか?
「今回起用した監督の多くは、コミッショナー(PV依頼・発注の担当者)のヴェズ(VEZ)が見つけてくれたんだ。例えば、「A Whistle & A Prayer」は僕のお気に入りなんだけど、その監督ウーフ・ワン・バウ(Woof Wan-Bau/aka Joji Koyama)も、彼女が紹介してくれたうちの一人だね。彼はフォー・テットの素晴しい作品を手がけているから、依頼することにしたんだ」
—ほかに注目して欲しい監督はいますか?
「「Colours The Soul」のPVも面白いね。監督のダイアン・ハリスは、僕らと一緒に様々なサイド・プロジェクトをやっているアーティストなんだ。クリエイティヴな女性で、ニューヨークやロンドンの水族館でヴィデオ・インスタレーションをやったり、彫刻もやっている。で、依頼したら、自分の絵をフィーチャーした、ハンドメイド感あふれる作品をつくってきてくれた。すごく美しい、今まで見たこともないような独特の作品をね。これは、彼女にとって初めてのPV作品なんだ」
—コールドカットは、この作品に限らず、いろいろな場面で映像を重視してきましたよね。あなた達にとって映像は、なぜそんなに魅力的なのでしょう?
「理由はいくつかあるけど、最大の理由は、僕らが耳と目の両方を持っているということだね。それに、クラブでのヴィジュアル・ワークには歴史がある。僕らはロンドンで育って、ずっとダンス・ミュージックやクラブ・シーンを見てきたけど、ライト・ショー(光の芸術)はいつも音楽と共にあった。アメリカでも、例えばポスターに“Jimi Hendrix”と書いてあったら、同じ大きさでその下に“Light Show”と書いてあったりするだろう? つまり、昔から音楽と視覚は切り離せないものだったのさ。ダンス・ミュージックでは特にその傾向が強い。DJやライブをするときに映像を使うと、オーディエンスをもっと楽しませてあげられる気分になるんだ。映像をつくり、それを一緒に楽しむことで、ショー自体がもっと面白くなると思うね」


part 2 : REMIXES
僕は、スイッチのセンスがとても好きなんだ。


—『Sound Mirrors』のリミックス集では、リミキサーにティガ、スウィッチ、レモン・ジェリーといった、予想外のアーティストが起用されていて驚きました。どのような基準で、彼らを選んでいったのですか?
「ニンジャ・チューンの全員でミーティングをしたんだ。そこで、アイディアを出しあったり、みんなで好きなアーティスト名を挙げたりしたのさ。あと、マットと僕はシーンで活躍しているいろんなアーティストの作品を聴いて、そこから絞り込んでもいった。だから、リミキサーは、知り合いのアーティストと推薦してもらったアーティストのコンビネーションになっているんだ。ティガとは数年前にカナダで知り合って、二人とも大好きだから選んだのさ。レモン・ジェリーも、二人とも大好きだったから選んだ。いつも面白い作品をつくるから、きっと驚かせてくれるだろうと思ってね」
—スパンク・ロック、ディーダラス、DJケンタロウ、ケミスツら、ニンジャ・チューン所属アーティストに関しても同様ですか?
「ケミスツの起用には面白い話があるよ。バンド・メンバーの一人が、僕らのところでインターンをやっていたんだ。で、彼らがロック・ジャングルみたいな音楽をやっているのを知っていたから、インターンが終わったときに“リミックスをやってみないか?”と聞いてみたんだ。彼らは、素晴しい作品をつくってくれたよ」
—では、そんなリミックス作品の中で、あなたが一番気に入っているのはどれですか?
「好みを口にすると気まずいんだけど(笑)、一番面白いのはスウィッチの作品だと思う。僕は、スウィッチのセンスがとても好きなんだ。あと、スナップ・アントの「Man in a Garage」も最高だった。うちのアーティストで言えば、スパンク・ロックが“注目の忍者”だと言えるかな」
—ところで、『Sound Mirrors』の楽曲に混じって、かの大ヒット曲「People Hold On」のリミックスが収録されていますね。これは、どういう経緯で実現したのでしょうか?
「もともとは、“この曲をライブでやれないか”という話から始まったんだ。 一度もやったことがなかったからね。で、ツアーのとき、ヴォーカリストの二人が素晴しい声の持ち主だったから、やってみようと思ったんだ。その際、トラックはちゃんとアップデートしようということになって、知り合いだったカジュアルズにバック・トラックをお願いしたのさ。その過程で、オリジナル・ヴォーカルを使ってできたのが、このリミックスなんだよ」


interview & text FUMINORI TANIUE
translation YOKO OSAWA