FELIX DA HOUSECAT

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FELIX DA HOUSECAT インタビュー/LOUD154号

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ニューエレクトロの先駆者による、新型エレクトロ・ポップ


 シカゴ・ハウス第二世代としてシーンに登場したフェリックス・ダ・ハウスキャットは、'90年代前半から数々のクラブ・ヒットを世に送り出してきた、才能豊かなクリエイターだ。いち早く'80sタッチの音を導入するようになった彼は、'01年の『Kittenz And Thee Glitz』で見事大ブレイク。エレクトロクラッシュ・ブームの火付け役となり、その後のシーンに大きな影響を与えている。
 『ヴァーゴ・ブラックトロ + ザ・ムービー・ディスコ』は、そんな彼の最新アルバムだ。ジェームズ・マーフィーらの参加で話題を呼んだ前作『Devin Dazzle & The Neon Fever』以来、約3年半ぶりとなる本作。ゲスト・アーティストに頼った曲づくりを避け、必要最低限のメンバーと共につくり出したサウンドからは、彼のルーツに根ざした、新の意味でのエレクトロ・ポップ・フィーリングが伝わってくる。
 本作の背景とそこに込めた想いについて、フェリックス・ダ・ハウスキャットから話を聞いた。


俺は自分のルーツである“ブラックトロ=ブラック・エレクトロニック”を表現したかったんだ。
コンテンポラリー・エレクトロニック・ディスコをね。


——新作『ヴァーゴ・ブラックトロ + ザ・ムービー・ディスコ』は、バルセロナでレコーディングしたそうですね。バルセロナは、どんなところでしたか?
「バルセロナは、俺が最も気に入っている街のひとつなんだ。天気もいいし、文化もいい。人もリラックスしていて優しい。インスピレーションを与えてくれる街だよ。バルセロナには、MOVIE DISCOというスタジオを持っている友達がいてね。彼が“ここに来て、普段の環境とは違うところでゆっくり仕事をしたら”ってすすめてくれたんだ」

——アレイン・BCをパートナーにしてアルバム制作を進めたそうですね。彼はどのような人物なんですか?
「今回のアルバムで、アレインはプログラマー/エンジニアとして作業をしてくれたんだ。いくつかの曲では一緒に曲づくりもしたよ。5年くらい前にジュニア・ジャックから紹介されたんだ。ベルギー人で、テクノロジー面においてはエキスパートだね。俺の好きなサウンドを知り尽くしているから、作業も早い。『Devin Dazzle & The Neon Fever』や『Kittenz And Thee Glitz』のときは、ほぼ全てを自分でやっていたけど、俺はコンピュータの前でじっと座っていられないタチなんだ(笑)。だから、今作では別のエンジニアにミックスしてほしかったのさ

——ダラス・オースティンも参加していていますが、彼は何を手伝ってくれたんですか?
「このアルバムがもう完成するという頃、パフィー(パフ・ダディ)のクルーザー・パーティーで、ダラスと会ったんだ。そうしたら“アトランタに来いよ”って言ってくれてね。ダラスのエンジニア二人とアルバム全体をミックスし直しすことになったんだ。彼は、自分のスタジオを自由に使わせてくれたよ。俺のコーチのような存在だね。ダラスの世界から出るエネルギーを、充分吸収させてもらったな」

——豪勢な話ですね〜。音楽的には、あなたの愛して止まないエレクトロ・ポップ・サウンドをベースにしつつ、ソングライティングに重きを置いた曲が多いように感じました。曲づくりで意識したことは何でしたか?
「ソングライティングを重視したことは確かだね。今作では、メロディや曲の構成にフォーカスを置いたんだ。「Monkey Cage」なんかは、ずっとメロディが頭の中を回っていて、半年くらい離れなかった。今作は、周囲を気にせず、自分がつくりたいと思うものをつくった初めてのアルバムだよ。そこで、俺は自分のルーツである“ブラックトロ=ブラック・エレクトロニック”を表現したかったんだ。コンテンポラリー・エレクトロニック・ディスコをね。クールなメロディとおかしなノイズを、同時に楽しんでほしい」

——“ブラックトロ”を表現したくなったのは、なぜですか?
「俺の親父はサックス奏者だったんだけど、マーヴィン・ゲイやスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンといったクールなブラック・ミュージックを聴かせて、俺を育ててくれた。その親父があるとき、“おまえはヨーロッパ風の音楽ばかりをつくっていて、これまでに一つもブラック・ミュージックをつくっていない。ブラックなレコードをつくれ!”って言ったんだ。“はぁ?何のこと?”って思ったけど、2年くらいその言葉が脳裏に焼き付いて離れなかった。それで、ブラックトロを表現したくなったのさ。'70年代後半から'80年代前半にあった、あのセクシーなディスコ時代の感覚をね。あのグルーヴ感、スウィング、ベースライン...」

——考えるとワクワクしてきますね。
「今作での俺は、“ヴァーゴ・ブラックトロ”というキャラクターなんだ。“ヴァーゴ”は、俺が乙女座だから付けた。で、“ザ・ムービー・ディスコ”は、ジョン・カーペンターのSF映画のようなイメージさ。あとは、ジョージ・マイケルやデュラン・デュランといった、MTVのイメージも欲しかったね。俺にとっては、彼らの音もクールなブラック・ミュージックだから。要するに、“白人ポップ・ミュージックのブラックトロな面”だな。その要素が「Lookin’ My Best」や「Monkey Cage」に反映されていると思う」

——なるほど。確かに、彼らの音楽のベースにはブラック・ミュージックがありますね。
「よく、“このアルバムをつくるのは楽しかったでしょう?”って言われるよ。新作には、以前よりも暖かみがあって、違ったフィーリングがあるらしいね。しかも、先週、俺の弟が車の中でこのアルバムをかけたら、親父が知らずに“コレいいね!オリジナルでクールじゃないか!”って言ったらしいんだ。で、弟が“あなたの長男がつくったものだけど”って言ったら、親父は“ウソだろ? ついにやったな!”と言ったそうだ。親父が気にいってくれたというのは、最高の賞賛だね」

——つくった甲斐がありましたね! では、最後の質問です。昨今のニューエレクトロ・アーティストがつくる音楽には、どのような印象を持っていますか? ある意味で、あなたが『kittenz & Thee Glitz』で切り開いたサウンドの子供達だと思うのですが。
「デジタリズムやクラクソンズは大好きさ。DJでは、彼らのレコードをかけているよ。彼らがやっていることは、とても面白いと思う。最高だよ。エレクトロなんだけど、ロックでもあるね。だから『kittenz & Thee Glitz』と『Devin Dazzle & The Neon Fever』をマッシュアップしたらこんな音になるのかな、とも思った(笑)。それぞれが独自でユニークなサウンドを持っているから、ジャスティスとデジタリズムを比較すべきじゃないし、ニュー・レイヴみたいな言葉で一括りにするのも良くないよ」


Interview & text Nori Taniue
translation Eriko Hase