HOLDEN インタビュー/LOUD144号
孤高のエレクトロニック・アーティスト
何時間も演奏したライブの中で、ほんの一瞬ひらめいた音などを使っている。
HOLDEN.
The Idiots Are Winning
(JPN) BORDER COMMUNITY / CISCO / BCCDJ-002
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2003年の創立時から、ジャンルレスなエレクトロニック・ミュージックをリリースしつづけ、高い評価を獲得しているBORDER COMMUNITY。クラブシーンにおいて、今もっとも注目されているレーベルの一つだ。そのBORDER COMMUNITYを主宰し、頂点に君臨しているジェームス・ホールデンが、ホールデン名義で待望のフル・アルバムをリリースした。
「本当はアルバムにすることは考えていなくて、ここ2年間の活動を総括する作品として、EPをつくるつもりだったんだ。でも、EPにするには少しトラックが多すぎたからアルバムにしたのさ。だからほとんどの部分は、計画的にゆっくり練り上げられたものではないよ。何時間も演奏したライブの中で、ほんの一瞬ひらめいた音などを使っている」
音づくりでは、フリー・ソフトのBUZZをメインで使用したそうだ。
「BUZZは、お金がない時期に使っていたんだけど、良いとわかってからはずっと使っている。BUZZの一番重要なポイントは、とてもオーガニックなソフトだということ。使っていると、シンセのネットワークやエフェクトが、素早く一人歩きするような感覚をおぼえる。ライブで数時間使っていても、ベストなものを出してくれるよ。あとは、オモチャみたいな安いシンセやギターを弾いたり、机の上でドラミングもしたね」
彼はそもそもUKプログレッシヴ・ハウス・シーンで頭角を現している。ところが本作では、それを感じさせない、孤高のエレクトロニック・ミュージックを聴くことができる。制作のインスピレーションは、どこから得ているのだろう?
「ヴェルディっていう古いオペラや、クラスター、ハルモニア、ノイ!、クラフトワークといった、クラウト・ロックからインスピレーションを得ている。それに、モグワイやアレック・エンパイア...。自分はもう、なんでも聴くからね...」
なるほど、無数のブリープ音やギター・ノイズで構築された、オリジナリティー豊かなサウンドは、そんな意外なところから生まれていたわけだ。この答えには、彼のファン層が、カッティングエッジな音を好むロック・ファンにまで拡がっている理由を見た気がした。ホールデンは、人を喜ばせる音楽ではなく、アートをつくっているのだ。彼は言う。
「もし、僕のつくっている音楽が芸術として正当に評価されなければ、僕がやっていることは、銀行で働いているのと一緒じゃないか!」
Interview & text TAKAHIRO KAWAMURA


