FANTASTIC PLASTIC MACHINE インタビュー/LOUD123号
ハイネケン・ミュージックが主催するメガクラブ・イヴェント、<Thirst>。これまでにポール・オークンフォールド、ティエストら国内外のトップDJが出演してきました。今年は<Thirst2005Japan Fjnal>にロジャー・サンチェスとステイーヴ・ローラーが登場。また、4月9日、東京 AIRでの予選<Thirst 2005 Japan Heat>では、Fantasti cPlastic Machineこと田中知之さんがプレイします。
ワールドワイドに活躍する田中さんに、ゲストDJ&審査員としてのコメントをもらいつつ、彼のセンス・ピカイチな最新作『SoundConcierge』シリーズについてもきいてみました。
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「もうこれは“個性的かどうが,の一言に尽きますね。あとはその人のエンターテイ
ナーっぶりかな。あくまでも人前で披露するものだからね」
-ハイネケン・ミュージックのこうした試みについては、どう思いますか?
「すごく良いことだと思います。最近のクラブ・ミュージックの閉塞感を突破するきっかけになれば面白いと思いますね」
-これからDJを目指す人、コンテストに参加しようと思っている人に、田中さん流のアドバイスをお願いします。
「今は情報がなんでも簡単に手に入ってしまう時代。インターネット、レコード屋のキャプションや、雑誌などを見るだけで、世界中のDJが何をプレイしているかは一目瞭然でわかってしまいますよね。だからこそ、自分の好きなもの、やりたいことを見失いがちになる。いかにして自分のセンスを素直に熟成させていくか、ってことが重要なんじゃないかな。人間弱いものだから、人の意見にはどうしても左右されてしまうしね」
-そういった意味で「SoundConcierge」シリーズは、まさに田中さんのセンスそのものと言える作品ですね。このシリーズをやることになったきっかけを教えてください。
「実はこの「SoundConcierge」シリーズをやる前に、初のミックスCD『Style Stage9』を'99年に出してるんですけど、その後しばらくミックスCDは出していなかったんです。いわゆるミックスCDって、最新の12インチを網羅したものだったり、レーベルのコンピだったり、そういうものが通常ですよね。でも、僕はその為だけのミックスCDならつくりたくないなあって。で、いざミックスCDを出そうって話になった時に、レコードバッグやレコード棚の中をひっくり返して、いろいろ聴いたりしている時に閃いたんですよ。“あっそうだ!何かしらテーマを一つに絞って決めてやれば、選曲の幅が広がっていくのではないかなぁって」
-それがこのシリーズの始まりですね。
「そう。で、最初にそれを非常にわかりやすく表現したのが『SoundConcierge #401 Do Not Disturb”』です。僕もそうなんですが、ダンス・フロアでは、にぎやかな音楽を聴いていても、家でひとりになった時は、ゆっくり聴きたい音楽があると思うんです。ここではそれを表現しました。で、それの対となるようもので、“ダンス・フロアにおいての僕”というものを表現したのが『SoundConcierge #402 Four Kicks Adventure”』です。選曲的には決してアップデートではないにしろ、'99年に『Style Stage9』を出して以来、自分のレコード・バッグからもれることのなかった楽曲や、これを選曲した当時に出た新譜などを自由にミックスしています」
-なるほど。
「この二作を出した後で、“オレがやりました。これがオレ様の音楽です”というスタンスではなく、やや退いた感じで、聴く人のニーズに応えて選曲していくシリーズとしての可能性が見えたんです。DJでも選曲家でもない、全く新しい“SoundConcierge”という職業みたいなものを定義づけて、その仕事に僕が就いているという感じかな」
-このたび一05年第一#として『Sound Concierge#501“Blanket”』、そして『Sound Concierge Annex』がリリースされましたが、今迄のものとはちょっと違いますよね。
「そうですね、『Sound Concierge Annex』の方は、僕のリミックス仕事集です。リミックス作品も大分たまってきたし、その総決算みたいな形でつくりました。今聴くと、もうちょっとここはこうしたら良かったなぁとか、反省点は当然あるんですけど、次に進むためにこうやってまとめてみるのもいいんじゃないかと思ったんです。で、『Sound Concierge#501“Blanket”』の方は、冬場に向かう中で、心も休も暖まりたいなぁっていうテーマで選曲が進んでいってたので、その選曲の初期段階で“Blanket”っていうタイトルをつけました」
-もはや‘Sound Concierge’は、ひとつのブランドみたいになっていますね。
「そうですね。そうなっていけばいいなあと思います。本来ならダンサブルなものとラウンジなものは、同列に並べられないですよね。でも‘Sound Concierge’っていうタイトルをつけることによって、選曲や仕事の可能性が無限に広がるんです」
-このシリーズを始めたことによって、音楽の見方が変わりましたか?
「全然変わりましたね。今迄は自分が好きか嫌いかっていうことでジャッジしていたけど、今はそれ以外に、もうひとつのスタンスというか審美眼が生まれてきたんですよ。それが非常に愉快ですね」
-今迄スルーしてしまうような曲も聞いてみたりとか。
「そうそう、スルーしてしまうような曲が引っ掛かるんですよ!それって驚きでしかなくて。自分のセンスをアップデートするってところで、前に嫌いだったものが今は好きになったりっていうのは当然あるんですけど、そうではなく、音楽を見る角度を変えることができて、非常に嬉しいですね」
-このシリーズで一貫しているものは何ですか?
「選曲する段階で音楽的に僕が認めたものなんで、僕が責任を持つということですかね。“僕が長いっていうんだから間違いないでしょ!”っていう自信と品質保証はやってるつもりなんです(笑)。僕が嫌いな曲を入れても仕方ないので」
-では、最後に田中さんの選曲家としての極意があったら教えてください。
「なんだろうね…..。FPMを始めたくらいの時に、ティトウワさんが、“いい音楽っていうのは絵が浮かぶ音楽で、いい絵っていうのはいい音楽が流れてくるものなんだよ”みたいなことをボソっと僕に言ったんです。その言葉がきっかけで、音楽をかけたとき、聴いたときに感じる風景や絵、画像、色彩に、より注意するようになったんです。今はそういう絵を浮かべる習作がついていて、それに突き動かされるように選曲してます」


