JOHN DIGWEED

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JOHN DIGWEED インタビュー/LOUD121号

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SPECIAL対談 !!
Bedrock vs Saw John Digweed×Satoshi Tomiie
2004年11月22日(富家氏の誕生日!)、Futique Managementの11周年記念を兼ねて行われたパーティー。ジョン・ディグウィードとサトシ・トミイエが初共演するという超話題パーティーということもあり、無事大盛況のうちに終わりました。そこで、この二人をラウドが独占キャッチ! 初対談してもらいました。 二人ともハウス・シーンをリードするDJ/アーティストであり、かつレーベル・オーナーということで共通点も多く、音だけでなくシーンに対する話題も最先端。普段はあまり言葉にしないようなこともリラックスした雰囲気の中で、語ってくれました。
何しろダニー・テナグリアがCDをかけているのを見たときはどうしようもなくショックだったからね。“ウソだろー! ダニーがCDをかけるなんてー!”って(笑)(JOHN) エンターテインメントが75%、オーディエンスの教育が25%、という気持ちでやってる。オーディエンスに向けて100%教育、という感じでやってしまったら誰もDJ聴きにきてくれないでしょ(笑)(SATOSHI)
@YELLOWについて...
★二人はすでに何度も日本でプレイしていますが、先日のYELLOWでのパーティーはいかがでしたか?
SATOSHI TOMIIE(以下:S)「ジョンのDJ、よかったよね」
JOHN DIGWEED(以下:J)「いや、サトシのDJのほうが良かったよ(笑)」
S「とてもいいパーティだったと思うし、とても楽しかった。途中、記憶がない部分もあるんですけど.....」 ★そう、ジョンがDJ中にトミイエさんは上の事務所で寝てたんですよ、知っていました?
J「寝ていたんじゃないんだよ、バッテリーを充電してただけなんだ、きっと」
S「そうそう(笑)。いずれにしてもラインナップ、ハコや客層など全体的に素晴らしいパーティーだったと思う」
J「お客さんがみんな音楽を聴きにきていたね。ああいう客層を前にしている時は、みんなが知っている曲をかける必要がないから、クオリティが高い、最新の曲ばかりをプレイしていられる。いい音楽を聴きに来た音楽目当てのクラウドは、DJにとって最高のクラウドだ。YELLOWでのパーティーはその音楽の内容とクラウドの相性がぴったりだった」
S「YELLOWは東京だけでなく世界的に見てもかなりいいハコだよ。フロアに近い分、クラウドから得るものがとても多い」
J「近いというか、自分もフロアの一部にいる感じだよね(笑)」
S「そうそう」
J「フロアとブースの間にわずかに1枚の壁があるって感じで、ほとんどフロアでDJやっている感じだよ。あれがクラウドとDJの関係を決定している部分だね。YELLOWのダンス・フロアにはいいエネルギーがあると思う」
★ジョンはサシャとしかバック・トゥ・バックをやらないと思っていましたが、トミイエさんとバック・トゥ・バックをしてみて実際どうでした?
S「というか、憶えてる?」
★あれ?そんなに酔っぱらっていましたっけ?
J「ハハハ、まあ酔っぱらっていたよ」
S「ダンス・フロアでジョンが女の子と踊っているから“ほーなるほどねー”と思いながらレコードを回しました(笑)」
J「普段僕は踊らないんだ」
S「そうだよね。でもそんな彼が踊っていたってことは、いいパーティーだったという証の一つでしょう。それにKOくんもいい仕事をしてくれた。KOくんがやろうとしていることがわかるし、彼も僕がどうしたいかをわかっているから、スタートしやすくて良かったね」
★二人ともレコードではなくCDをメインに使っていましたね。
S「僕らは二人とも旅が多い。その途中でレコードをなくす可能性を減らす(編注:航空会社が預かった荷物をなくす、また預けていたレコードから大事なものだけが抜き取られるといった事故はかなりの頻度で起こっている)、というのも理由の一つだし、デジタル・ファイルの利便性というのもある。今は新曲がMP3でメールで送られてくることや、FTPでダウンロードすることが普通になっているから、そうした曲をプレイするにはCDに焼くしか方法はない。だから必然的にCDが多くなる。あと、ただ単にレコードを持ち運ぶのが大変だから、気に入っているレコードをMP3に変換してツアーに出かける前にCDに焼いて持ってくるというのもある。だから実際は持ち歩いているCDの半分くらいは元はレコードなんだ」
J「僕も同じ。今回も日本に来る前、2、3日はレコードの整理と持ってくる曲をCDに焼く作業をした。大変なことだよ。でもこうすることによってバック・アップもできるし、旅をしている途中でも新曲がメールで届くから、届いたらすぐその夜にクラブでプレイできる。例えば誰かから『テスト盤聴いて欲しいんだけど』と言われても、“いや4週間留守にするから受け取れないんだ”ってことになってしまう。だったらその曲をCDに焼いてダウンロード・サイトにアップしてくれれば1時間後にはその曲がもう聴ける。今はこういったことを可能にしてくれるテクノロジーがある。僕は多分この業界でも数少ない熱狂的なアナログ信奉者だと思うけど.....。何しろダニー・テナグリアがCDをかけているのを見たときは、どうしようもなくショックだったからね。“ウソだろー!ダニーがCDをかけるなんてー!”って(笑)」
S「それと同じことがこの前のYELLOWで起こっていたんじゃないかな。“うわぁ~、ジョン・ディグウィードはほとんどCDでDJしてるんだぁ~”とショックを受けたファンもたくさんいただろうね。“これが今の状況なんだ、シーンがこういう方向に動いているんだ”ということを感じ取った人は、“よし、じゃあ俺も!”と思うだろうね。2年ほど前、エリック・モリロがCDメインになったのが始まりかなぁ。あれは実際エリックのアシスタントが(ラクをしたくて)始めたんだと思うけど。アシスタントはずっとエリックのレコード運びをやっているから“エリック、レコードの曲をCDに焼けば?そしたらレコード無くす心配しなくていいしさ”という提案をしたんだ。それで、彼はレコードじゃなくCDをメインに持ち歩くようになった。今ではフランキー(ナックルズ)もCDだけだよ」
J「ハウス・レジェンドがね」
S「そう。でもデヴィッド(モラレス)はその全く逆だけど」
J「最近デヴィッドのインタビューを読んだけど、“音のクオリティが良くない、リアルじゃない”とかいろいろ文句言ってたね(笑)。サウンド・クオリティが若干落ちるというのはわかるけど、せっかくのいい曲を何週間も待ってられないよ。もちろんサウンド・クオリティは大切だし、クラブにおいて音が良いというのは最も大切な要因の一つだけど、アナログでもMP3でもどちらでも曲そのものが良ければその曲が持つパワーはその短い時間に十分出せると思う。要するに時代が進んだということだね。今年ギリシャでDJしたときに後ろからのぞき込む客が“レコードは?レコードかけろよ”と言ってきたけど.....。“この曲にはソウルがない!”って。ソウルがない?この曲はもともとレコードだったんだ、それをCDに焼いただけなのに!(笑)」
レーベル・オーナーとして...
★お二人ともレーベルをやってますが、レーベル・オーナーとして最近どうですか?
J「リリースは以前とくらべると少なくなったね。最初にレーベルを始めた時は、それ以前に経験がなかったので、送られてくるレコードでいいのがあったら「これサインしよう。こっちも出そう」って感じだったけど、今はスケジュールをちゃんと組まなきゃいけないなと思った。たまに月に2タイトル以上出したこともあったけど、そうするとリリースしてから曲が成長するための余裕がなくて良くないことがわかった。だから今は年に12タイトルということにしている。確実に以前よりは曲を選ぶ基準が厳しくなった。あとダウンロードもできるようにしてある。CDでかけたいと思うDJにとってはアナログで買うよりも安く手に入るわけだし、南米やロシアなどに住む人たちにとってはアナログ盤を買うのは関税や送料など手間もお金もずいぶんかかる。それに時間のギャップもなく、発売されたらすぐにダウンロードして瞬時に買えるわけだから、そういう地域の人たちにとってはいいことだろうと思う」
★以前にダウンロードで曲数は売れることになっても、やはり実際にレーベルを運営していくために必要な資金源はアナログ盤のセールスがメインと言ってましたよね。
J「そうだね」
S「ダウンロードで曲を販売することは始まったばかりで、まだビジネスとして確立はされていない。これで絶対安心、というシステムはまだないし、今後どうなっていくかまだわからない。今の時点では、アナログ盤を全部やめてデジタル音源のみの販売にしよう、とは言えない。ダウンロードだけじゃ事務所の家賃さえも払えない(笑)。でも曲を広く入手可能にするという点においては非常に重要だと思う。ただしレーベルを会社として運営していかなくてはいけないわけで、ダウンロードだけではビジネスにならないから、そのバランスをうまく取らなくてはならない。アナログ盤はたしかに収入的には(ダウンロード)より上だけど、実際、製造にはその分コストもかかる。だからそのあたりのバランスが難しいんだと思う」
J「ダウンロードで曲を売ることに関しては、アップしてから5回売れようが、500万回売れようが、コストは全く変わらない。スリーブ(ジャケット)を印刷する必要もないし、在庫を抱える心配もない。アナログ盤はプレスしすぎると、プレスにかかったコストのほうが売上げを上回ってしまうことも起こるけど、ダウンロードに関してはそれはないからね。だけど別の面から見ると、ダウンロードはすごく安いから収益も少ない。誰なんだろう、最初に“1曲99セント!”と言ってしまった人は...(笑)」
★SAWもすでにダウンロードで曲を販売しているんですか?
S「もちろん。この流れは止められないでしょう。アナログ盤のセールスは落ちているしね。時代の流れだと思う。僕らのようなDJでさえアナログでなく、CDをかけているわけだから、全体的な消費者傾向がそういう流れになっている。ある意味、音楽業界で僕らDJが悪い例を提示してしまったような部分もあるんだけど、しょうがないよね、今の状況がこうなんだから」
J「でも、僕らは新しい曲、新しいサウンドをプレイしていなくてはいけない立場なんだ。クリエイターたちから送られてくるMP3をかけたいし、それをしなくなったら遅れてしまう。僕らがやらなくても誰か別の人が結局やることだしね」
J「それにファイルシェアリングなどが発達した結果、違法なダウンロードが頻繁になってしまったという要因もある。今僕らがダウンロードサイトでやろうとしているのはみんなの意識を変えること。Bedrockが公式に曲をダウンロードで売らなかったとしても、どうせ誰かがウェブにアップしたりして違法にやりとりされるんだ。だったら、違法にやるよりも99セント払ってオリジナルのコピーを買い、そのお金がアーティストに行くほうがいいと思わないかい?ということを訴えたい。たまに“ダウンロードでたくさん曲をゲットした”といったことをDJから言われると“それじゃ君はシーンから奪っているばかりで何もシーンに還元してないじゃないか”と話すんだ。畑と同じだよ、成っている果実や作物を取る一方で、耕したり種を残したりしなかったら畑はそのうち枯れきってしまう。だから音楽を持っていくのはいいけど、その代わり何かを置いていく(シーンに貢献する)というのはとても大切なことだと思う。それで畑が豊かに実って、より大きな畑になっていく。でも多くの人は、そう説明しても“いやぁ言ってることはわかるけど、誰も払ってないよ”とだいたい言うから、他の人がどうだからという理由で自分の行動を決めるのはどうかと思うよ、と言いたいね」
S「そう、違法駐車みたいなもんだね。いけないことだとはわかっているけど、こっちのほうがお金かからないし、みんなやってるし、という理論。まだダウンロードサイトは少ないし、どのレーベルもみんながダウンロード可能にしているわけではないけど、そのうちもっときっちりしたインフラ・ストラクチャーが必要になってくると思う」
★では、それぞれはお互いのレーベルについてどう思っていますか?
J「サトシが出すレコードはどれも気に入ってる。SAWはいいレーベルだと思うよ」
S「いや、ジョンがやった足跡をたどっているだけです(笑)」
J「ハハハハ」
S「ジョンのレーベルはサウンド・クオリティはもちろん、パッケージングもきれいだし、本当にリスペクトしている。アメリカではあまりデザインなどの見た目にこだわらない傾向があるからね。特に2、3年前はそうだった。アメリカの人たちはSAWをヨーロッパからの輸入盤だとずっと思っていたらしい。もちろんジャケットなどのデザインや紙のクオリティを保つためにコストはかかってしまうんだけど、重要なことだと思う」 J「自分がやっていることに誇りを持ちたいんだ。あらゆる点において胸を張れることをしたいと考えているから、さっさとやってしまおうということはない。作品を手にとってみれば相当の手間暇がかけられていることがわかると思うし、あのロゴが入ったジャケットを見れば“ああ、クオリティの高いレコードだな”と信頼してもらえるようにしたい。サトシも同じことに成功したと思うよ。これまでの積み上げでそれぞれのタイトルが確実にいいものだと信頼されるレーベルになったと思うよ」
S「そんな、恐れおおい.....(笑)」
J「サトシのレーベルがアメリカのレーベルと思われていない、ということは他のアメリカのレーベルとは違う方向性、違う道を歩んでいる、というはっきりした証拠だと思う。オリジナルでユニークなことをやっているということだ。アメリカにいると他の人がやっていることに流されやすいし、周囲と似たようなことをやってしまうことに陥りやすいと思うから、サトシがやってることは素晴らしい。ヨーロッパからの影響も大きいんだよね?」
S「そうだね。ヨーロッパのダンス・ミュージックの深さというか.....まぁヨーロッパからの影響も確実にある。でも、アメリカからの影響もあるね。実際はイギリス人のつくった曲をたくさんサインしているけど、リミックスはアメリカ人、たとえばビル・ハメルとかに依頼したりもしている。ビルもヨーロッパからの影響が強いプロデューサーだけど、全くもってアメリカで生まれ育った人だ。だからそういった部分がミックスされているんだろうね。それと日本出身という点でも見方が違うんだろうと思う。ま、これまでやっていることを基本的に続けてきてるだけなんだけどね」
J「あと思うのは、よく“うちらはこういう音楽を専門に出していきます”といった感じでスタートするレーベルは最初の2、3曲は良くても10枚目あたりになると、あれ?これ前に聴いたのと似てない?ということになってしまう。ただ順番を変えて出しただけか、と思われたりね(笑)。サトシのレーベルは1枚1枚が違うユニークなサウンドだ。ほかのレーベルは一つのサウンドを専門にやるから、プロデューサーもそのレーベルからリリースしてもらおうと同じような曲をがんばってつくって送るようになってしまう。僕はそのやり方には魅力を感じない。これまでにちょっと冒険してみたこともあるし、そうすると聴いた人が“あれ!? これBedrockっぽくないね!”と言ったりするけど、だいたいBedrockっぽい音ってなに? と思う(笑)」
S「わかるわかる」
J「もともとある一つのサウンドに固執したくない、というのがあるから“Bedrockっぽくない”という反応は最高の誉め言葉だ。聴いた人が好きじゃないと思ったとしても、別のリスナーは好きかもしれない。聴いた人全員に気に入ってもらおうとはしていないし、レーベルとして続けていくには多様なサウンドがなくてはならない。でなければオーディエンスもいっしょに成長はしていかない。違うサウンドを出すことによって、また違ったオーディエンスを惹きつけたいんだ」
最近のハウス・ミュージックについて...
★最近のハウス・ミュージックの傾向はどんな感じですか?送られてくる曲の中にはどういった感じのものが多いですか?
J「確実にエレクトロニックでエッジのきいたものが増えている。送られてくるものもそういった感じが多い」
S「ロックっぽいものも多くないかな? '80年代っぽいというか」
J「うん。磨かれていない、荒削りな感じ。これまではきっちりきれいにパーツが並べられているような曲が多かったけど、今はもっと音が立ち上がって主張している感じかな」
S「エフェクトが少ない。これまでにみんなが思っていた“プロッグ・ハウス”というのはミニマルなトラックにエフェクトが多用されていてベース・ラインが少しとビートが少し、という感じだった。今はエフェクトが少しでロックっぽいビートと...」
J「エレクトロニックで80年代っぽいメロディーが乗っている」
S「そう、日本語でいうタテノリな曲ね」
★ギターなどの生楽器はどうですか?増えています?
J「うーん、少しはね。実は僕はギターサウンドは使わないようにしているんだ(笑)」
S「僕はけっこう好きだけどね。トニー・ハンフリーズやジェリー・ビーンの曲、憶えてない? '91、 '92年ごろでギターっぽい曲を使ってハウスにしていたの。あれみたいでいいと思う。僕は個人的にはミクスチャーが好きで、僕に送られてくる曲にはそういうのが多い。特にイタリアはみんなエレクトロが好きだし」 J「そうだね」
S「それとピアノ・ハウスもカム・バックしていると思う。もちろん昔のとは違うけど。それとアシッド・ハウスもカムバックしているね。イギリスは特にそうじゃない?」
J「そうだね」
S「ピート・ヘラーから送られてきた曲はアシッドっぽくてすごくかっこよかった」
DJとして....
★二人ともDJとして世界中を旅をしているわけですが、どんなことを感じたり思ったりしていますか? シーンに対してご自分は責任があると感じていますか? 先ほどオーディエンスをいっしょに成長させる、と言っていましたが、オーディエンスの教育というか、新しいサウンドに導いていくことは大切なことだと感じますか?
J「うん」
S「もちろん。エンターテインメントが75%、オーディエンスの教育が25%、という気持ちでやってる。オーディエンスに向けて100%教育、という感じでやってしまったら誰もDJ聴きにきてくれないでしょ(笑)」
J「あと、僕はただDJをしに来た、というだけじゃなくて聴きに来た人に何らかのインパクトを与えたいと常に思っている。イベントが終わったあとに、お客さんが“次はいつまた来るのかな? この人は他にどんな音楽をやっているんだろう”と思ってほしいし、ジョン・ディグウィードに関する情報をもっと知りたいと思ってもらいたい。DJだからといって、ただレコードを廻しに来るだけじゃない。水道管が壊れたから修理に来た業者みたいなわけにはいかない。水道管がまた壊れるまで、その業者のことはすっかり忘れているよね。でもそうではなく、聴きにきた人たちにできる限りの強い印象を残したいんだ」
★ツアーはキツいですよね。
「健康は大切だから、寝れる時にはなるべくたくさん寝るようにしている(笑)。以前と比べてツアーの日程は減らしているよ。一時期はロンドンから日本、またロンドンに戻って今度はオーストラリア、というクレイジーなスケジュールで動いていたこともあったけど、必ず予定どおりにはいかないし、正直、今は少ないギグ数で一つ一つをもっと楽しみたいんだ。たくさんのギグをこなして半分くらいは疲れすぎて楽しめなかった、というよりは少な目にしたい」
★トミイエさんも今年の夏とかすごいスケジュールでしたよね?
S「 誰かが「DJしてくれ!」って言ってくれれば、できるだけ行きたい。でもあとで後悔することもある.....。今はまだいいオファーがたくさん来るし、毎回楽しいから減らすのは難しいな(笑)」
アーティストとして...
★最近のリリースは?
J「『FABRIC 20』。あと『Choice』も今やっている」
S「AZULIの?いいね」
★AZULIの『Choice』ってのはそのアーティストのオールタイム・フェイバリットのコンピレーションなんですか?
J「自分が影響を強く受けたレコードを、と言われている。『Choice』に関してはもっと時間が欲しかった。膨大なレコード・コレクションをいったん掘り出してみたら、あれもいい、こんなレコードもあったな、とかなりたくさん出てきてしまった。まだ実家の屋根裏にあるんだけど、1枚出すとほかにも気になるものが出てきてしまって“MP3で送ってくれー”って感じだ。本当はもっと古めの時代に遡りたかった。フランキーやダニー、ジェフ・ミルズやルイ・ヴェガなど当時けっこうかけていたレコードもあるんだけど、もう少し80年代後半から90年代前半に絞ったほうがいいかもという判断にしたので、わりと新しめのレコードが多い。といっても自分がDJとして徐々に知られるようになった頃を表現しているからいいんだけどね。まだ完成はしていなくて、今もまだ原曲を請求したりしている段階だ」
★FABRICのCDは? いい意味で意外というか。全部4つ打ちではなかったし...。
J「FABRICは素晴らしいサウンドシステムを誇るクラブだ。あそこでDJをするときはいつもと少し違うことを試せる。CDは僕がFABRICでプレイする時の雰囲気を再現した感じになっている。でも聴く人によっては“あれ?これジョン・ディグウィード?”と思う人もいるだろうね」
★それが狙いなんですか?
J「いや、アルバムをつくるなら自分が気に入るアルバムをつくるよ。聴く人を戸惑わせることを目標にはしない(笑)。そういう風になっただけだよ。でもわりと時間がかからず、サッとできたので良かった。あまり迷ったり考えすぎたりせずにできたよ。ジャーナリストが何と言うか楽しみだね。でも正直言って僕自身が最大の批評家だと思うから、その僕が気に入ってるんだし、そんなに悪くないと思うよ。自分がベストを尽くして何かをやって、それが自分で納得いくものなら、それ以上に良いものはできない」
★トミイエさんのリリースは?
S「来年はいくつかMIX CDが出る予定。基本的にはSAWのためのもの。ひとつは4月にでて、あと7月にはイビザのMAMBOでかけるような、ピーク・アワーではなく、パーティーに出かける前の雰囲気のちょっとゆるめな感じのハウスをコンパイルしたCDを出す予定。『Undulation』は今年やらなかったので、来年はヘクターとまた一緒に『Undulation 2』をやりたいね。それから自分のアーティスト・アルバムの制作にもとりかかっている。まだ完成までには時間がかかりそうだけどね。それとCHABのアーティスト・アルバムが2005年2月に出る予定」
J「BEDROCKからもアーティスト・アルバムを出すよ。ポール・フォルダーのアルバムで、とても音楽性が高い。フルオンのダンス・ミュージックではないんだ。なんというか、いいメロディーの歌ものと、完璧なクラブものではない、ちょうど中間あたりのサウンドだね」
S「そういうのすごくいいと思うよ。DJはDJで大切なんだけど、アーティストとしてアルバムをつくるなら、クラブ以外の場所でも聴けて、違ったシチュエーションでも機能するような音楽がいいね」
最後に..
★今年はどんな年でした?
J「いい年だった! ほとんどのギグが楽しかったし.....実際楽しめなかったギグはひとつも思い出せないな。去年はクラブ・シーン全体が少し落ちていたような感じがしたけど、今年になって良くなったと思う。去年はお金もうけなど間違った目的でクラブ業界にいた人たちが、さほど儲からなくなってきたので去っていったりして、業界の地図が整理されたような年だったと思う。今はやる気があって、シーンを盛り上げたいという気持ちの人たちがやっていると思うよ。ヴァイヴも世界的に見てとてもいいと思う。ポジティヴだね」
★去年よりも今年のほうが初めて行く国は多かったですか?
J「うん」
S「そうだね。学校の授業やテレビのニュースでしかきいたことなかったような国からオファーがたくさんあった。東ヨーロッパのブルガリア、ハンガリー、セルビア・モンテネグロもすごく良かったし、そういった地域によく行ったよ。僕は今年は初めて行く場所で予想以上に楽しい思いをした」
J「初めて聴く音楽にウォーーーって反応してくれる感じだよね。そういえばブルガリアのビーチで8000人規模のパーティでやったんだけど、僕のブースは海を向いていて、僕の背後にはバーっと全部、団地みたいのが並んでいるんだ。プロモーターに“これ、人住んでるの?”ときくと“ああ”って普通のことのように答えるから、“今日のパーティって何時まで?”ときいたら“朝の7時、8時くらいまでだけど、なんで?”って答えが返ってきた。騒音は大丈夫なのか?と聞いたら全戸のドアに“今日はパーティがあります”という告知を入れてきた、って。それでいいのかーと驚いたね」
S「ルーマニアのクリスタルって場所でDJした?」
J「そこはまだ行ったことないね」
S「そこは元劇場か映画館のクラブで思い切り居住エリアのど真ん中にあって、オーナーに“騒音問題はないのか?”ときいたら、全部の家と特別の手配済みだって。どういう手配で折り合いをつけたんだろうね(笑)」
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