LOUIE VEGA インタビュー/LOUD143号
ニューヨーク・ハウスのV.I.Pが、熱い想いをノンストップ・ミックス
ハウス・ミュージック・ファンならその名を知らぬものはいないニューヨークのクリエイター / DJ、ルイ・ヴェガ。'80年代後半に音楽活動を開始し、マスターズ・アット・ワーク、ニューヨリカン・ソウル、エレメンツ・オブ・ライフといったプロジェクトで、シーンをけん引してきた超大物だ。今年は、カーティス・メイフィールド「Superfly」のリミックスでグラミー賞を受賞する栄誉にも輝いている。
そんなルイが、名門ハウス・レーベル、King Street Soundsの音源をミックスした2枚組CD『MIX THE VIBE : LOUIE VEGA -For The Love Of King Street-』を完成させた。ディープで、アンダーグラウンドで、ソウルフルな楽曲を詰め込んだこの作品からは、正統派ハウス・ミュージックの魅力がたっぷりと伝わってくる。
本作とKing Streetへの想いについて、ルイ・ヴェガに話を聞いた。
Sound Factory Barで四年間やっていた
ハウス・ミュージック史のなかでも大事な出来事だったと思う。
King Streetの音楽はそこで重要なパートだった。
―新作のミックスCDには、“For The Love Of King Street”というサブ・タイトルがついていますね。
「 King Streetからは何枚も作品をリリースしているし、レーベルにはスタート当初から関わっているんだ。僕は個人的にKing Streetのファンだと言っても良いほどだ。だから、僕のKing Streetに対するパーソナルな気持ちを込めて、この名前にしたんだ。オーナーのHisaには、毎年のように日本でのDJツアーをオーガナイズしてもらっているよ。Mondo GrossoやBirdといった日本のアーティストのリミックスも、彼を通じて手がけている」
―これまでにKing Street音源を、たくさんスピンしてきましたか?
「昔、僕がDJとしてSound Factory Barで四年間やっていた
―今挙がったアーティスト名を網羅するかのように、本作では、幅広い年代からの選曲がなされています。CD1は最新音源中心、CD2は過去のクラシックス音源中心となっていますが、そのコンセプトを教えてください。
「新しい音源のCD1の方では、アンダーグラウンドな要素の強いケリ・チャンドラーの「So Let The Wind Come」や「Bar A Tyme」といったトラックから、バーバラ・タッカーの大ヒット曲「Most Precious Love」までを収録して、幅広いレンジでこのレーベルを表現したつもりだ。CD2では、
―バーバラ・タッカーのアドリブ・ヴォーカルを盛り込んだパートがありますが、これはどういう経緯で実現したんですか?
「このミックスCDは、イビサにあるCafe Mamboの、海を見下ろすスタジオでレコーディングしたんだ。ちょうどそのとき、バーバラ・タッカー、Mr.V、ケニー・ドープといった友達もイビサに来ていてね。みんなスタジオに溜まっていたから、レコーディングに参加してもらおうってことになったんだ。Mr.VにはイントロのMCを、バーバラには彼女の「Most Precious Love」のインスト部分と、グルーヴ・ボックス「Casio's Theme」の部分でアドリブをやってもらった。ケニー・ドープにも、ライブ・エフェクトやEQをやってもらったよ」―今作には、いくつかのトラックがレイヤーのようになっている、あなたらしいDJスキルを堪能できる箇所がありますね。DJミックスでは、どんな点を意識しましたか?「CDを聴いている人達が、僕のDJをクラブで体験しているような気分になってもらえるようにしたんだ」
―実際のDJプレイでは、どんなことを重視していますか?
「僕自身が居心地よく自分のサウンドを聴くことができたら、それがフロアにも伝わって、みんながグッドタイムを過ごせるようになる。だから、一番大事なことは、ちゃんと自分好みのDJセットを準備することさ」
―今作の内容は、ソウルフルでディープなハウス・ミュージックの良さ、魅力を改めて気づかせてくれるものでもあります。あなたは、ハウス・ミュージックの醍醐味は、どんな点にあると考えていますか?
「ハウス・ミュージックは様々なカルチャー、リズム、ヴォーカル・スタイルを、様々なアプローチでプロデュースできる点が魅力だと思う。現在は、世界中でたくさんのプロデューサーが、ヴァラエティー豊かなハウスをつくっているね」
―少し意地悪な質問になりますが、長年シーンと関わっていて、ハウス・ミュージックに飽きてしまうことはありませんでしたか?
「全く無かったよ!」
―現在、あなたのヤル気を支えるエネルギーは、どこから得ていますか?「息子のニコと、妻のアナネさ。最近、自宅にスタジオをつくったから、家族の近くでより居心地よく仕事ができそうだ。さらにヤル気が出そうだよ」
―今後の活動予定を教えてください。
「今はVega Recordsからの二つのアルバム、アナネの『Selections』とMr.Vの『Welcome Home』のリリースで忙しいんだ。来年の夏には『Elements of Life 2』もリリースする予定だ。これには、アナネやブレイズ以外のアーティストも参加しているよ。より長いスパンでは、Vega Recordsをもっと成長させて、180曲以上になるパブリッシング・カタログの整理をしたいね。エレメンツ・オブ・ライフのツアーも、もっと頻繁に行いたいな」
―ところで、ニューヨリカン・ソウルを再始動させる予定はありますか?
「来年はニューヨリカン・ソウルの10周年なんだ。だから、スペシャル企画付きのリイシューを考えているよ」
ルイ・ヴェガが選ぶ、KING STREET SOUNDSベスト5
『MIX THE VIBE : LOUIE VEGA -For The Love Of King Street-』収録曲の中から、特に気に入っているという5曲をピックアアップしてもらいました。どのトラックも“
TEARS OF VELVA / The Way I Feel (4 Daye Club) [1995]
生っぽいアンダーグランドな雰囲気がある、
MONDO GROSSO / Souffle H (King Street Club Mix) [1995]
このトラックでは、後にエレメンツ・オブ・ライフ、ニューヨリカン・ソウル、そして数多くのMAWのレコードでベースをプレイすることになったジーン・ペレスと初めて一緒に仕事をしている。だから、とてもスペシャルな存在だ。フランキー・ナックルズの「Whistle Song」でフルートをプレイしたポール・ シャピロも演奏している。このリミックスを機に、プロデュースする際に多くのライブ・ミュージシャンを使うようになった。シーンでは、このレコードがきっかけになって、ハウスとジャズが融合したトラックがたくさんリリースされるようになったと思う。
URBAN SOUL / Show Me (DEF Club Mix) [1997]
ローランド・クラークがリード・ヴォーカルを務める、デヴィッド・モラレスのプロデュース作品。彼の作品の中で、僕が最も好きな曲の一つだ。当時この曲は、僕がDJする夜のハイライトを演出していた。この曲をプレイすると、ダンスフロアが爆発したようになって、みんなが笑顔になったものだ。
MOOD II SWING Feat. CAROL SYLVAN / Closer (King Street Moody Club) [1994]
アンダーグラウンド・サウンドの成功例だ。僕の友達でもあるムード・トゥ・スウィングがプロデュースしたヴァージョンはクラシックで、今でも僕の
STEPHANIE COOKE / Here With My Best Friend (Dance Ritual Mix) [2001]
ディープな曲で、歌詞は感動的だ。原曲はR&Bだけど、この曲を気に入ったんで、自分でリミックスを手がけたんだ。トラックはエレメンツ・オブ・ライフを始めたころにつくったものだ。


