SHINICHI OSAWA

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SHINICHI OSAWA インタビュー/LOUD147号

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SHINICHI OSAWA & KITSUNE


日本×フランスで生まれた“きつねうどん”は、
最新モードのエレクトロ・ミックス二枚乗せ!


大沢伸一がavexへ籍を移し、約一年半ぶりとなる作品を発表した。それが、ここでご紹介する、盟友Kitsuneとのコラボレート作品『Kitsune Udon』だ。
 まず、LOUDではおなじみのKitsuneを改めてご紹介することにしよう。Kitsuneは、大沢伸一の両隣できつねうどんを食べているジルダ&マサヤに、グラフィックデザイナー・チームAbakeの4名を加えた、計6名からなるクリエイター集団。パリを拠点に活動し、カッティング・エッジな音楽やファッション、アートを発信し続けているトレンドセッターだ。音楽面での活躍ぶりは特筆もので、’06年のエレクトロ・シーンは、彼らを中心に回っていたと言っても過言ではないだろう。クラクソンズを初めて世界に紹介し、似顔絵ジャケ・コンピシリーズ、『Kitsune Maison 2』&『Kitsune Maison 3』で、熱狂的な狐フリークスを量産したのは記憶に新しいところ。CD二枚組というボリュームの『Kitsune Udon』では、ディスク1を担当。Kitsune作品を中心に、リリース前の新曲も盛りこんだ、最新モードのエレクトロ・セットを聴かせている。ちなみに、この作品は、彼らにとってキャリア初のミックスCDになるということだ。
ディスク2を担当している大沢伸一は、もはや説明不要だろうが、日本を代表するDJ / クリエイターのひとり。シーンの潮流を先取りするかのような選曲と、過激な専用エディット・ヴァージョンには定評がある。新作でも、近年のエレクトロ・アンセムを独自エディットでミックス、その力量を存分に発揮している。
 '07年のクラブ・シーンを方向づけることになるであろう記念すべき作品、『Kitsune Udon』。LOUDでは、この話題盤の“旨味”に迫るべく、大沢伸一と、Kitsuneの音楽部門を担当しているジルダに話を聞いた。


VARIOUS ARTISTS
Shinichi Osawa & Kitsune presents Kitsune Udon

(JPN) AVEX / AVCD-23210〜1

interview with
SHINICHI OSAWA


感性の違うところとあえて決別することで
発展していく文化がある。

DISC 2 MIXED by SHINICHI OSAWA

1. Klanguage / All This Time (Yuksek vs Invaders Remix)
2. Tepr / En Direct De La Cote (Alavi reroX)
3. Hijack / Hijackin’ (Herve Remix)
4. REVL9N / Someone Like You (Freeform Five Remix)
5. Yonderboi / People Always Talk About Weather (Junkie XL Main Mix)
6. Daft Punk / The Prime Time Of Your Life (Para One Remix)
7. New Young Pony Club / Ice Cream (The Bang Gang Deejays Remix)
8. Gossip / Standing In The Way Of Control (Soulwax Nite Version)
9. Soulwax / Miserable Girl (Shinichi Osawa Extra Hard Edit "Exclusive Edit for Kitsune Udon")
10. ANNA TSUCHIYA / Ah Ah (Shinichi Osawa Remix)
11. Krazy Baldhead / CRAZY MOTH3F2CK8Z (MIDFIELD GENERAL Remix)
12. Para One / Dudun-Dun (MSTRKRFT Remix)
13. Armand Van Helden / Sugar (Paper Faces Remix)
14. Plastic Dreams / Fuse (Move Your Body) (Steve Mac Remix)
15. European Accent feat. Princess Superstar & Alexander Technique / DJ’s Are Not Rockstars (Vocal Mix)
16. Erick Morillo feat. P. Diddy / Dance I Said (Touche Vocal Mix)


選曲

―avex移籍第一弾ということですが、移籍によって音楽活動に変化はありましたか?
「昨年の秋からソロ・プロジェクトで制作を始めていて、今年の夏をめどにアルバムをリリースしたいと思っています。MONDO GROSSOではなく、今のDJプレイを反映したような尖がった音をやろうかなと」
―『Kitsune Udon』は、それの前哨戦ということでしょうか。
「そうですね。次作を占えるような内容のミックスCDになっていると思います」
―今作はKitsuneと共同制作していますが、どういった経緯で一緒にやることになったんですか?
「エイベックス移籍のとき、Kitsuneをレーベルごとやろうという話があったんです。彼らがリリースしている作品は面白くて魅力的なのに、日本で紹介する人がいないのは不自然じゃないですか。だから、“僕らが受け皿になって彼らのマーケットが広がればいいな”という、単純なフレンドシップから、そういう話になったんです。でも、Kitsuneの作品を今すべて出せるわけではないので、日本独自の企画で進めていこうと」
―そこで、この『Kitsune Udon』の話が挙がったんですね。
「はい。その中で、今まで彼らはミックスCDをリリースしたことがないから、僕がワンサイド、Kitsuneがワンサイドの二枚組にしたら、ボリュームもあって面白いんじゃないの?という話に発展しました」
―タイトルは“きつねうどん”ですが、これは大沢さんが考えたんですか?
「これは彼らが考えたんです(笑)。最初はみんな“ええ〜っ!?”って言ってたんですけど、僕は面白いと思ってました」
―収録曲は、どのような基準で選びましたか?
「がんばって選曲をしたわけではなくて、プレイ・リストの中から頻繁にかけている曲を選びました。あと、Kitsuneがレーベル活動の特性としてリリース前のものを選んでくると思ったので、僕はなるべく既発のものを選んで差別化を図りました」
―なるほど。大沢さんは、各曲をかなり細かくエディットしていますね。これにはやっぱりこだわりが?
「そうですね。トラックをそのままミックスはしてないです。基本的に、自分の好きなレングスに変えたり、大胆にエディットしたトラックを、データ化して使用しています。実際に、エディットしたものをクラブでもプレイしているので、制作は普段のDJ通りでしたね」
―今回収録した曲の中で、マストだったものはどれですか?
「ザ・ゴシップかな。これは簡単にいうと、今のエレクトロ・シーンでアンセムになっていると思います。ロックとエレクトリックなものと今の時代感が混ざった、いろいろな意味でシンボリックな曲だと思います」
―後半には、アーマンド・ヴァン・ヘルデンやエリック・モリロの名前も出てきますね。本人バージョンじゃないとあたりが気になっているのですが(笑)
「そういうことはあまり気にしなかったです。アーマンドの曲は、リミックスをしているペイパー・フェイスが大好きなんですよ」
―スチュアート・プライスですね。
「そうそう。この人の音は、ハウスでもなければエレクトロでもない絶妙さで、僕のツボなんです。なんかね、品がいいんですよ」

今の音

―今作では、前作の『Fearless 4/4 Rockers』から、大沢さんのエレクトロ路線が加速している印象を受けました。
「たしかに、やっていることがより過激にエスカレートしている感はありますね。でも今は、また違う音楽性に向いてもいいかなという気持ちになってきました。半年くらい前には、いわゆるハウス・マナーのキックやハットが入っているだけで全部NGっていう時期もありましたけど…」
―今はまたハウス的なものもOKなんですか?
「ハウス的なものではなくて、ハウスがOKになりましたね。クラシックなアシッド・ハウスや、オーセンティックなハウスの中に、魅力的なものを見出すことがあるんです。逆に、ハウスっぽいロックとか、ロックっぽいハウスとか、そういうものは未だにNGです。あと、現在進行形のものすごい人気のあるハウスは、良いとか悪いとかではなく、僕のテイストではないですね」
―美メロ・ハウスということですか?
「そうそう。ああいうキラキラした感じのやつはちょっと苦手かな」
―クラシックなハウスに良さを見出したりはするけど、そっち側ではないということですね。
「でも、ものすごい王道の、例えばに行って手を挙げられるかっていったら、それもまた違うんですよ」
―でも、大沢さんが昔MONDO GROSSOでつくっていた曲はで流れるような曲じゃないですか? だから、大沢さん自身に抵抗があるわけではないですよね?
「抵抗はないですけど、今かっこいいとは思わないです。時代的にね。“良いものは良い”って言われると、歴史を否定することはできないから、それは認めていかないといけないんだけど、あれは今の音ではないです」
―大沢さんとしては、今の音に敏感でなくてはいけないんですね。
「そうですね。僕はしばらくはそういうスタンスで続けるっていう風に決めちゃったので、多少ヒールっぽくなっても、アンチを成立させるには何かを否定しないといけないんです。でも、やっぱりヒールはやだな(笑)」
―あはは(笑)。大沢さんの中では、アンチが重要なキーワードなんですか?
「それを表面に出す時代ではないと思います。なんでもかんでもアンチで食らいつくのは馬鹿ですよ。ただ、感性の違うところとあえて決別することで発展していく文化があると思うんです。そうやって切磋琢磨していかないと、本当の意味で、クラブ・シーンで共存することはできないでしょ。ぬるま湯で仲良くするのは、共存じゃないから」
―‘80年代にあったような、人と違う価値観から新しい物が生まれてくるっていう状況は、今なかなかないですもんね。だからこそ、そういう姿勢が大事なのかもしれません。そんな中、いわゆるニュー・レイヴが“今の音”としてもてはやされていますが、今作で、そのへんは意識しましたか?
「どうでしょうね〜。そういう括りは、いつかまた呼ばれなくなったり、変わってしまうものなんで、あんまり意識はしなかったです。ただレイヴっていう言葉自体は、今使える言葉だと思います。オリジナル・レイヴの意味合いではなく、本当の意味でのレイヴみたいな現象が、屋内で起こっていますからね。でもメディアが言うニュー・レイヴは、クラクソンズやニュー・ヤング・ポニー・クラブあたりの、ロックとレイヴが混ざったようなサウンド自体を指すんじゃないですか?」
―特にそこに引かれるものはないですか?
「う〜ん、あんまり」
―ではズバリ、今大沢さんには、どんな音が旬ですか?
「Kitsuneサイドに収録されているガンズン・ボムズの曲は、自分がやりたいことに近かったですね。あと、サウンド・ストラクチャー的に、ハウス・マナーの低音をバッサリ切って、その分音圧をガッツリ入れて、クラブで聴いたら耳イテ~みたいな音が流行り。本作に収録されているアーティストの音はみんなそう。ソウルワックス的な歪んだ音が、ニュー・レイヴァー的には(笑)好きですね」
―中域にボリュームがある音ですね。
「そうですね。キックが聞こえね~、みたいな音(笑)。昔はそれじゃ踊れなかったけど、今は踊れる時代になったんです」
―それが“時の音”ということですね。
「そうですね」


interview with
KITSUNE (Gildas)

『Kitsune Maison』シリーズは、家でも聴けるクラブ・コンピレーションだけど、
『Kitsune Udon』は確実にもっとクラブ寄りだよ。


MIXED by KITSUNE

1. The Presets / Are you the one ?
2. Kap10Kurt / Danger Seeks
3. Nicky Van She and Dangerous Dan / Around The World
4. Simian Mobile Disco / Hot Dog
5. Klaxons / Atlantis To Interzone (Digitalism’s Klix Klax R-R-Remix)
6. Guns N’ Bombs (Crossover Appeal)
7. Thieves Like Us / Drugs in my body
8. Dada Life / Big Time (Linus Loves kitsune special Remix)
9. Mekon featuring Roxanne Shante / Yes Yes Y'all (Duke Dumont Remix?)
10. Punks Jump Up / Dance to our disco (NIghtmoves remix)
11. Boys Noize / Feel Good (TV=OFF) (Shinichi Osawa edit)
12. Fox N’ Wolf / Youth Alcoholic
13. Rockers Hi-Fi / Push Push (M.A.N.D.Y.’s Pusher remix)


―そもそも、今回コラボレートすることになった大沢伸一とは、いつ知り合ったのですか?
「ずいぶん前から彼のことは知っていたんだけど、実際に会ったのは二年前。bonjour recordsのオーナー、マサトシ(上村真俊)が紹介してくれたんだ。それがきっかけで、彼のFearless Recordsから、僕らのコンピレーション『Kitsune Fur』をリリースすることになったんだ」
―彼とはDJでも共演していますが、大沢伸一の魅力を教えてください。
「彼は本当に良いDJだ。クラウドが楽しんでハッピーになるまで、あきらめることなくプレイし続ける、本当のプロだと思う。プロデューサーとしても素晴らしい。僕らがリリースしたクリストファー・ユストとボーイズ・ノイズの12インチには、エディットで参加してもらったけど、彼は作品に新たなトリックと驚きを与えてくれた」
―あなたたちとは、どんなところが共通していると思いますか?
「クラブ・カルチャーを大事にする点だね。お互い、いろいろな人と出会い、音楽への情熱を共有することができるナイト・ライフが大好きなんだ」
―なるほど。では今作の話に入りますが、アルバム・タイトルの『Kitsune Udon』は、あなたたちが名づけたと聞きました。このタイトルは、どのような経緯で決まったのでしょうか?
「Abake(Kitsuneのデザイン部門)の一人、パトリックがこの言葉を見つけてきて、そのときコンセプトとして思いついたんだ。きつねうどんは日本でもっともポピュラーな食べ物だと聞いているし、おもしろいと思ったんだ。僕らの名前とうまくつながって、言葉遊びにもなっているね」
―もし、きつねうどんをフランスのポピュラー料理に例えるとしたら?
「ステーキ・フライだね。ステーキにフライド・ポテトを添えた料理で、フランスの子供たちは、それにケチャップをつけて食べるのが大好きなんだ。というか、この質問はおかしいね(笑)! 僕らはいつか食べ物がコンセプトのコンピレーションをやりたいと思っているんだ」
―『Kitsune Udon』第二弾ですね! 今作は、あなたたちが発表する初めてのミックスCDです。ミックス作業は、どのようなプロセスで行なったのでしょうか?
「テクニカルな部分はすべて僕がやったんだ。マサヤは、僕といっしょに2、3週間かけて選曲を考えたよ。レコーディングに関しては、僕らの素晴らしい友人でありエンジニアでもあるプレイ・ポールと一緒に作業をして、2、3日で仕上げたんだ」
―制作にあたって、特に心がけた点を教えてください。
「初めての作品ということで、誰にでも入りやすいシンプルなミックスを心がけたよ。あまりたくさんのことを詰め込まず、派手になりすぎないようにしたんだ」
―収録曲は、どのような基準で選びましたか?
「何週間か選曲を考えた末、自分たちが今好きな曲を入れようという考えに行き着いたんだ。その結果が、この選曲だよ。パーティーの雰囲気が伝わる良いCDになったと思う。クラブへ行く途中の車の中で聴くのもアリだね」
―今作の収録曲には、今までの作品に比べるとブリーピーで激しいダンス・トラックが目立ちますね。
「そうだね。これまでのコンピレーション・シリーズは、このミックスCDに比べると“チル・アウト”と言える。『Kitsune Maison』シリーズは、家でも聴けるクラブ・コンピレーションだけど、『Kitsune Udon』は確実にもっとクラブ寄りだよ」
―選曲をするうえで、“ニュー・レイヴ”というキーワードは意識しましたか?
「英NME誌は、“Kitsuneは新世代のレイヴ・サウンドを聴かせてくれるレーベル”と言っているね。雑誌はそうやって、常に新しい言葉をつくり出して、読者の注意を引こうとするんだ。だけど、Kitsuneは今作でも、ただ好きな音楽を選んだだけだよ。いや、僕に言わせるなら“ダンス・ロック・ミュージック”を選んだってとこかな」
―ところで、1曲目「Itadakimasu」の“いただきます”は、あなたとマサヤさんの声なんですか?
「もちろんそうだよ(笑)。その後うどんを食べてる音もね」
―やっぱり(笑)。“いただきます”と“ごちそうさま”はセットになっているのですが、ミックスの終わりに“ごちそうさま”は入れなかったんですね?
「そういえばそうだね。『Kitsune Udon vol.2』には入れるようにするよ。ゴメンナサイ!」
―あはは(笑)。収録曲で、特に思い入れの強いトラックはありますか?
「ロサンジェルス出身のガンズン・ボムズの曲。彼らのバンド名は最高だよ!」
―では、今作で初お目見えとなるトラックは?
「たくさんあるよ。シミアン・モバイル・ディスコ、キャプテンカート、パンクス・ジャンプ・アップにダダ・ライフだね」
―ちなみに、今現在もっとも注目しているアーティストを3組教えてください。
「カザルス、デジタリズム、フォックスン・ウルフ、ザ・ティーンエイジャーズ。あ、4組になっちゃったね。デジタリズムのアルバムは、もうすぐKitsuneからリリースするよ。もうすぐリリースされるアルバムでは他に、カザルスの作品が楽しみだ。2月に、パリのスタジオでレコーディングを始めることになっている。フェニックスの最新アルバムをプロデュースしたジュリアン・デルフォードがプロデューサーを務めているんだ。本当に楽しみだよ」
―今、名前が挙がったアーティストはすべて、Kitsuneからリリースされたことがきっかけとなって、注目を集めるようになっています。未開拓のカッティング・エッジな音楽を発掘する原動力は、どこから生まれているのでしょう?
「うぬぼれた言い方なのはわかっているけど、僕らは地球上において、最高のレーベルでありたいんだ。それに、僕はダフト・パンクとの仕事を通じて、彼らから好奇心旺盛でいることを学んだから、最先端のものには常に関心があるんだ。それらの気持ちが、僕らを突き動かしている。僕らはようやく、インターナショナルな音楽業界の中で、多少ながら位置を得られるようになってきた。それによって、Kitsuneのアーティストたちを、より広く知ってもらえたらいいね」


photo DANIELA DILETTO
text & edit TAKAHIRO KAWAMURA
interview TAKAHIRO KAWAMURA
interview トモヒラタ
translation ERIKO HASE