1994年に、メロディック・パンク・バンド、Hi-STANDARD(以下、ハイスタ)のベース&ボーカルとしてデビューした、難波章浩。『GLOWING UP』('95)、『ANGRY FIST』('97)、『MAKING THE ROAD』('99)と、アルバムを軒並み国内外で爆発的にヒットさせたほか、ロック・フェスティバル、<AIR JAM>を自ら企画 / 主催し、音楽活動におけるDIY精神を世に広め、日本のインディー・ロック・シーンに金字塔を打ち立てたカリスマ的存在だ。'00年にハイスタの活動を休止してから、沖縄に移住した彼は、'05年にダンスミュージック・プロジェクト、TYÜNK(テュンク)を始動し、エレクトロニックな音楽スタイルへ傾倒。その後さらなる進化を遂げ、'06年には、ULTRA BRAiNを立ち上げ、ダンス・ビートとパンクを融合させた独自のサウンドを響かせ、多くのリスナーに衝撃を与えた。現在は故郷の新潟へ活動拠点を移し、ソロとしてDJやライブ活動を精力的に行っており、クラブ・ミュージックとロックを橋渡しする重要人物として、リスナー、ミュージシャン双方から絶大な支持を得ている。
そんな難波章浩がこのたび、本名の難波章浩 -AKIHIRO NAMBA-名義では初となるソロ・アルバム、『THE WORLD iS YOURS!』を完成させた。打ち込みのエレクトロニック・サウンドに磨きをかけ、彼の真骨頂であるパンク・ロックとの新たな化学反応を形にした、オリジナリティーあふれる、このアルバム。彼の持ち味である、人々の心を揺さぶるメロディーや、真摯で前向きなメッセージを投げかけるボーカルも存分に味わえる会心作だ。また本作には、「JUMP! JUMP!! JUMP!!!」にKEN YOKOYAMA、「WAITING FOR YOU」に恒岡章と、ハイスタ時代のバンド・メンバーが参加しているほか、「ロックイット」に、ハーツレヴォリューションのロー(vo.)がフィーチャーされていることでも、話題となっている。
難波章浩の、音楽に対するピュアでストレートな思いが結実した新作、『THE WORLD iS YOURS!』。その制作背景に迫るべく、本人にロング・インタビューを行った。
【難波章浩というオリジナリティーを確立するまでの道】
――オリジナル・アルバムのリリースは、ULTRA BRAiN『NEO PUNK』以来、約4年ぶりですね。この4年間では、どんなことを目標に音楽活動をしていましたか?
「ULTRA BRAiN以降目指していたのは、とにかく自分のスキルアップでした。スタジオ・ワークをなさっている方はすごく多いですが、みなさん本当にストイックにやっているんですよね。ストイックにやらないと、高いところまでは到達できないんですよ。もともと僕は、“テクノ”をつくるクリエイターではなく、バンドをやっていて、その後ULTRA BRAiNでエレクトロニック・ミュージックの感覚を教えてもらい、それからソフトの使い方を覚えていったんですが、それを自分のものにするのに、4年かかっちゃったんですよねぇ」
―その成果を、このアルバムで形にできたということでしょうか。
「そうですね。“ULTRA BRAiNでギャンギャンやっていたのが、4年間でなぜこうなったのか”っていう、自分の道なりやクリアにしてきたものを、このアルバムではポジティヴなメッセージと共に届けたいなと思ったんです。これを通じて、難波章浩っていうオリジナリティーが生まれたら、楽しいことになるんじゃないかと思いますね」
――TYÜNK、ULTRA BRAiNでの活動を経て、ソロに到達するまでの間には、どんな経緯があったのでしょうか?
「ULTRA BRAiNでは、ケミカル・ブラザーズぐらいの位置まで行ってやろうと思っていたんだけど、その後、一緒に制作の中心を担っていたメンバーと生活の拠点が離れてしまって。結果、一人になっちゃったんだよね。それで焦っちゃってさ。“あぁー、もうダメか。俺はPCもできないし...”って思って、アコギを弾き始めたんですよ。万が一のことがあっても、アコギ一本で回ってやる! って、慣れないギターを弾き始めて(笑)」


