UKのアンダーグラウンド・シーンを中心に、'00年代中盤以降、独自の進化を続けているサウンド、ダブステップ。ドラムンベース〜グライムの中から発展した、このヘビーかつドープな音楽は、現在ヨーロッパやアメリカにも伝播し、さらなる広がりを見せている。
ここにご紹介するブレイキッジことジェームス・ボイルは、'00年にナスティ・ハビッツ作のハードコア・クラシック「Here Comes the Drums」のリミックスで頭角を現して以来、そんなダブステップ・シーンと共に成長を遂げてきた、注目の実力派クリエイターだ。彼に、まずは制作活動を始めた経緯を聞いてみた。
「(DJを始めた時は)ドラムンベースをやっていたけど、同時に他の音楽もいろいろ試してたよ。弟がよくUKガラージ(2ステップ)やグライムをかけていたからさ。で、12歳くらいの時にパソコンをいじり始めて、14歳の時に学校でCubase(楽曲制作ソフト)の授業を受けてから、真剣に音楽をやるようになったんだ」
そんな彼が、シャイFXのレーベル、Digital Soundboyから、『This To Shall Pass』('06)以来となる最新アルバム『ファウンデーション』をリリースする。“アルバムが完成するまでに2年半から3年かかった”という本作。そのコンセプトについて聞いてみた。
「何を成し遂げたいのかは分かっていたけど、具体的ではなかったね。アルバム全体の音が決まってから形になるまでに、結構時間がかかった。クラブっていう環境の中と外、両方で聴けるアルバムにしたかったんだ」
タイトル・トラック「Foundation」は、どのようにして誕生した曲なのだろうか?
「(タイトル自体は)ある日、頭にパッと浮かんだものなんだけど、「Foundation」は、その言葉通りの曲にしたかったね。俺が聴いてきた音楽、歩んできた道、そしてこれから進んでいく道、その全てが俺の“ファウンデーション=土台”となっているから、それを一曲で表現しようと思ったんだ」
そんな本作の内容は、シーンの大物、注目株も多数参加した、正に彼の“ファウンデーション”を感じさせるもの。そのゲスト・ラインナップは、UKを代表するMC/ラッパー、ルーツ・マヌーヴァや、UKダンスホール界の重鎮、デヴィッド・ロディガンを筆頭に、ニューアム・ジェネラルズ、ザリフ、キーモ、スレッシュホールド、べリアル、スクリーム等々、幅広い。本作の制作を通じて、彼が新たに掴み取ったものは何だったのだろう?
「正直、ボーカルを録音するのは、俺にとって新たな試みだったね。あと、今回Logic(楽曲制作ソフト)を使ったことも、俺にとっては新しかったな。だから、今回はありえないくらい新たな制作方法を見つけられたよ!」
プロデューサーとして日々成長を遂げていく様子を、ヘビーなベースラインと、無駄のないハーフ・テンポのビーツで表現した『ファウンデーション』。本作は、ブレイキッジの才能と、ドラムンベース〜ダブステップの未来が詰まった注目作だ。


