【覚悟を決めて制作したアルバム】
――ニュー・アルバム『A journey to freedom』を聴いたとき私は、“今回DE DEさんは、一つ突き抜けた気持ちで制作に臨めたんじゃないかな?”と思ったんですよ。
「うんうん。僕が使っている民族音楽のサンプリング・ボイスって、当初はバリエーションの一つにしか過ぎなかったんですけど、今作は、“自分はボイス・サンプルと骨を埋めるべきなのかな?”と、覚悟を決めて制作したアルバムだったんですよ。僕自身は昔から、ワンパターンって言われるような音楽をやってきたつもりは無かったけど、20歳ぐらいの頃には、当時のエレクトロニカ・クリエイターについて“リチャード・デヴァインなんて、どの曲も全部一緒じゃん。でも、一緒だからこそ個性になってるんだよな。ワンパターンでも、突き詰めるとそれは個性だよな”とか、偉そうに言ってたりして(笑)。でも、まさしくその通りだなって感じたんですよね」
――なるほど。あと、音の端々に人間らしさが出ているとも感じたのですが。
「それは多分、僕が悩んでいたっていうのが伝わっているんですよ(笑)」
――それってある意味、とても素直な表現なんじゃないですか?
「感覚的にパッてつくって、“自分は天才だ”みたいに言うクリエイターもいるじゃないですか(笑)。僕はそれよりも、等身大の自分、そのままの自分を、素直にやった方がいいなって思ったんです。カッコ悪かったら、カッコ悪い自分を出せばいいし。だから今作は、背伸びをするのはやめたーっていうアルバムになっていると思いますよ。悩んでつくったものは、悩んでいる感じが伝わるだろうし」
――DE DEさんのそういうスタンスは、ライブにも表れていますよね。全てをさらけだしているというか、嘘でも、建前でもない、音楽に対する真摯な気持ちが伝わってきます。
「avexに移籍した後も、結局僕はやりたいことしかやってないんですよ。本当なら、もっとコマーシャルなことをやらなきゃいけないところを、全部すっ飛ばしてますからね(笑)。外部の仕事が来ても、“これ、やりたくないからやりません!”って言って、“ワガママだなー”って怒られたり(笑)。そういう意味では、僕に声をかけて、ここまで守ってくれたディレクターやマネージャーには、すごく感謝していますね。とはいえ、やりたいことしかやってこなかった中でも、悔しい思いをした出来事もあったから、そういう意味では成長しているんですけどね。『A journey to freedom』にも、やりたい曲、つくりたい曲しか入れていません。惰性もない。僕自身が完璧主義でもあるので、絶対他人に口を出させなかったし。エンジニアさんにミックスをやってもらう話もあったんだけど、断固としてはね除けたんです。“だったら、僕がディレクターを納得させるだけのミックスをします”って言って、めちゃくちゃ話し合ってケンカしたこともありましたね。やっぱり、自分は自分と戦いたいっていうのがあるんですよ」


