【ジャンル分け不要のハイブリッドな楽曲群】
――「double moon song」は、アンビエント的な上音が展開された、新しいアプローチの楽曲ですね。
「実は、この曲を聴かせたいために、アルバムをつくったとも言えるんですよね。この曲のベースになったトラックは、僕が19歳ぐらいの時につくったものなんですよ。リズムの基本的なパターンは当時から変わっていなくて、それを今風にアップデートして、情報量を増やしました。アンビエント+ブレイクビーツって、自分が一番好きだった頃のテクノなんですよ。今のDE DE MOUSEは、FM音源的なきらびやかさっていうイメージを持たれているけど、アンビエント感はもともとすごい好きだし、これまでとは違う要素も入れたかったんです」
――楽曲のイメージ源は何だったのでしょうか?
「僕は、宇宙とかに憧れを持っていて、そのきっかけになったのが、NHKで深夜に放送されている、映像と音楽だけの番組なんですよ。そこで、ボイジャーのたどった航路をCGでシュミレーションした映像が、ずーっと流れていたことがあって。その時BGMになっていた音楽が、どれもこれも最高だったんですよね。その時は、ちょうど学校が夏休みだったから、夜中はテレビをつけて、ずーっとそれを見ていて(笑)。「double moon song」は、“自分の曲もいつか、こういう宇宙の映像と一緒に流してほしい”って思いながらつくった曲なんです」
――全体的にシンフォニックな響きなので、壮大な世界観を感じました。
「おぉ。聴く人によって、いろんなイメージがありますね。宇宙飛行士の出発場面をイメージするっていう人もいたんですよ」
――そうなんですね。「station to stars」は、ボーカルのアプローチがこれまでと違いますよね。
「ソウル・ミュージックのボーカルをサンプリングしてメロディーをつくってみたら、歌詞もラブソングっぽい感じに偶然なったんですよ。“これ、誰に歌ってもらったの?”って言う人もいました(笑)。全然知らない人の声を加工していて、オリジナルはもっと低いダミ声の人なんですけど(笑)」
――あははは(笑)。ブラック・ミュージック特有の、グルーヴ感が表れていますよね。
「アーリー'90sのテイストや、ジャングルになる前のハードコアみたいな感覚やビートは、わりと以前からテーマにしていたんですよね。この曲では、ブラック・ミュージック的な粘りというか、ハードコアとはまた違う形で、アーリー'90sっぽさを出したんです。まあでも、使っている音にアーメン(・ブレイク)とかもあるから、そこでヘンなサウンドになっているのが、良いなって思います。聴く人によっては、ダンス・ミュージックのクラシックスみたいな印象を受けるかもしれませんね」


