‘89年に、石野卓球とピエール瀧が結成した電気グルーヴ。ダンス・ミュージックをベースにしたエレクトロニック・サウンドと、ユーモアや毒気を含んだ歌詞の世界を融合させ、独自の音楽性を打ち出してきたユニットだ。'08年には、8年間の沈黙を破り、『J-POP』と『YELLOW』という2枚のオリジナル・アルバムを立て続けに発表。ライブ・ツアーも行い、全国のファンを喜ばせたばかりだ。
そんな彼らが、今年ついに結成20周年を迎えた。それを記念してリリースされるアルバムが、ここにご紹介する『20』だ。本作に収録されている楽曲は、ダンス・トラックをベースにした前2作とは異なり、ボーカルを全面にフィーチャーしたニューウェイブ・ポップが中心。その曲調や歌詞は、祝福ムードに満ちたものというよりも、聴けば聴くほどストレンジ・ワールドの奥深くへと誘われるようなものとなっている。
リスナーの予想を良い意味で裏切るアニバーサリー・アルバムとなった『20』。その制作背景と20年間の活動について、石野卓球とピエール瀧から話を聞いた。なお、本作の初回限定盤には、新曲のカラオケ・バージョンやリミックスを収録したCDと、「ピエール瀧の体操42歳」をはじめとする新曲のビデオ・クリップを収録したDVDが同梱される。
変幻自在の20年
――電気グルーヴ結成20周年おめでとうございます! まずは、これまでの活動を振り返っていただきたいのですが、どのようなスタンスで活動してきた20年だったと言えますか?
石野卓球(以下、卓球)「20年といっても、その時々で置かれた状況も目指す方向も違っていたので、それに合わせて変えていった部分が大きかったですね。そのときの状況に抵抗するというより、流されてみたというか。もともと6人のメンバーがいたのに、最初のライブですでに3人減っていたことから始まって、メジャー・デビューして、海外でレコーディングやライブをして、歌謡曲のヒット・チャートに入ったり、ラジオもやったり...本当にいろいろありましたからね。これまでの活動をトータルで総括するなら、一つのことだけをやり続けてきたわけではなく、分裂していた。だからこそ、ここまで続いたのかもしれないですね」
――前回のインタビューでは、“長くやることを目指していたわけではなく、気づいたら20年経っていた”と言っていましたが、20年の長さを考えると、感慨深いものがあるのではないでしょうか?
卓球「10代の頃は、“キャリア20年”というとすごく重みがあるように感じていたけど、自分たちがその立場になると、この薄っぺらさは何だって感じ(笑)。重みなんて全然ないですよ」
ピエール瀧(以下、瀧)「レストランの名店とか老舗の和菓子屋みたいなところだと、20年というと凄みがあるけど、リサイクル・ショップを20年やっていても、別に感慨とかないじゃないですか」
一同「(笑)」
――電気グルーヴは、リサイクル・ショップなんですか(笑)。
瀧「そうですね。リサイクル・ショップじゃ花輪も届かないですから。20年やってきたことも、生き残っているのも事実なんだけどね。20年前の商品もまだある、みたいな感じですかね(笑)」
卓球「電池の切れたフラワーロックとかね(笑)」
瀧「捨てるのもなんだし、一応置いとくかっていう(笑)」
――今後はどんな活動を展開していきたいですか?
瀧「今まで通りじゃないですかね、ホントに。目標とか持たずに来たから、20年やれたんだろうし」
卓球「これからも、行き当たりバッタリというか、フレキシブルにね」


