――分かりました。では、各収録曲についても、話を聞かせてください。まず、タイトル曲「anthem」ですが、涼しげなキーボード・サウンドがとても印象的ですね。
「そうですね。このシンセの音色をいじりはじめたのは...去年の秋くらいでしたかね。なんで、『decadance』にも、その片鱗がちらほら出ていると思うんですけど、何と言えばいいのかな。エレクトロみたいにブリっとした感じの音じゃない、よりシンセサイザーっぽい音ですね。僕の中で、今流行ってる音です。ちょっとサイケっぽい感じもあるかな。僕らには “こうしなきゃいけない”という制限がないんで、自分の中でフィットした音色、イケてると思った音色なら、何でも使っちゃうんですよ。感覚的な問題なんですけど」
――で、続く「the mugendai dance time」は、一転して打ち込みベースのダンス・トラックになっていますね。
「ええ。こういうこともできるんだよ、ということを、一回見せておきたかった感じですかね(笑)。 ライブのときにやる“MUGENDAI DANCE TIME”の導入部分を、楽曲化しようと思ってやりました。ちょっとギャグも入っているんですけど、相当ちゃんとつくったんですよ。ドラムの音やシンセの音にはかなりこだわりましたんで、日本でやっている本職のエレクトロの人達にも、ぜひ聴いてもらいたいですね」
――「I said enough for one night」や「lady」では、どんなことをやりたかったんですか?
「エレクトロっぽさもあるんですけど、シンセを手弾きしていたりするんで、決してエレクトロのアプローチではないってところがポイントですかね。ただ、「lady」は、ちょっと残念です(笑)。ギリギリで終わらせたんで、かなり心残りのあるクオリティーですね。とはいえ、冒頭で言った通り、納得はしてますよ」
――最後の曲「music you like」は、どこかトロピカルな作風に仕上がっていますね。
「この曲は、ビート・パンクっぽいノリに、7thのコードと、奥の位置で歌うヴォーカルという、いままでになかった感じをやってみたくて、つくりました。水の音っぽいシンセ音は、わざと邪魔な感じにしたくて、大きな音で入れてみましたね。その方が音楽的かなって思って。あえて、あの気持ちいいプクプク音と楽曲を一緒にして、耳をグチャっとさせたかった」
――サイケデリックな発想ですね。
「まぁ、アートワークも、結局そっちになっちゃいましたしね(笑)。まだ「anthem」しか曲がない段階で、デザイナーさんと打ち合わせしたんですけど、“祭壇が似合うと思います”って言われたんですよ。すごく気に入ってます。音楽とちゃんとリンクしたジャケットになっていると思いますね」
――本作には、7月に恵比寿リキッドルームで行なったライブの模様をまるごと収録したDVDも付いていますね。この日のパフォーマンスは、いかがでしたか?
「インディー時代の先輩、FRONTIER BACKYARDと一緒にやれたことが、一番大きかったですね。で、このライブをやった翌日が、実はスタジオづくりする日だったんで、区切り感もかなりありました。DVDのミックスも僕がやったんで、是非ちゃんと聴いてみてください。けっこう自信があるんで」
――では、最後に今後の活動目標を教えてください。
「自分達で音をつくれるってことが分かっちゃったんで、これを取っかかりに、どんどん自分達で音楽をつくっていきたいですね。だから、当面はビジネスとか関係なく音をつくっていくだけですかね。スネアの音一つにだって哲学がありますから。楽しいですよ。イヤなことなんて一つもないですよ(笑)」


