Rom=Pari名義での活動を経て、’01年にファースト・アルバム『Dummy Variations』をリリースしたジョセフ・ナッシング。これまでに、μ-ziqが主宰するPlanet-μより、4枚のアルバムを発表。その実験的なサウンドと、ユニークなポップ・センスで、国内外のエレクトロニック・ミュージック・シーンにおいて、高評価を獲得している鬼才プロデューサーだ。彼に、まずはジョセフ・ナッシングの活動コンセプトについて尋ねてみた。
「特別なコンセプトはないのですが、しいていえば、ジョセフ・ナッシングとしての活動は、自分が考えるポップ・ミュージックの追求ということになると思います。ちなみに“Joseph”という名前は、アメリカで生まれた時の出生登録ミスで自分の本名になっていて、“Nothing”はPlanet-μの“μ(mu)”=“無”というところから名付けました」
そんなジョセフ・ナッシングが、約2年半ぶりのニュー・アルバム『Shambhala Number 2&3』をリリースする。本作は、'07年の前作、『Shambhala Number One』に引き続き、チベット仏教用語で、“桃源郷”を意味する、“シャンバラ”をタイトルに冠した2枚組の作品だ。これら一連の作品には、どんなテーマがあるのだろうか?
「チベット仏教でいう“シャンバラ”も含め、トータルでの“桃源郷”が、一貫したテーマとなっています。各曲のタイトルには、それに関連する言葉をいろいろと使っているので、気になる言葉があったら、ググってみると面白いと思います。作品の内容の関しては、僕が説明するより、聴いた人が自由に妄想してもらうのが一番だと思っています」
DISC1の『Shambhala Number 2』では、エレクトロニカや、ブレイクビーツ、テクノ、民族音楽など、多種多様なテイストをベースに、独自のポップ・サウンドを展開。ドリーミーでファンタジックな世界観を描き出している。本作は、どんなことがインスピレーション源となったのだろう?
「画像のコラージュ作品や、コマ撮り映像を制作しているときなど、音楽以外の趣味に接している時に、フッとアイディアが湧いてきたり、曲の構成が見えてくることが多かったです。あとは、外で音を録音してる時に予想外の音に出合い、色々な世界が一気に頭の中に広がった時も、たくさんありました」
そう彼が語るように、DISC2の『Shambhala Number 3』は、深夜の廃墟病院や離島の廃墟、工業地帯等、様々な場所で録音した素材のみでつくった楽曲を収録している。なぜそうした場所で録音を行ったかを尋ねると、驚きの答えが返ってきた。
「最初のきっかけは、幽霊とコラボレーションしたいと思い、幽霊の音を録音するため、深夜に廃墟病院へ通い続けたことです。建物内は荒れ果てていて、いろいろな風の抜ける音がしたり、ドアが勝手にバンバン開閉したりと、最初は驚きました。『Shambhala Number 3』では、真剣に耳をすませば、幽霊の声が聴こえるかもしれません(笑)」


