地元、米バーモント州のローカル・ラジオで流されていたディープ&テック・ハウスに影響を受け、15歳の頃にアーティスト/DJ活動を始めたモーガン・ペイジ。'00年初頭にリリース活動を開始し、BEDROCKやSAW.からのシングル作品や、マドンナやコールドプレイのリミックス作品を通じて、着実にキャリアを重ねてきた実力派だ。現在は、LA在住。昨年は、アルバム『Elevate』(’08)からのシングル曲「The Longest Road (Deadmau5 Remix)」がグラミー賞にノミネートされ、話題を集めている。日本では、映画『20世紀少年』の主題歌、T.REX「20センチュリー・ボーイ」のリミックス作品でご存知の方も多いだろう。
そんな彼が、ビルボード・クラブ・チャートでロングセラーを記録しているシングル「Fight For You feat. Lissie」を含む最新アルバム、『ビリーブ』をリリースした。モーガンに、まずは本作のテーマについて聞いてみた。
「(トラックではなく)強力な“ソング”で構成された、フル・アーティスト・アルバムをつくることがゴールだった。ボーカルも入っているし、曲ごとに時間をかけてつくったから、長年聴けるアルバムになったと思う。ダークでシネマティックな作品だね」
こう彼が語る通り、リッシー(エリザベス・モリス)、ジャン・バートン、アンジェラ・マクラスキーといった実力派シンガーをフィーチャーした本作の内容は、ダンス・フロアに限定されない、キャッチーにしてムーディーな楽曲群を収録したもの。音づくりでは、アナログ・シンセと生楽器のミックスにこだわったという。その理由は何なのだろう?
「アナログ・キーボードと生楽器は、とても上手く融合すると思う。それらの様々な音を、パレットに並べるような感覚で混ぜ合わせていくと、面白い具合に絡むんだ。例えば、シンセのベース音とアコースティックのベース音を混ぜると、ユニークなテクスチャーが生まれる」
こうしたサウンド・プロダクションの好例が、ピート・ヨーン(アメリカの人気シンガー・ソングライター)の楽曲をカバーしたセカンド・シングル「Strange Condition feat. Lissie」だろう。この曲には、本作の音楽観が端的に表れている。
「友達が「Strange Condition」とマッチするハウスの曲を探していてね。そのアイディアは、面白そうだって思っていたんだ。僕は、アコースティックな要素をエレクトロニック・ミュージックとミックスするのが、とても好きなんだよ。なぜなら、この二つは完全に違う世界のものなのに、どちらも感情の厚みをたくさん備えているから」
エレクトロニック〜クラブ・ミュージック出身アーティストならではのアイディアとセンスで、ディープかつエモーショナルなポップ・アルバムを完成させたモーガン・ペイジ。本作『ビリーブ』は、彼の音楽的才能が一気に開花した飛躍作だ。
interview & text FUMINORI TANIUE
translation ERIKO HASE
photo Abbot Monroe


