'08年3月に活動をスタートした、エレクトロニック・ロック・バンド、PILLS EMPIRE。ガレージ / オルタナティヴ・ロックの衝動と、テクノ、エレクトロといったダンス・ミュージックの前衛性を兼ね備えた音楽性で、注目度を高めている新進気鋭の4人組だ。'08年9月には、the telephones、THE BAWDIES、the brixton academy、QUATTROと共に、新しいカルチャーを提案するライブ・イベント<KINGS>を立ち上げ、日本のロック・シーンに新しい風を吹き込んでいる。
そんなPILLS EMPIREが、このたびデビュー・アルバム『MIRRORED FLAG』を完成させた。エレクトロニックなシンセ・サウンドを効果的に用いつつも、巷にあふれるダンス・バンドとは一線を画す、ラディカルで攻撃的な音楽性が打ち出された本作。音づくりの要について、メンバーのNaoya(Vo/Ba)、Kokubu(Vo/Gu/Synth)はこう話す。
「KokubuのMoogシンセが、今はバンドのキモになっています。かつて、TR-909によって世界的にハウスが盛り上がったみたいに、“その機材が身近にあったから、このスタイルが生まれた”という感じですね」(Naoya)
「他のバンドと似たような音は出したくなかったし、一聴してわかる、Moog独特の雰囲気を取り入れたいと考えたんです。僕らは、生楽器とシンセを同列で考えているので、ギターをシンセ的な手法で使った部分も多々ありますね」(Kokubu)
ダークかつ退廃的な空気感とシリアスな歌詞をもって、リスナーを強烈に扇動するこのアルバム。そのアティテュードは、どんな価値観から生まれたのだろうか?
「今、周りにはポジティヴな音楽があふれていますけど、僕は、もっと現実を直視して、それに対する打開策を見つけていくっていう視点が大事だと思うんです。意味もなくポジティヴなものに対するアンチテーゼとして、こういったダークなサウンドが生まれたんだと思います。でも常に、その時代の音を出すことは意識していますね」(Kokubu)
「個性を追求したゆえに、アンチテーゼっぽく聴こえるかもしれないけど、それだけではダメだと思っていますね。ニューレイヴと呼ばれていたものや、ジャスティスのようなエレクトロももちろん無視していないし、今の音は必ず聴くようにしています。その上で、自分たち独自のスタイルを目指しました」(Naoya)
時代の一歩先を見据えつつ、独自の感性を光らせた意欲作、『MIRRORED FLAG』。本作を聴いて、PILLS EMPIREのオリジナリティーを、ぜひ感じ取ってほしい。


