これまでに、4枚の自主制作アルバムを発表しているほか、『LOiD-01 -LOiD's LOGiC-』、『初音ミクDVD 〜impacts〜』などのボーカロイド・コンピレーション、ゲーム・ソフト等に楽曲や映像提供を行っているsasakure.UK。楽曲のみならず、映像までをも自ら手がけ、ニコニコ動画をはじめとする動画サイトで高い人気を博している、注目のクリエイターだ。彼に、これまでの音楽遍歴や、影響を受けたミュージシャンについてメールで尋ねたところ、こんな回答が帰ってきた。
「幼少期は、1日1時間ゲーム・ミュージックを聴くという、簡単な活動をしておりました(笑)。それから男声合唱をしたり、QY100というオールインワン・シンセを使って、趣味でひたすら作曲編曲を行っていたりもしました。ミュージシャンでいうと、たま、P-MODEL、矢野顕子さん、ピチカート・ファイヴ等の音楽には、幼い頃からとても大きな影響を受けてきました。あとは、昔お世話になったレトロ・ゲーム・ミュージックとか...。とにかく、挙げるとキリがないですね...!」
幼い頃から慣れ親しんだゲーム・ミュージックや国産ポップ・ミュージックがベースになっていると語るsasakure.UK。彼が楽曲制作を始めたきっかけは、何だったのだろう?
「本でも、音楽でも、ゲームでもそうなんですが、その作品の持つ“世界”に心を大きく動かされて、楽曲制作を始めました。これは、キモチの恩返しなのかどうか分かりませんが、“実はこんな世界や、こんな音楽があったんだよ”といった感覚を、できる限り多くの人に伝えたいと思ったのがきっかけでしょうか。ただ、影響を受けた作品のありのままでは、どうしても伝えられないものがある。だから、それらを限りなく大きく取り込み、自分なりの形で昇華させて、自身の世界観やアプローチでもって発信するこで、初めて人に伝えられるものだと思っています。音楽の持つ世界観や物語性を、音楽的にアート寄りに、そしてデフォルメして表現していけたらいいですね('ω')」
sasakure.UKの語る“物語性”が強く打ち出された楽曲が、彼の代表曲の一つ「*ハロー、プラネット。」だ。生命が死に絶えた世界にたった一人残されたボーカロイドが、大切な人を探し求めて冒険するストーリーを歌と映像で展開したこの曲は、前作にあたる「ワンダーラスト」と合わせて多くのリスナーの胸を打ち、ニコニコ動画でミリオン間近の97万再生(2010年3月現在)を越える大ヒットを記録している。
「僕がボーカロイドを使って発表する作品は、“ボーカロイドだからこそ最大限に表現できる作品”を心がけながら制作しており、「*ハロー、プラネット。」と「ワンダーラスト」では、それを最も表現できたのではないかと思います。これらの楽曲の背景には、ヒトと、ヒトの形を模したものたちが、世界の"終末"に対して、小さな存在ながらも大きな行動を起こすという物語があります。この先、どんなに暗くて悲しいことがあったとしても、何かしようとする前向きなキモチや、ひたすら純粋なものって、どこかにきっと存在する、ということを伝えたかったんです。それが、僕の中では“オワラナイウタ”や、“オハヨーハヨー”という単語だったんです」


