ーーたくさんのミュージシャンから良い要素を引き出す、SHANTIさんならではのコツってありますか?
「そうですね...。実は、ミュージシャンどうしが、たくさんおしゃべりしたり、食事を一緒にするっていうのが、すごく大事だと思います。ミュージシャンって、それぞれが個々のアーティストじゃないですか。みんな“自分時間”で生きているので、一緒にいても居心地にズレがあるんですよ。それは、私が自宅に招いて食事をつくったり、お茶を飲みながら話していくことで、お互い気持ちがほぐれて解消されるんです。そうやってリラックスした後に、何も考えず演奏をすると、すごく良いものが出てくるんですよね」
ーーそれは、意外なコツですね。作曲のアイディアは、どのように生まれるのでしょうか?
「歌詞とメロディーが同時に、頭の中に聞こえてくることが多いです。何日も何日も、4〜8小節ぐらいのメロディーが鳴って、頭から離れなくなるんですよね。『BORN TO SING』で、他のミュージシャンと共作している曲も、メロディーは基本的に私が書いたんですけど、ミュージシャンの人たちがセッションで弾いていた、コードのニュアンスや雰囲気の中に、情景みたいに言葉が見えてきたんですよ。すべてが自然発生なんです」
ーーセッションやライブで生まれる一瞬一瞬を、切り取って曲にできるのは、SHANTIさん自身が、歌と楽器演奏という双方のフィーリングをわかっているからなんでしょうか?
「楽器が弾けることで、ミュージシャンとつながりやすいっていうのはありますね。でも、ジャズ・ピアニストの演奏と、私の演奏では雲泥の差があるので(笑)。音楽の基本的な理論や、コードのつくり、スケールについても学びましたけど、理論に基づいて曲づくりしているわけではないんですよ。どちらかと言うと私は、アンテナを常に張り巡らせて、いろんなものを吸収しながら音楽をつくるタイプなんです。街には騒音もいっぱいあるし、嫌なものを吸収しちゃうこともあるんですけど、そういうグチャグチャしている、いらない要素が、曲づくりに入ると削ぎ落とされていくんですよね」
ーーところで、『BORN TO SING』には、カバー曲も多数収録されていますね。これらのアレンジでは、どんなところにこだわりましたか?
「ジャズのアーティストって、みんな昔のスタンダード・ナンバーをカバーしているじゃないですか。でも大体は声が違うだけで、わりとアレンジの似たものが多いんですよね。それじゃつまらないと思って。昔の曲をリスペクトする気持ちと、今のリスナーが聴いても良いなって思えるようなアレンジ、その両方を形にしようと思いました」
ーーたしかに、まるで全く新しい楽曲のように聞こえる、挑戦的なアレンジになっていますね。
「ギター・トリオで演奏していると、ドラムやベースがいないから、全体的に単調になりやすいんですよ。だから、小編成でどこまでアレンジできるかも、課題の一つでしたね。ジャンゴ・ラインハルトっていう、ロマ・ミュージックのギタリストがいるんですけど、彼の曲にあるザクザク感やスピード感が、面白いなと思って。そのスタイルを取り入れてみたり、いろんな表情を上手く演出できるアレンジを選んだ感じかな」
ーー最後に、今後の活動に対する思いを聞かせてください。
「アルバムを聴いて、ライブに来てほしいっていう気持ちが一番大きいですね。音源で表現した温かさをライブでも伝えて、お客さんとの関係性を育てていきたいと思っています」


