――その辺りが、普通のダンス・ミュージック・クリエイターにはできない部分なんですよね。ところで、『The One+』のインタビューのときに、“ブレのない海外のカッティングエッジなアーティストと仕事をすると、楽しい”と言っていましたが、その考えは現在も変わっていませんか?
「いや。今はブレがない相手かどうかということよりも、もうちょっと自分的に興味ある相手かどうかという点を重視する、より積極的な感覚になってますかね。エレクトロに限定されす、幅広いエリアに興味がありますし」
――『TEPPAN-YAKI』は、実は大沢さんのエレクトロ時代を総括する作品だったりするんじゃないかと思うんですが、いかがですか?
「ああ、そうかもしれないですね」
――大沢さんの歩みを見てみますと、大体4〜5年でドラスティックな変化が起きているので...。
「そろそろくるんじゃないか、と(笑)。確かに。もうね、ちょっと疲れているんですよ。ただ、以前のように、明確にハウス・マナーのものからエレクトロっぽいものに変わりたいというヴィジョンがあるわけじゃないですね。とにかく、ここに留まって、グルグル何かをかき回しているような状態は止めたいな、という感じです。自分にとってもっと新鮮な何かがあるはずだし、エレクトロと呼ばれているものの中にも、精神的というと大袈裟なんですけど、心がコミットメントできる、気持ちが入るような音もあったと思うんでね。それがどんどんハードな音になって、どこまでドライブできるかというものばかりになってきたので、それに対してちょっと疲れてきているような気がしているんですよ。だから、全体的にもうちょっと気持ちが入るような音へと向かう予感がしているんです」
――なるほど。
「僕自身は、そういう気持ちになってきてますよ」
――ところで、大沢さんが「Star Guitar」のカバーをやったとき、僕は最初理解できなかったんです。“なんで「Star Guitar」?”って思っちゃったんですよね。で、最近になって、このカバーは、大沢さん的にはクレプスキュール(Les Disques Du Crépuscule:'80年代を代表するベルギーのネオアコ系レーベル)の流れでやってるんじゃないのか、と思うに至ったんです。
「なるほど。はいはい」
――「Star Guitar」をロック・ファンが好きな側面で解釈すると、大沢さんが「Star Guitar」をピックアップした理由が分からないんですけど、クレプスキュール的な、叙情的な流れで解釈すると、すごく分かるというか。
「ああ、でもそうですね。クレプスキュールかどうかは別にして、僕の音楽的バックボーンとなっている'80年代のニューウェイブを背景にして、「Star Guitar」を切り取ったことは確かです。ケミカル・ブラザーズへの思い入れもありますけど、それ以上に、ニューウェイブやネオアコへのオマージュが強かったと思います。イントロの変なストリングスを、ソリーナ(ARP String Ensemble)みたいな'80年代のサウンドでやってみたのもそうですし」


