【ジャンルを越えたコラボレーションが楽しめる『Do You Remember That Night?』】
――『Do You Remember That Night?』には、この10年間に発表した楽曲がリエディット・バージョンで収録されていますが、こちらは『Midi In Midi Out』と対照的で、ボーカル曲が中心のラインナップですね。
「そうですね」
――各曲には、個性豊かなボーカリストが参加していますが、オリジナルを制作した当時は、どのように楽曲のディレクションをしたのですか?
「最初から、その歌い手をイメージしてつくった曲もあるし、曲ができてから、一番合う人にボーカルをお願いしたものもありますね。僕はバンドでボーカルをやっていたんで、歌う人のことも、ある程度わかった上でディレクションできたと思います。仮歌も自分で入れているので、ボーカリストに気持ちを伝えやすかったです」
――ソウルやハウス方面のシンガーだけでなく、シャーラタンズのティム・バージェスや、BEAT CRUSADERSのヒダカトオルさん、曽我部恵一さんなどを迎えているのは、とても斬新だと思いました。
「そう言ってもらえると嬉しいですね(笑)。当時は、“フィーチャリング”なんて言葉もポピュラーではありませんでしたし(笑)、ダンス・ミュージックをバンドの人に歌ってもらうことも、あまり無い試みでした。海外のアーティストは、ジャンルとかシーンにこだわらず、純粋に音で判断してくれるんですよね。それもあって、ティム・バージェスは快く参加してくれました。ヒダカ君とのコラボは、アニメ『BECK』のサントラに入っていた、BEAT CRUSADERSの曲がめちゃくちゃカッコよかったから、一緒にやってみたいって盛り上がって実現しました」
――「Star Baby」は2004年に発表された楽曲ですが、その後様々なリミックス・バージョンが登場し、今でもフロアで支持されていますよね。
「嬉しいことですよね。イビサで乗ったタクシーの中で、「Star Baby」がかかった時は、僕も驚きました(笑)。タクシーの運転手さんと、“これ、僕の曲なんですよ!”って盛り上がった記憶があります」
――あははは(笑)。でも、そういう体験があると、10年間の活動に対する思いもひとしおなのではないですか?
「そうですね。2000年に初めてイビサに行って、“DJってスゲーな”って思い、自分もDJを目指したわけなんですが、そのときにイメージしていた理想の自分に、今はなれたと思っているんですよ。PachaでもDJやってるし、むしろ当時考えていた以上のことが実現できていますね。DJって、なろうと思ってなれるものではなく、お客さんに認められて初めてDJって言えるわけじゃないですか。だから、応援してくれたり、パーティーに遊びに来てくれる人がたくさんいることは、本当に幸せですね」
――この10年間で得たものは、相当大きかったんですね。ところで、『Do You Remember That Night?』でも新曲を披露していますが、この「That Night feat. Tomomi Ukumori」は、どんなコンセプトの楽曲なのですか?
「この曲は、だいぶ前に制作し始めたものなんですが、僕が感じる、“イビサの失われたもの”が全部詰まっている楽曲ですね。モーターサイクルの「As The Rush Comes」とか、デヴィッド・モラレスの「Here I Am」、ディープ・ディッシュの「Say Hello」みたいな、胸に突き刺さるような曲って、ホント最近無いんですよね。それもあってか、ここ数年は自分の気持ちもイビサから遠ざかっていて...。なので、「That Night」は、そういう感情を思い出すような曲にしたかったんです」
――Sugiurumnさんの、内なる思いが込められた曲なんですね。では最後に、ソロ活動10周年の節目に思う、今後の展望を教えてください。
「海外での活動を、もっと増やしたいですね。あと、最近はCDではなくダウンロードが主流になってきているので、出せるうちに、CD形態でオリジナル・アルバムも発表したいと思っています」




