2005年に活動を開始して以来、これまでに7枚のアルバムをリリースしているVOLTA MASTERS。楽曲制作だけでなく、KRS-ワン、ラスコ、1773のリミックスを手がけるなど、ヒップホップ・シーンを中心に活動する、気鋭のトラックメイカーだ。そんな彼が注目を浴びるきっかけとなったのが、坂本龍一「戦場のメリークリスマス」をサンプリングした「Mr.lowrence / Heart Music Remix」や、クラシックの名曲「カノン」をモチーフにした「Words For(now you know)Remix」といった、大胆かつ斬新なネタ使いの楽曲群。これらの楽曲を収録した'08年のアルバム『At Work』は、10万枚を越えるセールスを記録し、コアなダンス・ミュージック・リスナーから一般リスナーまで、幅広い層をとりこにしている。まずは彼に、ダンス・ミュージックに興味を持ったきっかけを聞いてみた。
「18〜19歳の頃にクラブで働いていて、そこで初めて、ダンス・ミュージックに触れました。当時は、ソウルやR&Bといった、ブラック・コンテンポラリーを中心に聴いたりプレイしていて、クインシー・ジョーンズやベイビー・フェイスがプロデュースした作品が好きでしたね」
サンプリング自体は、今やスタンダードな表現手法となっているが、VOLTA MASTERSの楽曲がここまでリスナーの心をつかんでいる理由は、彼独自の選曲センスにある。サンプリングされている楽曲は、クラシックからテレビ、アニメ、ゲームのテーマソングまでと実に幅広く、どれも日本人の心の琴線に触れる名曲ばかりだが、どんな基準で選んでいるのだろうか?
「明確な基準があるわけでも、売れることを狙ったわけでもなく、純粋に自分の好きな曲を使っただけなんです。しいて言えば、自分がDJでかけたときに盛り上がる曲ということは意識していますね。トラックメイカーの多くは、誰も知らない曲を選んだりと、コアになりがちだけど、アニメでもゲームでも、いいと思った曲は何でもやってみたいと思っています」
そんな彼がこのたび、ニュー・アルバム『Lovers』をリリースする。Monday満ちるや、エリーシャ・ラヴァーン、1773、紗羅マリーといった多彩なアーティストが、ボーカルやラップで参加した本作。スーパーマリオブラザーズのテーマや、ケイト・ブッシュの「Wuthering Heights」、葉加瀬太郎の「Etupirka」など、ゲームやテレビ番組でおなじみのネタをサンプリングした楽曲からオリジナル曲まで、バラエティー豊かな12曲を収録している。本作は、どのようなテーマのもと、制作したのだろう?
「リード曲の「Justin' Love feat.Monday Michiru」が持つ歌詞や世界観が、アルバムの核になっています。それを軸に、“Love”に関する言葉を、音の響きにもこだわりながら探していきました。前作はヒップホップ・アルバムだったけど、本作はR&Bが主体で、個人的には全曲バラードみたいな印象を持っていますね」


