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ACO インタビュー/LOUD135号

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甘美なボーカルとエレクトロニック・ミュージックのキッチュな出会い


 日本のポップ・ミュージック・シーンでは、今でこそ数多くの女性シンガーが活躍しているが、ACOはその先駆け的存在として95年、18歳でデビューを飾っている。その後は、1stアルバム『Kittenish Love』('96)、 『Lady Soul』 ('98)、
『absolute ego』('99)といった初期の名盤で、女性を中心に多くのリスナーから支持を獲得。たぐいまれな歌唱力と、一筋縄ではいかない豊かな感性、愛らしいルックスで、一目置かれる存在へと成長している。2001年にリリースされた『material』では、ダビーでアンビエントな作風へ移行。2003年の『irony』では、アイスランド出身のバンドMUMをプロデューサーに迎え、より静かで美しいエレクトロニカ・サウンドも披露している。クラブ・ミュージックとの接点も豊富で、これまでの作品にはエイドリアン・シャーウッド、トリッキー、サトシ・トミイエ、砂原良徳、沖野修也、DJ KRUSH、吉澤はじめらが参加、いわゆるJ-POPには無い音像が話題となった。
 そんなACOの約3年ぶり7枚目となるニュー・アルバム『mask』がリリースされた。ACO作品ではおなじみのメンバー、砂原良徳、澤井妙治、KJ(ドラゴン・アッシュ)とタッグを組んでいるほか、エレクトロニカ・シーンからはAOKI TAKAMASAが参加している。キッチュでポップな“新ACOワールド”が堪能できる意欲作だ。


ラジオでかけてもらえる範囲内にはなってると思います。
今回は、その辺をちゃんと考えてつくりましたね。


★前作『irony』から2年8ヶ月ぶりの新作ですが、この2年8ヶ月はACOさんにとってどんな期間でしたか?
「2004年の5月頃から約一年間、ベルリンに住んでいたんです。で、去年の5月に東京に戻ってきました」
★ベルリンに住んでいたんですか?
「そう。もともと友達が住んでいて、以前に旅行で遊びに行ったことがあったので、それがきっかけなんです。今年でこの仕事を始めて10周年なんですけど、東京での生活も長かったし、長期で行ける機会もそんなにないし、人生一回しかないし、思い切って引っ越してみたんです」
★ベルリンでの生活はいかがでしたか?
「ベルリンは思ったより物価が安くて、食費や家賃がかからなかった点は良かったですね。でも、思ったより過酷でした(笑)」
★そうだったんですか(笑)。ベルリンでの生活は、今作『mask』に影響していますか?
「いや...。やっぱり私にとって、日本での仕事はあくまでも“仕事”なので、ベルリンでの生活がにじみ出るような影響はないですね。もちろんライブに行ったり、いろいろなミュージシャンの方々に会ったり、音楽はいつも日常の中に存在していました。でも、とりあえず自分の中では『irony』を出した時に失敗した感があったので...(笑)」
★失敗? とてもいいアルバムだと思いましたけど。
「もちろん“好き”って言ってくれる人もいっぱいいて、それはそれで嬉しいと思うんですよ。私自身も浅はかにそれをやっているわけでもないし。でも(次に作品を出すときは)、やっぱりもっとたくさんの人に聴いてもらいたいと思ったし、もっと面白いことができたらいいなぁって」
★新作はよりポップですが、音的には『irony』の進化系だと思いました。
「ラジオでかけてもらえる範囲内にはなってると思います。今回は、その辺をちゃんと考えてつくりましたね。前作は、ラジオでかかんなかったんですよ!それは困るなぁって(笑)。でも、(一緒にやった人には)ケンジ(KJ)以外、普段からポップな音づくりしてる人は一人もいないかったから、今回“ポップにできたのは奇跡だった”とも思ってます」
★中でも1曲目の「ya-yo!」は、かなりポップですね。
「まだ制作に入る前、“今回はポップな感じの作品にしていこう”って決めた時、私の中ではまだ、その“ポップな感じ”をどうやって表現していいのか分からなかったんです。で、一緒に制作した澤井(妙治)君と“どんなのつくる?”って話をして、いろいろな曲を聴きながら“こんな感じはどう?”とか言いながら、つくってみました(笑)」
★3曲目の「i know what boys like」はカバー曲なんですね。
「THE WAITRESSEというアーティストの曲です。いろんな曲をダウンロードしてる時に、たまたま出逢った曲で、歌詞がすごくカワイイと思ったんです」
★4曲目「リクノリトウ」は、KJさんとの共作ですね。お二人にしては、とっても意外な感じの作品に仕上がっていてビックリしました。
「うん、私もそう思った。意外な感じだよね。ケンジ(KJ)とは今回すっごい久々に会ったんです。お互い“最近何やってんの?”みたいな感じでした。以前にも共作はしていますが、(編注:'99年、ドラゴン・アッシュの大ヒット曲「Grateful Days」に、フィーチャリング・ヴォーカリストとしてACOが参加している)、こんな感じに一緒にやるのは初めてじゃないかな? 」
★5曲目「coner grrrl」は、ACOさんの作品ではおなじみ、砂原(良徳)さんプロデュースの曲ですね。
「この曲は、まりん(砂原)さんと一緒にやるっていうのが先に決まっていたので、ちょっと遊んだ感じにしてみようと思い、適当にデモをつくって渡したんです。そしたら“これって、ディスコってこと?”っていう話になって(笑)、“ちょっとキッチュな感じにお願いします!”って言ってつくってもらいました」
★ラストはACOさんのデビュー曲「不安なの」のセルフ・カバーです。かなり大胆にアレンジされていますね。
「コレやってる時が一番楽しかった! 女の人には、“ちょっと悪ふざけしてみちゃおうかなぁ”っていうのがあるじゃないですか? 一緒に制作した人が真面目な方だったっていうのもあるけど、男の人にはあんまりそういう発想はないみたいですね」
★ACOさんの作品って、アルバムごとに変化してるし、音楽的にも着実に進化していますよね。
「(作品をつくっていて)何も変わらないのはどうかなぁって思いますね。同じことをするのがヤダってのもあるし、単に飽き性だってこともあるかもしれませんね」
★歌い方もすごく変化しましたよね。
「うん。ちょっと力を抜きたい感じがあったんです。今回の歌入れは、ものすごく楽でしたよ。“まぁこんな感じでいんじゃないの? ”っていう感覚でしたから。前作『irony』の時は歌入れがホント大変だったんですけど、今回は楽しくできましたね」
★歌詞も力の抜けた感じに仕上がっていますね。
「いわゆる普通の、例えばユーミンみたいに状況や風景が浮かぶような歌詞ではもともとないからね。今回はあんまり歌詞に意味がなくてもいいんじゃないかなって」
★デビュー当時から、ほとんど全ての作品で作詞作曲をしていますが、作曲はどのような方法でしているのですか?
「普通に、鼻歌を歌いながら...っていう時もありますけど、『irony』以降はロジックを使って曲づくりをしていますね」
★いつも時代に合った作品を出していますよね。前作『irony』はエレクトロニカ色の強い作品で、あの頃は、スケッチショウが『tronika』というエレクトロニカ風の作品を出していたり、が開催されていました。
「友達がスケッチショウの映像を担当してるんですよ。黒川(良一)君っていうアーティストなんですけど。そんなこともあり、(スケッチショウは)青山のCAYでやったライブを見に行ったことがあります。あと一昨日、バルセロナのにも行きました」
★バルセロナまで行ったんですか! いかがでした?
「すごく楽しかったですね。お昼と夜に分かれていたんですけど、夜はものすご〜い人でいっぱいでした。マッシヴ・アタックの時は、かなり興奮しましたね。「Tear Drop」をナマで歌っているのを聴けて嬉しかった!」
★ACOさんが音楽を通じて表現したいことは、どんなことですか?
「私は女性のために作品をつくっていきたいんです。女性にがんばって欲しいという想いもあります。(女性は)もうちょっと意見を言ってもいいと思うんです。どうせ人生一回しかないし、言いたいことはもっと言った方がいい。別に守るべきものなんて、自分が思ってるほど大してないし...。あまり保守的になり過ぎると、行動も狭まってしまいますから」
★ところで、ここ最近聴いた音楽ではどんなものが気になりましたか?
「マドンナ!」
★アンダーグラウンドなものからポップなものまで、幅広く聴いているんですね。
「わりと両極端なんですよ」
★マドンナっていうのはちょっと意外でしたね。どちらかと言うと、ビョーク派だと思っていました(笑)
「そうですか? 大ファンですよ。 この間ライブに行ってきたんです」
★ライブはどうでした?
「スゴい楽しかった〜! 叶姉妹が(ライブに)来てて、そっちにも気を取られちゃったけど(笑)」
★マドンナのニュー・アルバム『Confessions on a Dance Floor』のようなポップ感はどうですか?
「大好きですね。素晴らしいですよ! 今いくつだっけ? すごいパワーだよね。あの歳で、あんなのつくれちゃうって、すごいですよね」
★マドンナみたいに踊るのはどうですか?
「してみようかなとも思っているんですけどねぇ(笑)...がんばりますよ(笑)」


interxiew & text AIKO SHIMADA