GANG OF FOUR インタビュー/LOUD130号
GANG OF FOUR リ・ユニオン! 元祖ディスコ・パンク!!
ポスト・パンク/ニュー・ウェイヴ・リヴァイヴァルが本格化してから久しい今日この頃。毎月のように登場する新人バンドの音から“ポスト・パンク”の影響を感じ取ること数多にして、あれやこれやで音源の再発、発掘も、相当な数に上っている。
そんな中、今回のリヴァイヴァルで主役と言ってよい存在が、当時“パンク・ファンク”と呼ばれたサウンドを世に送りだしたギャング・オブ・フォーだ。とはいえ、彼らはデビュー以来絶えずリスペクトされてきた非常にビッグな存在なので、時代に埋もれていたカルト・バンドというわけではない。これまでにもボノ(U2)、マイケル・スタンプ(R.E.M.)、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、トム・モレロ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン/オーディオスレイヴ)、リック・ルービン、ニルヴァーナ...錚々たる面々が彼らからの影響を公言し、賛辞を述べてきているので、ご存知の方も多いだろう。最近では、フランツ・フェルディナンド、ブロック・パーティー、ザ・ラプチャー、レディオ4といった新世代バンドに、容易にギャング・オブ・フォーと共通する音楽的要素を見いだせてしまう。“パンク・ファンク”は、いわゆるディスコ・パンク・サウンドの原型と言ってもよいだろう。パンク・ファンクの要となるギター・ワークを編み出したアンディ・ギルは、実際今回のムーヴメントにも関係しており、ザ・フューチャーヘッズを手掛けるなど、プロデューサーとして活躍中だ。日本のポリシックスをプロデュースしたのも記憶に新しいところ。
というわけで、再び脚光を浴びているギャング・オブ・フォーだが、昨年絶好のタイミングで、しかもアンディ・ギル(Gu)、ジョン・キング(Vo)、ヒューゴ・バーナム(Dr)、デイヴ・アレン(Ba)というオリジナル・メンバーで再結成を果たし、現在ツアーを行っている。先日は<フジ・ロック・フェスティバル>で来日し、ジョン・キングは踊ったり倒れたりした上に、バットで電子レンジを叩き壊し、アンディ・ギルも負けじとラストでギターを叩き壊して去っていくという、強烈なパフォーマンスを繰り広げたばかりだ。
9月28日、代表曲をセルフ・カヴァーした、興味深い形式のベスト盤『Return The Gift 』をリリースするということで、バンドの顔であるアンディ・ギルに話をきいた。なお本作は2枚組で、DISC 2はジ・アザーズ、ザ・レイクス、ポール・エプワース(フォーンズ)、レディートロン、ヤー・ヤー・ヤーズ、ホット・ホット・ヒート、ゴー・ホーム・プロダクションら新世代アーティスト達がギャング・オブ・フォーを再解釈したリミックス集となっている。
70年代後半から80年代初頭にかけては、実に面白い時代だったと思う。
過去を打破してエキサイティングなパンク・シーンが生まれたわけだし、
リスナー達もグレイトフル・デッドから解放されたかったんだろう。
―昨年再結成に至った経緯を教えていただけますか。
「活動停止後も、メンバー達とはずっとEメールで連絡を取っていたんだ。再結成が具体化したのは一年半前、ギャング・オブ・フォーに再結成ライヴのオファーが来た頃かな。メンバー間で“ツアーの話が来てるけど、どうする?”なんてやりとりが続いたんで、オレがマネージャーに相談したら、“じゃ、航空券とリハーサル・スタジオを早速押さえるよ”って即座に動いてくれたんだ。おかげで物事は早く進んで、昨年の10月にオリジナル・メンバー四人が集まってリハをすることになった。あの時にマネージャーの一押しがなかったら、再結成の話は展開していなかったと思う。当初はこのオリジナル・メンバーでどうなるか未知数だったけど、ジャムった瞬間、これなら大丈夫だって確信したね。で、今回のアルバム・レコーディングの話も出てきたんだよ」
―今回リリースされる『Return The Gift』は、初期のアルバム3作品を中心に、新たに全曲を新録したDISC 1と、昨今の若手バンド/アーティストのリミックスを収録したDISC 2の 二枚組、という面白い形式のアルバムですが、なぜこのような内容にしたんですか?
「ギャング・オブ・フォーは時代と共にメンバーも変化していったから、今回新たに録音するにあたり、ヒューゴとデイヴを含むオリジナル・メンバー全員が参加した初期三枚のアルバムから楽曲を選曲したんだよ。リミックス盤をプラスしたきっかけは、オレ達の音楽にインスピレーションを受けてきたアーティストに音源を渡して、自由に彼らの解釈でリミックスして欲しかったからなんだ。最初は“あの人に頼もう!”“そういえば、あのアーティストもいいね”なんて、みんなで話し合いながら決めたけど、思いがけない発見も中にはあったね。でき上がったものを聴くのは実にエキサイティングだった」
―ライヴで絶えず演奏してきたナンバーがほとんどだと思いますが、今回オリジナル・メンバーであらためて演奏、録音してみていかがでしたか?
「再考することが重要だった。というのも、当時のギャング・オブ・フォーと同じ考え方を取り戻す必要があったからね」
―各曲ともオリジナルに忠実な再演だと思ったのですが、これは何か思うことがあってのことですか?
「そうかな? 部分的には違うし、より“ライヴ感”を強調した力強い作品に仕上がったと自負しているよ。でも、たしかにある意味ではオリジナル・ヴァージョンに忠実だな。基本的にはオリジナル・バージョンのままでいいと感じたから、大幅なアレンジは施してないんだ」
―先日はフジロックでライヴ・パフォーマンスをみせてくれましたね。ギターを叩き壊すなど相変わらずワイルドですが、ライヴの感触はどうですか?
「先日のフジロックでのライヴを含めて、今年の1月から始まったツアーは非常に楽しんでるよ! おもしろいことに、オレ達のライヴに集まる観客の六割は25歳以下の若者なんだ。残りの四割が昔からのギャング・オブ・フォーのファンだ。幅広い年齢層が楽しんでくれている。良い状況だね」
―先ほど“オレ達の音楽にインスピレーションを受けてきたアーティストに音源を渡して、自由に彼らの解釈でリミックスして欲しかった”と言っていましたが、彼らのようなニュー・ジェネレーションの活躍に対して、どのような印象をもっていますか?
「良いことだと思う」
―今回のリミックス集には参加していませんが、例えば、フランツ・フェルディナンド、ブロック・パーティー、ザ・フューチャーヘッズ、ザ・ラプチャーなどは、あなた達に少なからず恩義がある、パンク・ファンク的な要素のあるバンドですよね。実際フューチャーヘッズは、あなたがプロデュースをしていますし、“時代は巡る”という感覚はありませんか?
「彼ら若手の活躍はとても嬉しく思う。彼らがオレ達の音楽に影響を受けて登場したからこそ、結果としてギャング・オブ・フォーが一般的により深い理解を得るようになったわけだしね。特にザ・フューチャーへッズは素晴らしいね。彼らは確かにギャング・オブ・フォーから影響を受けてきたとは思うけど、革新的かつ独自の音楽性を持っている。スタジオ・ワークを共にしたから、彼らのことはよく知っているけど、最高のバンドだよ! あと、フランツ・フェルディナンドのシングル曲には、いくつか楽しめる作品があるね」
―どうして、今の時代になってパンク・ファンク・サウンドが再び注目されているんだと思いますか?
「ポスト・グランジ系の音楽に飽き飽きした人達が、新鮮に感じたんじゃないか?」
―でも、十数年前にも、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ニルヴァーナといったアメリカのバンドが、あなた達に賛辞を送っていましたよね。
「十年前は、ジョンと6作目『Shrinkwrapped』を発表した頃か。あの頃のギャング・オブ・フォーは、昔と今の中間地点に位置していたな。当時の音楽シーンも面白かったと思うよ。ちょうどINXSのマイケル・ハッチェンスが初ソロ作をつくっていて、ソングライティングとプロデュースを手がけていたんだよな。マイケルとはアルバムの全収録曲を共作したのに、発表前にこの世を去ってしまって(沈黙)...あれは本当に悲しい出来事だった」
―振り返ってみると'70年代後半のポスト・パンク期というのは、どういう時代だったと思いますか? ギャング・オブ・フォーを始め、ポップ・グループ、ジョイ・ディヴィジョン、ザ・スリッツ、エコー& ザ・バニーメンなど、後々まで影響力のあるバンドが出て来た時代ですが。
「うん、70年代後半から80年代初頭にかけては、実に面白い時代だったと思う。みんなが面白い音楽を追求していた。過去を打破してエキサイティングなパンク・シーンが生まれたわけだし、リスナー達もグレイトフル・デッドから解放されたかったんだろう。ただ、セックス・ピストルズの音楽は、本質的には速いヘヴィ・メタルだったと思うし、あきらかにギャング・オブ・フォーの方が音楽面では意欲的だったと自負しているんだ」
―そもそも、ギャング・オブ・フォーのパンキッシュなテイストとファンク・ビートを融合したサウンドというのは、どのようにして生み出されたものなんですか? 詳しく教えてください。ものすごい大発明だと思うんですけど。
「ギャング・オブ・フォーを始めた頃のオレは、自分が興味を持っているサウンド全てを取り入れた音楽をつくりたいという欲求に駆られていたんだ。通常のアーティストは既に存在する“クラシック・ロック”のビートにのせて楽曲を書くと思うけど、オレ達はリズムやサウンドをバラバラに解体して、自分が興味ある内容へと組み立て直したんだ。その結果、シンコペーションが利いた、リズミカルでファンキーな音ができ上がったんだよ。つまり、ファンカデリックやジェイムス・ブラウンの模倣から生まれたのではなく、オレ達四人が編み出した独自のものなんだ。実際のところ、ギャング・オブ・フォーの風変わりなビートは、他のアーティストとは全然違うだろ?」
―そうですね。では、あなたの、あのカミソリのようなギター・ストロークやフレージングはどのようにして生まれたのか教えてもらえますか。ご自身では、振り返ってみて誰からの影響が強いと思っていますか?
「自然に出てきたから...誕生までの過程はわからないな(笑)。影響を受けたアーティストはボブ・ディラン、ザ・バンド、ジミ・ヘンドリックス、ドクター・フィールグッド、それからファンカデリックなどのファンク、ボブ・マーリーやカルチャー、ビッグ・ユース辺りのレゲエ/ダブ系まで幅広いよ」
―新生ギャング・オブ・フォーとして、今後の予定や目標がありましたら、教えてください。
「10月から全米ツアーが開始するんだ。オレ個人の活動としては、他のバンドをプロデュースする話をいくつかもらっていて、現在ヤング・ナイブスという新人バンドの作品を手がけている最中だ」
―純粋な新曲によるニュー・アルバムの構想は?
「うーん...新曲を集めたニュー・アルバムに関しては、まだ何も考えていないなぁ」


