KAISER CHIEFS

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KAISER CHIEFS インタビュー/LOUD127号

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KAISER CHIEFS

現在進行形ブリティッシュ・ポップ・バンド。


 次から次へと現れるUK産新人ロック・グループの中で、現在とりわけサクセスフルな実績を残しているのがリーズ出身のカイザー・チーフスだ。2003年夏の結成で、ベッドルームで制作したトラックを自費リリースした初シングル「OhMyGod」が、いきなりUKチャートの66位を記録。その後メジャーのユニバーサルと契約を交わし、「PredictA Riot」が22位に。そして「EverybodyILoveYouLessAndLess」でトップ10入り。今年リリースされたデビュー・アルバム『エンプロイメント』(ユニバーサル)はチャートの3位まで上昇し、ロング・セラーとなっている。
 メンバーは、リッキー・ウィルソン(Vo)、アンドリュー・ホワイト(G)、サイモン・リックス(B)、ニック・“ピーナッツ”・ベインズ(Key)、ニック・ホグソン(Dr/Vo)の5名。いわゆる新型ニューウェイヴやディスコ・パンク系のバンドとは違って、彼らはオアシスやブラーが凌ぎを削った1990年代半ばのブリット・ポップと比較されることも多い。また、1960年代にキンクスが登場して以来受け継がれてきた、ブリティッシュ・バンドの伝統を感じさせる要素も強い。実際、積極的にポップな要素を取り込む姿勢はバンドの鍵となっていて、“ナナナナナ~”と大合唱を誘うコーラスワークなど、そのキャッチーさは彼らのウリになっている。
 現在USツアー中でミネアポリスに滞在中のところを電話でキャッチ、キーボードのニック・“ピーナッツ”・ベインズから話を聞いた。

―どうして“ピーナッツ”というニックネームになったんですか?
「もともとは10歳の頃に学校のクラスメートがつけたニックネームなんだ。自分の似顔絵を学校で描くことになったんだけど、僕は絵が下手で、なぜか出来上がった絵がピーナッツみたいだったんだよ。気に入ってるから16年間もピーナッツって呼ばせてるよ(笑)」
―バンド名は、リーズ・ユナイテッドのスター選手が、南アフリカのカイザー・チーフスというフットボール・クラブに在籍していたことに由来していると聞いています。メンバー全員フットボールが好きなんでしょうか?
「うん。全員リーズ・ユナイテッドの大ファンなんだ(笑)」
―リーズという街は、バンドのアイデンティティに重要な影響を与えていますか?
「重要だね。デビュー後はツアー続きで、自宅でゆっくりする機会があまりないけど、僕らはリーズの自宅でアルバムを制作したわけだから。自分の出身地を隠すアーティストもいるけど、僕らはリーズで音楽活動を続け、金もないのにレコード・デビューのために頑張ってきた。だから、この初心を大事にしたい」
―メンバーは、前身バンドではガレージ系ロックや、ザ・ローリング・ストーンズのカヴァーをやっていたそうですね。カイザー・チーフスを結成した当初、どんなバンドにしたいか、コンセプトや目標を決めたりしましたか?
「うん。前身バンドはうまくいかなかったから、それまでに書いた楽曲も全て捨てて、ゼロからスタートしたんだ。とにかく『他のバンドとは違う音楽を作ろう!』って話し合ったね。でも、音楽的なコンセプトに関して細かく話すというよりは、自然に出てくるものを大切にするようにした。で、僕の自宅に集まって制作した「Oh My God」がヒットしたんだ。2年前の目標は、地元で行われるリーズ・フェスティバルに出演することだった。それがリーズにもレディングでも出演することになって、感無量だよ」
―その後メジャー・デビューし、シングル、アルバム共に大ヒット中ですね。周りの環境が激変したと思うのですが、面白いこと、逆に大変になったことなど、ありましたら教えて下さい。
「デビュー以降は多忙な生活へと一変したよ。1ヶ月間に二日自宅に帰れればラッキーという状況なんだ。イギリスではシングル、アルバム両方で良い結果を出せたけど、アメリカで成功するにはUSツアーで頑張らないといけない。このところずっとアメリカにいるから、家族や友人達に会えなくて辛いこともある。でも夢見てきたことがついに叶ったんだから、ツアー生活で疲れても頑張れるよ!」
―アルバム『エンプロイメント』はバンドにとって初めてのアルバムですが、どのような点に一番心を砕きましたか? アイディアやテーマ、表現したかったことなどを教えてください。
「デモを作った時と同じように、自分達らしさを出すよう心がけたよ。リーズに住む、金も無い僕らの過去と現在を表現したかったんだ」
―最近見直されているニュー・ウェイヴ・サウンドのリヴァイバルとは違って、あなた達からは、もっとモッズっぽいノリや、'60年代、'70年代ロックの雰囲気を感じます。
「ありがとう(笑)。僕らはキンクスやザ・ジャムが大好きなんだ」
―と同時に、あなたのキーボードが時にとても未来的なイメージをつくり出していますね。キーボーディストとしては、バンドの中でどんなアレンジや演奏をしていきたいと考えていますか?
「カイザー・チーフスはヴォーカル、ギター、ベース、ドラムス、キーボードの5人編成で、それぞれの役割が重要なんだ。だからこそ、僕のキーボードも“あっても無くても同じ”じゃなくて(笑)、個性を特徴づける要素になっていると思う。退屈な曲にならないように、コーラスやヴァース部分で同じことを繰り返さないように工夫しているよ」
―各曲は非常にキャッチーなメロディ・ラインを持っていますし、サビも印象的です。とても親しみやすい楽曲が多いですが、その辺りは意識していますか?
「うん。一度聴いた後、思わず友人に歌いたくなるような曲を書くように心がけているんだ。例えばライヴを観に行って、会場を出た瞬間に(ライヴで)聴いた曲を思い出せなかったら、それは“人の心に残らない曲”ってことだろ? 人々の心に残って、歌ったり口笛を吹いてもらえるようなキャッチーなメロディやコーラスを書いていきたいね」
―作詞面では、どのようなメッセージをリスナーに届けたいと考えているのでしょうか?
「歌詞の大半はリッキーが書いてるけど、ニック(・ホグソン)が頭やコーラス部分をまず書いて、それにリッキーが話を肉付けしていくこともある。特に強固なメッセージは無いんだ。悲しい題材から楽しい話まで様々な内容を歌っているから、聴いて楽しんでもらえれば、それで嬉しい。ちなみに歌詞の内容は、僕らの過去や現在の実体験に基づくものがほとんどだよ。ガールフレンドの話とかね」
―ブリット・ポップ・リヴァイヴァルと形容されることについてはどう思いますか? オアシスやブラーとカイザー・チーフスに共通する部分があるとしたら、どんな点だと思いますか?
「オアシスやブラーも、僕らと同じようにキンクスとかデヴィッド・ボウイとか、'60年代、'70年代のロックから音楽的影響を受けている。だからイギリスの偉大なバンドから影響を受けてきた、という点では共通していると思う。よく1994年頃のオアシスやブラーと比較されることがあるけど、僕らはむしろ1964年頃に台頭したブリティッシュ・ポップの時代から影響を受けているんだ」
―最近はあなた達と同世代のバンドが次々と登場する状況になっています。彼らの中でシンパシーを感じるバンドはありますか?
「一緒にツアーしたザ・クリブス。昨年レコード会社との契約のために僕らの手助けをしてくれたジ・オーディナリー・ボーイズ。あとはブロック・パーティー、ザ・フューチャーヘッズ、それからフランツ・フェルディナンドも好きだね!」
―今後の目標は何ですか?
「目標はビッグ・アーティスト達とツアーに出ること。実は7月から8月にかけて、U2のヨーロッパ・ツアーにオープニング・アクトとして帯同するんだ! 全てスタジアム級の会場で、中には10万人も収容する会場が含まれているから、今から緊張しているよ! あとは、7月末にフジロックと東京公演があるんだ。今から楽しみだよ。今年はクリスマス休暇までツアーが続くけど、ライヴの合間を縫って新曲も書きたいね」

text FUMINORI TANIUE
translation KEIKO YUYAMA