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KASABIAN インタビュー/LOUD127号

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Kasabian (Ultimate Version)

(JPN) BMG / BVCP-28048/9
7月6日発売

KASABIAN


ダンス世代が切り刻む最先端サイケデリック・ロック


 昨年7月に日本先行でリリースされたデビューEP『クラブ・フットEP』が、オリコン・チャートで1位を獲得。サマーソニックで来日を果たした際は、東京、大阪両日とも入場規制をおこし、話題沸騰。そして8月にデビュー・アルバムをリリースするやいなや、オリコン・ウィークリー・チャートにて4位に。その後の単独来日ツアーは即日ソールドアウト。と、日本での人気を確実なものとしているカサビアン。本国イギリスでの人気も高く、アルバムは現在までに50万枚のセールスを記録している。今年3月には全米デビューも果たし、目下USツアーの真っ最中だ。
 イングランド中部、レスター出身のカサビアンは、トム・ミーガン(Vo)、セルジオ・ピッツォーノ(G/Key)、クリストファー・カーロフ(G/Key)、クリス・エドワーズ(B)の4人でスタートしている。昨年のデビューとほぼ同時期に、ドラマーのイアン・マシューズが加入しているので、現在は5名で活動中。そのサウンドは、ヒップホップやクラブ・ミュージックからの影響を感じさせるダンサブルなリズムの上に、ギターとベースがうねり、サイケデリックなシンセが飛び交い、イギリス人らしいぶっきらぼうで吐き捨てるようなヴォーカルが乗る、というもの。サイケ、パンク、インディ・ロック、ダンス...と連なるUK ロック・バンドの系譜から飛び出した、最先端のバンドだ。溯ると、そこにはプライマル・スクリーム、ザ・ストーン・ローゼス、スペースメン3、ジョイ・ディヴジョン、さらにストーンズやシド・バレットがいる。
 7月6日に、ツアー映像を中心に編集されたDVDと、4曲のボーナス・トラックを追加した『カサビアン(Ultimate Version)』(BMG)をリリースするということで、ギターとキーボードを担当し、作曲の鍵を握るセルジオに話を聞いた。

DJシャドウの『エンドトロデューシング...』とザ・ビートルズの『リヴォルバー』を足して割ったような音楽。
HMVのジャンル分けしてあるCD棚には、僕らだけのセクションがあってもいいと思う。


―アメリカをザ・ミュージックとツアー中とのことですが、現在はどの都市にいるんですか?
「ユタ州のソルト・レイク・シティにいるんだ。2ヶ月間のツアー生活には疲れてきちゃったけど(苦笑)、ライヴは楽しんでるよ。今のところ、最高だよ!」
―ザ・ミュージックのメンバーとは上手くいってますか? 音楽的にカサビアンと共感しあえる部分があるように感じますが。
「いい奴らだから、上手くいってるよ(笑)。イギリスの街から出てきた普通のキッズ、という意味でのスピリット的なものには共感できるね」
―今回デビュー・アルバムのDVD付き限定エディションが再リリースされます。DVDを見ると、昨年の来日以降、日本に好印象をもっている様子ですが、日本のどんな部分が気にいりましたか?
「日本は僕らが大好きな国なんだ。アルバムを買ってライヴを観に来てくれるだけでも嬉しいのに、日本のファン達は純粋でいい人達ばかりだった」
―「スシは嫌いだ」と発言していましたが、生モノは苦手でしたか?
「いや、生モノでもマグロは食べられるんだけどね。あのご飯の部分(シャリ)が結構ハードコアだよなぁ(笑)。どうしてもダメで...ごめんね、ハハハ。そうそう、日本のアイスクリームは美味しかった!」
―本誌LOUDでは初インタビューということで、デビュー作について少しお話しください。そもそもレスター郊外の農場で生活しながら作曲をしていたそうですが、どういった経緯でこのような生活や音楽活動を始めることになったんでしょう?
「誰にも邪魔されずに、平和な環境で自由に音楽制作をしたかったから、2年間、4人でひとつ屋根の下に暮らしていたんだ。ケンカもなく、仲良く暮らしていたよ」
―その生活によって、カサビアンの音楽的なコンセプトは確立されたと言っていいのでしょうか?
「そうだね。DJシャドウの『エンドトロデューシング...』と、ザ・ビートルズの『リヴォルバー』を足して割ったような音楽だ。カサビアンらしい音楽を表現したかったんだけど、うまくいったね。HMVのジャンル分けしてあるCD棚には、僕らだけのセクションがあってもいいと思う」
―作曲は、どのように進めていくんですか?
「はじめにアコースティック・ギターで曲の基盤を作り、スタジオ入りしてジャム・セッションをしながら完成させるんだ。デビュー・アルバムではあまり考えすぎずに自然に出てくるものを大切にしたけど、小さなアイディアが、何ヶ月かして次第に膨らんでいったりすることもあったな」
―正式メンバーにドラマーがいないのは、どうしてなんですか? シンセのループが導入できたり、かっこいいビートが組めたり、独自の音楽性という点ではメリットがあるようにも思いますが...。
「そうだね! でもイアン・マシューズというドラマーが加入したよ。僕らがレスター郊外にある山の中で歩いていた時、バッタリ出会ったんだ。イアンはその山に住んでいて、ドラマーだということが分かったんで、加入が決定したんだ」
―あなた達の音楽、オーラや佇まいは、最近イギリスを賑わせているガレージ・ロックやニュー・ウェイヴ・リヴァイバル系のバンドとは全く系統が違って、1980年代、1990年代のインディ・ダンスやインディ・ロック、または1960年代末から1970年代初頭のロック・サウンドに通じるものがあるように思います。
「ありがとう。わかってるじゃないか。正に1970年代初頭の、あの頃のヴァイブを、現代に蘇らせたサウンドを目指したんだよ」
―個人的な感想ですが、カサビアンを聴いていると“マッドチェスター・レイヴ・オン!”って感じる瞬間があるのですが、1990年頃からの影響はありますか?
「よく聞かれるんだけど、あんまり影響は受けてないと思う。あの頃はまだ9歳だったから、森で走り回ってたし(笑)」
―メンバーはどんな音楽が好きなのか、少し教えていただけますか?
「ザ・ビートルズ、ニール・ヤング、エルヴィス・プレスリー、ジム・オルーク、エイフェックス・ツイン、ブラッカリシャス・・・様々な音楽から影響を受けているよ。コーネリアスもいい。僕はエンリコ・モリコーネみたいな映画音楽も大好きで、例えばヴァンゲリスの『ブレイドランナー』のサントラにも夢中になっていた。他にはジョン・ウィリアムスとか。あと、ジミ・ヘンドリックスなんかの'60年代~70年代サイケデリック・ミュージックもよく聴いてた」
―ちなみに、今回の限定盤ボーナス・トラックには、ザ・プロディジーの「Out Of Space」を使って遊んだようなトラックが収録されいますが...。
「うん、いいよね。中部地方はハードコア(・テクノ)の中心地で、面白かったよ。子供の頃はハードコア一色だった」
―シングルでは、アフリカ・バンバータやジャグズ・クーナーをリミキサーに起用していますが、ダンス・ミュージックは好きなんですね?
「うん。曲を聴いた瞬間に思わず身体が動いてしまうのは重要なことだよ」
―デビューEP「クラブ・フット(club foot)」は、どうしてこのタイトルになったんですか?
「意味は無いんだ。笑わせようと思って、あんなタイトルをつけただけ。歌詞の内容は“愛は強すぎると危険”っていうことなんだけど」
―今後の予定を教えてください。
「8月に、またサマー・ソニックで日本へ行くよ! チョコレートやスナック菓子を早く食べたいね。今後の予定は、現在の全米ツアー終了後、ヨーロッパのフェスティバルにいくつか出演する。9月はオアシスの全米ツアーにオープニング・アクトとして帯同するんだ。10月にはスタジオに入って、新しいベイビー、いや“モンスター”を作るよ! 曲はほとんど書き終わったから、レコーディングが楽しみだね」

text FUMINORI TANIUE
translation KEIKO YUYAMA