MAXIMO PARK インタビュー/LOUD148号
直球勝負でバンドのポテンシャルを引き出した最新作
WARPレーベルからデビューした初の本格的ロック・バンドとして話題をさらい、デビュー・アルバム『ア・サートゥン・トリガー』を60万枚以上売り上げたマキシモ・パーク。ポスト・パンク/ニューウェイヴ・リヴァイヴァル系バンドの一角として登場しながらも、ポール・スミスの存在感と、DEVOやXTCを連想させるポップ・センスで、独自の地位を築いている個性派だ
そんな彼らが、セカンド・アルバム『アワ・アースリー・プレジャーズ』をリリースする。名プロデューサー、ギル・ノートンを迎えて制作された本作では、彼ら自身が“スマッシング・パンプキンズとザ・スミスが融合した感じ”と語るとおりの、ディープかつヘヴィなロック・サウンドが展開されている。
彼らは、いかなる想いで新作をつくりあげたのだろうか。ヴォーカルのポール・スミスに話を聞いた。
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新しいアルバムには、
深さや重さ、暖かみやロマンティックな要素も持たせようとした。
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—デビュー・アルバムは、60万枚を売り上げるヒットとなり、ワールドワイドなツアーも成功を収めました。今、どんな気持ちですか?
「率直に、誇りに思っているよ。当時僕らが求めていた想い、アルバムに託したエネルギーは、二年経った今でも変化していないしね。現在でもそのままバンドに反映されていて、僕らの中に残っている。世界中の人々があの前作に良い反応をしてくれたし、そのおかげで世界中を周ることができた。だから、素直に嬉しいよ。心残りだったことを言うと、日本にもっと来たかったということかな(笑)」
—前作での経験は新作に活かされていますか?
「新しいアルバムには、前作に対する反応という部分があると思う。前作はアップ・ビートでパンク的な要素が入ったものだったから、新しいアルバムには、深さや重さ、暖かみやロマンティックな要素も持たせようとしたんだ。前作があったからこそ、今作ができたんだよ」
—そのセカンド・アルバム『アワ・アースリー・プレジャーズ』ですが、制作はいつごろ始めたのですか?
「基本的には、常に新しい曲を書いているから、前作からノンストップなんだ。変なプレッシャーを感じてクリエイティブ面が押さえつけられるのはよくないから、常に曲を書いているんだよ。「Nosebleed」や「Girls Who Play Guitars」といった曲は、前作のときにほぼできていたね。あのアルバムには合わないということで、入れなかった曲なんだ」
—働き者なんですね。
「この二年間は、ずっとその調子だね。ただ、去年の2月にギタリストのダンカンが腕を骨折してしまって、やむを得ずツアーやライブを休んだ時期もあるんだ。ちょうどザ・フーと一緒にライブをする予定が入っていたから、残念だったね。でも、その間に曲を見直したり、書き直したりしたし、新曲も書いたよ。スコットランドのフェスティバルでは、今作のプロデューサー、ギル・ノートンとも出会った。彼とは昔から一緒にやりたいと思っていたんだけど、向こうから “ぜひやらせてくれ” と頼まれたんだ」
—彼のプロデュース・ワークはいかがでしたか?
「レコーディング・スタジオに入る前に、彼は僕らみんなに朝から晩まで何十回も演奏させたね。毎日強制的に(笑)。でもそれによって、曲に変化が生まれたし、新曲も生まれたんだ。あれは、一つのステップになったと思う。今作には、自分たちのライブにある激しさやパワーを収めたいとも思っていたから、彼は僕らに合っているプロデューサーだった。彼が過去にプロデュースしてきたピクシーズ、エコー・アンド・ザ・バニーメン、フー・ファイターズといったバンドの曲は、みんな激しくてパワーがあるものばかりなんだよ」
—アルバムの方向性に関しては、メンバー全員で相談して決めたんですか?
「成長する中で自然とそうなっていった部分と意識した部分、両面があると思う。例えば、僕はリハのときに“未来的であると同時に生々しさがあるものをつくりたい”ということをメンバーに伝えたよ。既に誰かがやったようなレトロなものをつくるよりは、新しい音楽を通して自分の感情を表現することが大事だと思ったからね。ベースのアーチス(・ティク)は、最初から“メロディックかつヘヴィものをつくろう”と言っていた。だから、話し合うことで、アルバムを進化させた部分もあるね」
—アルバム・タイトルの“Our Earthly Pleasures”には、どんなイメージを託していますか?
「“Our Earthly Pleasures”という言葉は、「Russian Literature」の歌詞にある一節だ。この曲は、社会の悪い側面を見たときに、人はそれに対して何かすべきだと思いつつも、無力さを感じて何もできなかったりする、ということを歌っている。アルバム・タイトルも含めて、今作では、人がある状況に置かれたときのパーソナルな反応や感情がテーマとなっているんだ」
—前作でもそうでしたが、あなたは一言では表現できないような複雑な感情をテーマにすることが多いですね。
「だから、説明するのが難しい(笑)。話しすぎたら全てを明らかにしてしまうし、かといって説明が足りないと、ちゃんとみんなに伝わらないんだ。ただまぁ、要するに“人生は複雑だ”ということなんだよ。人生は一見シンプルなように見えるけど、その中では数多くの出来事が起こっているんだ。僕は、そんな人生の中でエキサイティングだと思ったり、美しいと感じる瞬間に焦点を合わせることが大事だと思っている。友達の引っ越しを手伝うという内容の「Books From Boxes」も、前作に入っていた、ハガキをもらって嬉しいという内容の「Postcard Of A Painting」も、一見単純な曲だけど、そこには違った視点から見た、複雑な感情が表現されているんだ」
—バンドとしての今後の目標は何ですか?
「常にベストを尽くして、良い曲をつくっていくことが目標だよ。他のバンドには、もっと売れたいだとか、もっと女の子にモテたいだとか、そういう目標があるかもしれないけど(笑)、そういったことは、良い音楽をつくっていれば、自然とついてくることだと思う。とりあえずは、楽しみながら良いものをつくっていきたいね。そして、常に向上していきたい」
interview & text FUMINORI TANIUE


