NEW ORDER インタビュー/LOUD129号
NEW ORDER
Waiting For The Sirens' Call
(JPN) WARNER / WPCR-12017
NEW ORDER ダンサブル・ロック・バンドの本家、ざっくばらんに最新作斬り!
昨今のダンサブルでグルーヴィーな、もしくはニュー・ウェイヴ的だと称される新人ロック・バンドのほとんどが、自覚があるにせよないにせよ、ほぼ間違いなくニュー・オーダーから影響を受けているはずだ。ニューウェイヴ・ディスコの時代、アシッド・ハウス/マッドチェスターの時代、エレクトロクラッシュ、ポスト・パンク・リヴァイヴァルの時代を通して、踊れるロック・バンドの元祖として、絶えずニュー・オーダーの存在は意識されてきたのだ。ニュー・オーダーの前身バンドであり、ポスト・パンク・バンドの最高峰として記憶されているジョイ・ディヴジョンを含めると、その活動歴は実に30年近い。 そんなニュー・オーダーが、この春発表した『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』を引っさげ、フジロック・フェスティバルのために2001年以来となる来日を果たした。というわけで、あらためて彼らの魅力を探るべく、フジロックに向かう直前に都内にて彼らをキャッチ。バンドのグルーヴを支える二人、ピーター・フック(Ba)とスティーヴン・モリス(Dr)から話を聞いた。
複数のプロデューサーを起用した理由は、オレたち自身でプロデュースをすると、 考え方の違いから必ずバンド内で口論になるからなんだよ。
―ロック・サウンドが強かった前作と比べて、新作『Waiting For The Sirens' Call』では再びダンス・ミュージック的な部分を意識して制作したとも聞いていますが、どんな思いやアイディアがあったんでしょうか?
ピーター・フック(H)「前回の『ゲット・レディー』のときは長い間休んでいたこともあって、従来通りのニュー・オーダーの音にすると“結局ニュー・オーダーって全然進歩してないじゃん”って思われるという懸念があったんだ。そんなわけで、プロデューサーのスティーヴ・オズボーンは、本来のオレたちとはちょっと違った、ジョイ・ディヴィジョンのときのダークな感じとか、もっとロッキーな感じを考えながら制作したのさ。ダーク・サイドにスポットを当てたんだ。だけど、ファンの中には“前のニュー・オーダーとは違うんだな”って、がっかりした人も多かったんだよ。それを聞いて、じゃあ今までオレたちが常にやってきた本来のニュー・オーダーで行こう、ということになったんだ」
スティーヴン・モリス(M)「『ゲット・レディー』ではダンスっぽい要素が全くなかったから、今回は明るい側を前面に出したんだよ」
H「最近UKのプレスは、“誰が一番ニュー・オーダーっぽい音か?”とか、やってるんだよな。オレたちと似たようなサウンドのバンドがいっぱい出てきたからな」
S「(LOUD128号のザ・ブレイヴリーの表紙を見ながら)でも、彼らは僕らに似てるというよりは、デュラン・デュランだよね」
H「そうだ。こいつらはデュラン・デュランだよな。全然ニュー・オーダーじゃない」
―ははは(笑)。曲調ごとにプロデューサーを変える配慮をしていますが、複数のプロデューサーを迎えてのアルバム制作は初めてだと思います。いろいろなプロデューサーと作業した感想をお聞かせください。
H「そもそも今回複数のプロデューサーを起用した理由は、オレたち自身でプロデュースをすると、考え方の違いから必ずバンド内で口論になるからなんだよ。それを避けるためだったんだ。それにオレたち自身は大したプロデューサーじゃないと思ってたし。それで、ジョン・レッキーとかスティーブン・ストリート、ジム・スペンサー、何人かをレコード会社の人が連れてきてくれた。ただ、スチュアート・プライス(ジャック・ル・コント)に関しては、個人的には、わざわざ彼に来てもらわなくてもよかったんじゃないかと思うぞ(笑)。というのも、結果的に口論のおかげで良いプロデュースができていたんじゃないのかって結論になったからな。スチュアートの横で、オレとバーナード(・サムナー)が良いだの悪いだのって口論していることの方が多かったんだ(笑)」
S「スチュアートは、別にニュー・オーダーから仕事を貰わなくても、マドンナのキーボードとか他にいくらでも仕事があるしね(笑)」
―ギターでフィル・カニンガム(元マリオン)が加入しましたが、ニュー・オーダーにどんな作用をもたらしてくれたんでしょう?
H「彼はシャンパン持ちだよ(笑)」
S「フィルは、最初はセッション・プレイヤーだったんだ」
H「別に偉そうに言うわけじゃないんだけど、彼はニュー・オーダーとは何なのか、既に十分心得ていたんだ。良い意味で、彼はすんなりニュー・オーダーのスタイルにハマった。オレたちが期待しているようなプレイをしてくれるよ。で、曲づくりを長くしていると、つくり始めた当初にあったスパーク、情熱が薄れてきてしまうんだけど、彼がいることで情熱的な気持ちも維持できたよ」
―新作には、レゲエ調の曲「I Told You So」や「Krafty」の日本語ヴァーションなど、びっくりするような曲もありました。聴いていると、途中から本気なのか冗談なのか分からなくなるのですが、実際のところどうなんでしょう?
H「本気だよ! 日本語の歌は、日本のオーディエンスのことを考えて歌ったんだ。これまで、何となくニュー・オーダーの歌の内容を分かっていたという人には、日本語で歌うことでさらに“こういうことだったんだ”って分かってもらえるだろ?」
S「バーナード(・サムナー/Vo&G)はとっても努力して、一生懸命日本語で「Krafty」を歌ってたよ」
H「昔クラフトワークを聴いたときに、“一体何を歌ってんだ? でも何となくいい感じだ”って思った。で、後から彼らの英語ヴァージョンを聴いて“やっぱりそうだ!凄くいい”って感じたものさ。それと同じようなことだと思う」
―「I Told You So」は?
H「これもバーナードだな。彼がカリブ海に行ったときにラジオを聴いて、そこから上手くレコーディングした曲だ。多分頭の中で感じた何かを引き出したかったんだと思う。ただ、アルバムに入っているヴァージョンよりも、デモ段階のトラックの方がもっとワイルドでレゲエ色が濃くて良かったよな?」
S「そう思う。せっかくの曲なのに、バーナードは自分でレゲエの良い部分、要素を下げてしまったと思うよ。レゲエっぽさが目立たなくなってしまったから」
H「そうそう。惜しいよな」
―フッキーは最近DJ HOOKYとして積極的にDJプレイをしていますよね。今回のフジロックでもプレイするそうですが、始めたきっかけは何ですか?
H「最初はバーナードがスタートさせたんだ。で、オレに“DJやったら面白いよ、きっと楽しめるよ”って言うんだけど、オレは“そんなのやれるか”って言ってたんだ。でも、何かのときに、プライマル・スクリームの誰かがDJをやるはずだったんだけどダメになって、ネーム・バリューって意味で頼まれた。それでやってみたのが最初だね。基本的なことを言うと、自分の好きな音楽をただプレイしてればお金が貰えるなんて、すごくいいね(笑)。まぁ、その点はニュー・オーダーをやっているのと一緒だけど。あと、みんなのいろいろな反応を見るのも楽しい」
―どんな曲をプレイする予定ですか?
H「自分の好きな曲。折衷した、いろんなものだね。特に何とは言えないよ(笑)。ただ、ニュー・オーダーには発表してないヴァージョンやミックスがいろいろあるんだ。だから、オレたちの手元にしかない、そういったヴァージョンもプレイしている。最初はかけてなかったんだけど、来てくれた人から“かけろかけろ!”って言われてね。だから、ニュー・オーダーが好きで来てくれた人には、きっと特別なインパクトがあるんじゃないかと思うぞ」


