大沢伸一 音楽百科

LOUD 168号 (2008年11月発売) 掲載

第1回 フィジェット・ハウス(Fidget House) 編

今月から、大沢伸一氏発案の「音楽百科」が始まりました! 氏が注目する音楽にまつわる様々なトピック(サウンド、ジャンル、アーティスト等)を、LOUD編集局長トモヒラタを聞き手役にご紹介していく、対談スタイルの新連載です。記念すべき第一回目のお題は、The Sound of 2008ともいえるクラブ・サウンドの一つ、フィジェット・ハウス。では、早速いってみましょう!


トモ「大沢さんは、フィジェット・ハウスを日本で最初に推した一人だと思うんですけど、はじめはどのようにこの括りの音を知りましたか?」

大沢「ボクがプレイし始めた頃は、まだ“フィジェット”という言葉が出てきてませんでしたよね。そう呼ばれてはいなかった。Switch(Dave Taylor)が、まだSolid Groove名義でやっていた時代で、Mondo Grosso『Next Wave』('03)で彼にリミックスをお願いした頃でしたけど、当時はディープ・ハウスとかテック・ハウスって括られていたと思います。だから、Dubsided(Dave Taylorのレーベル)周辺の音といわゆるフィジェットは、実は流れが違うと思っているんですよ。今は同じ文脈で語られることが多いですけどね」

トモ「もともと“フィジェット”という言葉を使い始めたのは、Dave TaylorとJesse Roseらしいんですけど、実はJesse Roseもフィジェットとはずいぶん離れた音なんですよね」

大沢「ええ。もともと、もっとテッキーな要素が強かったと思うんです。で、その頃は、まだエレクトロというものも確立してなくて、エレクトロの源流はエレクトロクラッシュとかディスコ・パンクと呼ばれていましたよね。で、そういった中で、ボクはメイン・フロアでプレイするものとはまた別に、ラウンジやセカンド・ルーム用としてSolid Grooveや20:20 Visonを一括りにプレイしていたんです。オーディオ・インテリア的というか、新しいラウンジ・サウンドとして注目していたんです」

トモ「つまり、かつてSwitchのサウンドはもっとハウス寄りで、大沢さんは既にそのころ彼と接触を持っていたわけですね。そう考えると、いわゆるフィジェット・ハウスというものは、ここ1〜2年で出てきた音ということになりますね」

大沢「ええ。だから、“フィジェット”という音を定義付けたのは、Herve(Count Of Monte Cristal)なんじゃないかな。彼は、ボクがKitsuneと一緒に『Kitsune Udon』('07)を制作した頃に出てきた記憶がありますね。Larry Teeが「Licky (Work It Out) (Herve Remix)」('07)を送ってきてくれたときに、“コイツ誰? 凄いね”って話になって、HiJack「High Jackin' (Herve Remix)」('06)を『Kitsune Udon』に収録したんです。ボクの知る限り、'06年末にフィジェットが登場したという認識ですね」

トモ「では、そんなフィジェット・ハウスの音楽的特徴を、大沢さんは何だと考えていますか。“フィジェット”は、“ソワソワ”や“ウズウズ”という意味ですけど、その言葉の通り、Switchよりも、もっとビキビキウネウネしたシンセ音やベース音を使ったスタイルの音でしょうか?」

大沢「そうですね。共通項があるとしたら、ベンドとディストーションがかかった、グニャグニャしたベースラインがあること、ですかね。あとは、派手なカットアップ・サンプルが散りばめられていたり、そこにブレイクビーツを分解したビートを乗せていたり」

トモ「レイヴィーな要素も特徴の一つとなっていますよね。あと、従来のハウスと異なる点として、展開が急だということがあります。あれは、ヒップホップのカットアップ的発想からきているんでしょうかね?」

大沢「そうかも知れない。曲のボディ部分とブレイク部分が全く違っていたりしますよね。で、あれこそ、Switchが最初につくりだしたものでしょうね。初期のHerveは、その点を継承していたと思います。もしSwitchをフィジェットの起源とするならば、Audio Bullys「Way Too Long (Switch Remix)」('03)が、それに相当するのかな。あとは、Futureshock「Late At Night (Switch Remix)」('03)や、The Chemical Brothers「Get Yourself High (Switches Rely On Rub)」('03)。この3曲は、今でもかけているくらい好きですね。ちなみに、「A Bit Patchy」('05)は絶対フィジェットじゃない!」

トモ「おお。そうですか」

大沢「うん。あれは、むしろブレイクビート・トラックですよ。4つ打ちじゃないし」


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