大沢伸一 音楽百科
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トモ「なるほど。フィジェットかもしれないけど、フィジェット・ハウスではないということですね。では、そもそもこうした音が出てきた経緯には何があったんだと思いますか。やはり、既存のロング・DJミックスを前提としたハウスへの、オルタナティヴな動きだったんでしょうかね?」

大沢「そう思います。やっぱり彼らは、確信犯的に従来のUSハウスでもUKハウスでもない、何か新しいサウンドをつくりたかったんだと思いますよ。で、それはここ数年、世界各国で同時多発的に起こったことでもあると思います。例えば、Crookersはイタリア出身ですし、A-Trakはカナダ出身ですし」

トモ「そうですね」

大沢「ただ、フィジェットって好きなんですけど、ボク個人としてはちょっとマッチョすぎるんですよね。特にCrookersまでいっちゃうと、むしろヒップホップじゃないですか。そこは、ボクの音楽的テイストと違います。この辺りの音はボルチモア系なんかと重なってくる部分もあるから、かなり分かりにくいんですけど、ボクはもうちょっと音楽的なフィジェットをやりたいですね」

トモ「では、ここで現時点の代表的なフィジェットを一度おさらいしておきましょうか。アーティストとしては、Herve、Sinden、Crookers、A-Trak、フィジェット・クリエイターそろい踏みのプロジェクト、Machines Don't Care辺りになりますか?」

大沢「そうですね。ちなみに、Sindenは一番ハウス色が強い気がしてます。彼の音はとてもハウシーですね。あと、新参者としては、Fake Blood。彼らは、ものすごい才能あると思います。トラックの音質はまだ非力なのにも関わらず、「Mars」('08)なんてみんなプレイするでしょ。それは、個性が際立っているという意味ですよ。今後伸びると思いますね」

トモ「では、最後に大沢さんがフィジェット・ハウスで一番魅力を感じている部分を教えてください」

大沢「やっぱり、ダンサブルであるという、一番シンプルな部分に帰結するのかなぁ。単純に、体が動きやすい音ですよね。例えば、ピークタイムに達しないと、タテノリのエレクトロには行けなかったりするんですよ。一方、いわゆるハウス・ミュージックは、基本的にヨコノリですよね。でもフィジェットって、タテとヨコのちょうど中間のグルーヴなんです。タテでも面白いし、ヨコでも面白い。そういう意味では、エレクトロのハウス部門的な感じかもしれませんね。とは言っても、従来のハウスとは一緒にできない異質なジャンルなんですけど」

トモ「'80年代末から始まったハウス・ミュージック・カルチャーというのは、'00年くらいに一度進化が終っていて、それ以降に2 Many DJsやDiploが出てきて、新しいダンス・シーンが形成されていると思うのですが、フィジェットはその流れの上にある一つということになりますかね?」

大沢「そうだと思います」

大沢&TOMO

大沢伸一

大沢伸一

音楽家、DJ、ミュージシャン、プロデューサー。ソロ・プロジェクトのMONDO GROSSO、そしてSHINICHI OSAWAとして革新的な作品をリリースし続ける一方、作曲家/プロデューサーとして、日本においては安室奈美恵、多和田えみなどの次世代のヒット・サウンドを提供。リミキサーとしては、デジタリズムやフェリックス・ダ・ハウスキャットといった海外のアーティストに、原曲を越えたクラブ・ヒットを提供している。またDJとしては、国内屈指の動員数を誇っている。SHINICHI OSAWA名義の最新アルバム『The One』は、Southern Fried(UK)とDim Mak(US)からのリリースが決定し、その作品力が世界水準であることが認められた。自称、音楽的多重人格者(Musical Multi Personality)。


【OFFICIAL HP】
http://www.shinichi-osawa.com/


【大沢伸一推薦フィジェット・ハウス】


Larry Tee ft. Princess Superstar
Larry Tee ft. Princess Superstar
Licky (Work It Out) (Herve Remix) / Holon ('07)


Count Of Monte Cristal
Count Of Monte Cristal
Bounce That Ass / Cheap Thrills ('08)


Fake Blood
Fake Blood
Mars / Cheap Thrills ('08)



【大沢伸一流フィジェット・リミックス】
・The Whip
 Blackout (Shinichi Osawa Remix)
 Southern Fried ('08)

・Clazziquai Project
 Player (Shinichi Osawa Remix)
 avex ('08)

・安室奈美恵
 What a Feeling (Shinichi Osawa Remix)
 avex ('08)



■音楽百科 vol.2 ニュー・エキセントリック
■音楽百科 vol.3 第3回 2008年のまとめ&2009年はいかに? 編