大沢伸一氏発案の新連載『音楽百科』。ここでは、氏が注目する音楽にまつわる様々なトピックを、LOUD編集局長トモヒラタを聞き手役にご紹介していきます。第二回目のお題は、2008年度のキーワードとして話題となった言葉、“ニュー・エキセントリック”。では、いってみましょう!

トモ「“ニュー・エキセントリック”は、2008年、レコード屋さんを中心にかなり使用された言葉だったと思います。日本では、SNOOZER誌を中心に広まっていったと思いますね。もともとは、英ガーディアン紙の日曜版“オブザーバー”の、音楽担当記者が言い出したんですけど、イギリスではほとんど使われてないという...」
大沢「でしょうね。聞いたことないもん(笑)」
トモ「イギリスで普及しなかった理由は、たぶん言い出したのがオブザーバーだったからだと思いますね。もしNMEが言い出したんだったら、違っていたでしょう」
大沢「なるほど。LOUDでは使ったんですか?」
トモ「今年の音楽状況を表しやすい言葉ではあったので、時々使わせていただきました。若いオルタナティヴなバンドを指すときに使いやすかったんですよ」
大沢「でも、今回持ってきてもらった参考アルバムの音を聴くと、みんなバラバラですよね。新しいバンド=ニュー・エキセントリックってくらい、つながらない(笑)」
トモ「ですよね(笑)。ただ、新人の中でも、オーソドックスな音のバンドは入らないんです。ちなみに、今回持ってきた参考作品は、MGMT『Oracular Spectacular』、クリスタル・キャッスルズ『Crystal Castles』、フォールズ『Antidotes』、メトロノミー『Nights Out』、ヴァンパイア・ウィークエンド『Vampire Weekend』、レイト・オブ・ザ・ピア『Fantasy Black Channel』、ハドーケン!『Music For An Accelerated Culture』、ディーズ・ニュー・ピューリタンズ『Beat Pyramid』、ザ・ティン・ティンズ『We Started Nothing』などですが、何か気に入ったものはありますか?」
大沢「この中だと、僕はフォールズが結構好きですね。一年以上前に“何か一緒にやろう”って話があって、そのときに聴いたんですけど、彼らはトーキング・ヘッズやピッグバッグに影響受けてんのかな。ギター・リフなんかにカリブっぽい感じとかが入っていたりして、良いと思いました。いままでのバンドがやってなかったことをやってると思う」
トモ「なるほど」
大沢「レイト・オブ・ザ・ピアも昔から知ってますね。彼らも、“リミックスをやってくれ”って言ってきたことがありましたね。ただ、そのときはちょうど忙しくて時間がなかったんで、断ってしまいましたけど。あと、ヴァンパイア・ウィークエンドは自分でCDを買いました。車の中で良く聴いてますよ。彼らの音も嫌いじゃない」
トモ「ヴァンパイア・ウィークエンドは、この手のバンドの中で最も成功していると思いますよ」
大沢「あぁ、やっぱりね。良いもん。ちなみに、クリスタル・キャッスルズってかなり人気が出たけど、それはボーカルの女の子がカワイイから?」
トモ「クリスタル・キャッスルズは、NMEがかなりプッシュしたグループで、8ビット系エレクトロニック・パンク・バンドって感じですよね。たしかにアリス・グラスの人気でもってるところはあります。では、ハドーケン!はどうですか?」
大沢「彼らは、どちらかというとニュー・レイヴじゃないんですかね」
トモ「ハドーケン!自身は、ニュー・レイヴって形容されると怒ると思うんですけど、その手の音が'08年にはほとんど出てこなかった中、ある意味彼ら一組だけが気をはいた感じだったと思います。たぶん彼らのことを、日本の若い子は“新しい世代のビースティ・ボーイズ”のような感覚で聴いてるんじゃないでしょうかね」
大沢「なるほどね。...まぁ、でもこの中で今一番人気なのは、コレじゃないですか?」





