大沢伸一 音楽百科 vol.3
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LOUD 170号 (2009年1月発売) 掲載

第3回 2008年のまとめ&2009年はいかに? 編

大沢伸一氏発案の新連載『音楽百科』。ここでは、氏が注目する音楽にまつわる様々なトピックを、LOUD編集局長トモヒラタを聞き手役にご紹介していきます。第三回目のお題は、'08年の総括と'09年の展望について。では、いってみましょう!


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トモ「まずは'08年の総括からいきましょうか」

大沢「総括できるほどシーン全体のことを把握していないんですけど(笑)...そうですね。まぁ、DJをメチャクチャたくさんやった一年でしたけど、あんまりビッグ・トラックがなかったように思います。前々回の時にちょっとお話ししましたけど、レイヴっぽいもの、フィジェットっぽいもの、ロックっぽいものみたいな感じで、音の傾向が分かれてきてますね」

トモ「大沢さんは、その中でバランスをとりながらDJを?」

大沢「そうですね。その内の何かに比重を置いたりはしませんでした。網羅していく感じでしたよ。今はそういった音を全部まとめて“エレクトロ”って呼んでいたりもしますし。それに、例えばフィジェット・ハウスを2時間ずっとやられると、疲れるでしょ?」

トモ「確かに。でも、そういうDJも多いですよね」

大沢「ボクは、そういったDJはちょっと苦手。楽しくない。だから、ボクのDJは良くも悪くも2・メニー・DJsのスタイルに近いと思うし、ああいったスタイルの方が楽しいんですよ。もちろん、彼らほど振れ幅が大きいわけじゃないですけど、バリエーションはある方だと思う」

トモ「楽曲的な要素をより重視したい、ということもありますか?」

大沢「そうですね。ずーっとミニマルみたいなものよりも、音楽的にストーリーやドラマがある方が好きですから」

トモ「なるほど。一方で、世界的に'08年はテックハウス〜ミニマルの一年でしたから、日本のシーンは、いつもの間にか海外と極端に連動しなくなってきましたかね」

大沢「なりましたね。でも、海外に関しても、いわゆる大バコ系のフロアがみんなテックハウス〜ミニマルだったというだけですよね。中規模のクラブくらいになると、逆にテックハウスとかは弱かったんじゃないかな」

トモ「それはあるかもしれませんね」

大沢「大バコ系の音の傾向って、スタイルが変化しても、そのトーン自体はあんまり変わらないでしょ。ハウスにしてもテクノにしても、同じようなトーンでちょっとダークな感じで。要するに、ドラッグの影響なんでしょうけど(笑)」

トモ「はいはい(笑)。海外の話ですね」

大沢「でも、そういう文脈でずっと続いて来ているものだから、それはそれで仕方ない。なんで、ボクらのようなDJがそこに行って、この音楽でノリなよ〜って言ってみたところで、意味がない。ボクらがやっているような音って、彼らにとってみると“余計”なんだと思うんですよ」

トモ「ハハハ(笑)。まぁ、テックハウス〜ミニマル系は、そこにハマっちゃうと面白いといったタイプのサウンドですから、音楽的な良し悪しは、そこにあんまり求められていないですよね。音数が少ない分、音圧の稼ぎ方などで勝負していますし」

大沢「そうそう。どれだけ音が際立つか、みたいなところでね」

トモ「大沢さんの場合は、そういった部分よりも、楽曲全体の出来具合や、DJプレイ全体の構成面で勝負している、と」

大沢「正に」

大沢伸一

大沢伸一

音楽家、DJ、ミュージシャン、プロデューサー。ソロ・プロジェクトのMONDO GROSSO、そしてSHINICHI OSAWAとして革新的な作品をリリースし続ける一方、作曲家/プロデューサーとして、日本においては安室奈美恵、多和田えみなどの次世代のヒット・サウンドを提供。リミキサーとしては、デジタリズムやフェリックス・ダ・ハウスキャットといった海外のアーティストに、原曲を越えたクラブ・ヒットを提供している。またDJとしては、国内屈指の動員数を誇っている。SHINICHI OSAWA名義の最新アルバム『The One』は、Southern Fried(UK)とDim Mak(US)からのリリースが決定し、その作品力が世界水準であることが認められた。自称、音楽的多重人格者(Musical Multi Personality)。


【OFFICIAL HP】
http://www.shinichi-osawa.com/


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