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ALTER EGO インタビュー/LOUD128号

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オーディエンスのノリがいいと、演奏中に魔法のような瞬間が生まれるんだ。


 去る7月8日、石野卓球主宰レーベル、platikから、DVD作品2タイトルが同時リリースされた。どちらものライヴ・パフォーマンス2年分をコンパイルした、サポーター感涙のアイテムだ(思い出が甦りますよー)。というわけで、まずは一本目、オルター・イーゴをフィーチャーした『LIVE AT WIRE』からご紹介しよう。
 オルター・イーゴはフランクフルト出身の大ベテラン二人組。かつてスヴェン・ヴァスが運営していたHARTHOUSEからリリースしていた作品群は、ダウン・テンポ~アンビエント寄りの作風だったが、この数年あまりでフロアへ急接近。今や世界のダンス・フロアを夜ごと踊らせるビッグ・ユニットへと変貌を遂げた。彼らといえば頭に浮かぶのは、何と言っても「Rocker」の世界的大ヒット。昨年はこの曲がかからないテクノ・パーティーはない! と断言できるくらい、毎夜、毎夜、本当によく耳にした。DVDにはこの曲を含めた、のステージを同時収録。オーディエンスの熱狂が肌で感じられる、臨場感たっぷりのパッケージとなっている。
 インタビューにはメンバーの一人、ヨーン・エリング・ウトゥカ(スキンヘッドのほう)が答えてくれた。


―「Rocker」の世界的な大ヒットについて、どんな感想を持っていますか?
「本当に嬉しいよ! 実はこの曲が出来上がるまでの過程で、少なくとも200回は聴いたから、完成後は“もう飽きた!”って感じだったんだ(笑)。ところがこの曲を初めてクラブで聴いた瞬間......ちなみに2年前のだったんだけど、この楽曲の良さを再発見したね。オーディエンスも驚いていたし、周囲にいた関係者も“え、この曲は何!?”って大騒ぎしてた。その時に初めてヒットの予感がしたけど、まさかここまで大ヒットするとは想像もしていなかったね。ライヴで演奏するのも最高に楽しいんだ。これまでに日本やデトロイトを始め、世界中のオーディエンスからとてもいい反応を得てきたよ」
―あのキャッチーなメロディは、どのようにして思いついたのでしょう。
「あれは即興で生まれたんだ。もともとは生演奏に重点を置いた、ロック色の濃い楽曲を考えていた。ローマンは素晴らしいドラマーだからドラムの部分を演奏して、僕はベースとギターを演奏したんだ。その結果、ロックとアシッド・ハウスの面白い融合が生まれたんだよね」
―DVDはもう観ましたか?
「うん、見たよ! 発売されることになって嬉しいね。での演奏はとても楽しかった。音響もいいし、完璧だった。当時の僕らの演奏の中ではベストなものだと自負している」
―何か新しい発見はありました?
「新しい発見は常にあるよ。例えばロック・バンドとは違って、僕らはステージ上で(動き回ったりせずに)演奏に集中していたし、観客からどう見られているかはあまり気にしていなかった。でも改めて映像を見てみると、僕らの表情から演奏を心から楽しんでいることが分かったし、だからこそいい雰囲気のライヴができたと思うんだ」
―HARTHOUSEからリリースしたファースト~セカンド・アルバムの頃は、もっとアンビエント寄りでしたよね。どんな心境の変化があって、ここまでフロアを意識するようになったんですか?
「うーん、実はアンビエントっていうつもりはなかったんだよね。当時はちょうどバンド活動に飽き飽きしていて、ドイツのミニマル系やイギリスのエイフェックス・ツイン、ブラック・ドッグなどのエレクトロニック・ミュージックから影響を受けていたんだ。あれから10年が経過し、3、4年前からハウスを中心としたエレクトロニック・ミュージックに飽き始めた僕らは、初心に返ってロック色の濃いサウンドに向かったんだよ」 ―あなたもローマンも、昔はロック・バンドで活動していたんですか。 「うん。僕は10年ほどパンク・バンドでボーカルとギターを担当していた。一方ローマンは、クラシック・ピアノを勉強した後に、ジャズ・バンドのドラマーとして活動していたんだ」
―あなたたちのライヴ・パフォーマンスで、特に大事にしているポイントを挙げてください。
「ゆっくりしたヴァイブで始め、後半はハードに盛り上げることかな。オーディエンスとともに、良いライヴを築き上げることを心がけている。だから、観客の様子をよく見ながら演奏しているんだ。オーディエンスのノリがいいと、僕らはみんなと一体となって会場をロックしちゃうね(笑)」
―ライヴでは、二人はどんな役割分担になっているのでしょうか。
「ローマンはプログラミングとキーボード担当で、僕はヴォコーダーを始めとしたノイズ担当。ローマンと組んでから12年が経つけど、まるで長年一緒にやってきたバンド仲間みたいに、ライヴ中でも彼の動きが読める(笑)。僕の行動も、ローマンには自然に伝わるみたいだね。オーディエンスのノリがいいと、演奏中に魔法のような瞬間が生まれるんだ」
―「Betty Ford」は唯一、と二年連続でプレイしていますが、それだけ思い入れのある曲なのでしょうか。
「うん、僕らの気に入っているライヴ向きなナンバーだよ。シークエンス部分が多いから、新たに手を加えることによって演奏するたびに違うサウンドが生まれるんだ。オーディエンスからの反応も、とてもいいんだよね」
―ちなみに、フォード元大統領夫人の名前をタイトルにしたのはなぜですか?
「このタイトルは、アルコールや薬物中毒者が入院することで知られるロサンゼルスの“ベティ・フォード・センター”から取ったんだ。ここではハリウッド・スターや政治家など、アメリカ中のセレブたちが治療を受けていて、クレイジーな感じが面白いと思ったから冗談でつけたんだ(笑)」
というパーティー自体については、どんな印象を持っていますか?
「観客の質がとても高いね。みんながオープンな気持ちで音楽を心から楽しんでいるのが伝わってきて、最高だよ。ドイツのは、5月1日の国民の休日に開催される昔からあるフェスだから、音楽よりも酔っぱらって大騒ぎすることを目的としている人たちの方が多いんだ(苦笑)」
―オーガナイザーの石野卓球は、あなたから見てどんな人間ですか?
「ものすごく尊敬してるよ! 彼はいいDJだよね。僕は電気グルーヴのファンで、5年前にはリミックスも手掛けた。音楽性もいいし、ボーカル部分も大好きなんだ。日本語の歌詞はわからないけど、とってもいい感じだね」
―もし彼にインタビューをするとしたら、どんな質問をしてみたいですか?
「'80年代の日本のエレクトロニック・ポップ・シーンについて聞いてみたい。卓球が電気グルーヴを始めた頃の話や、YMOを始めとしたアーティストたちに関する彼の意見を聞きたいなぁ」
―今回のDVDは、ゾンビ・ネイションと同時リリースになります。彼らのライヴは見たことありますか?
「うん、3回見たことがある。エジプトのミイラのような格好で演奏しているところを見たことがあるけど、あのクレイジーなコスチュームがいいよね」
―もしあなたがディレクターだったとしたら、誰のライヴをDVDでリリースしてみたいですか?
「エイフェックス・ツインの映像を撮ってみたいなぁ。今でも大ファンだからね(笑)。それからリカルド・ヴィラボロスのような、ドイツのミニマル系プロデューサーも面白いだろうね 」
―最後に、今後の予定について教えてください。
「この夏はずっと、ヨーロッパを中心に数多くのフェスに参加するんだ。ロック系アーティストがたくさん出演するデンマークの<ロスキルデ・フェスティバル>や、ポップス系のアーティストが出るようなフェスにも参加する予定だよ」


interview & text AKIHO ISHII
translation KEIKO YUYAMA


ALTER EGO LIVE AT WIRE
(JPN) platik / platdvd-03