DERRICK MAYインタビュー・LOUD151号(’07/07)
鉄コン筋クリートREMIX
プラッドによるスコアを、注目リミキサー陣が再構築!
今年のお正月映画として公開され話題をさらった、映画『鉄コン筋クリート』。本作のサウンドトラックをリミックスしたアルバムが、6月27日にリリースされます。UKテクノ・シーンの奇才、プラッドが手がけたスコアを解体・再構築した本作の名は、なんと『鉄筋コンクリート』。元に戻っちゃった?
そんな遊び心あふれるタイトルが付けられた本作は、強力なリミキサー陣が参加したものとなっています。そのメンツは、プレフューズ73、アトム、パラ・ワン、マシュー・ジョンソン、ゴー・ホーム・プロダクションズ、8-BIT、そして大沢伸一など、各クラブ・シーンを代表するアーティスト計12組。中でも、特に注目なのはデリック・メイでしょう。「Intro (My Kung Fu Remix by Derrick May)」は、彼にとって約13年ぶり!の新作リミックスになります。
デトロイト・テクノのイノベイターは、なぜ長きにわたる封印を解き、今回リミックスを手がけたのか? 本作のリミキサー陣を代表して、デリック・メイからお話をうかがいました。なお今回、本作『鉄筋コンクリート』と同時に、DVD版『鉄コン筋クリート』もリリースされます。
——今回、あなたが『鉄筋コンクリート』のリミックス企画に参加した理由を教えてください。
「映画『鉄コン筋クリート』の良い点の一つは、クラブに行かない新しい世代が、この映画を観ることで自然とクラブ・ミュージックに触れられることだと思う。プラッドがサウンドトラックをやっているからね。そこには、クラブ・ミュージックが、クラブ・ミュージックを知らない人々に伝播していく可能性がある。僕がこのリミックス企画に参加した理由は、それなんだ」
——なるほど。映画にはより多くの人がクラブ・ミュージックに触れられる間口の広さがある、ということですね。
「そうだね。映画という媒体を通して若い子にクラブ・ミュージックを届けられるのは、非常に良いことだと思ったんだ。というのも、最近の音楽シーンでは、ダンス・ミュージックへの応援が希薄になってきていると感じていて、僕はこの先がちょっと心配なんだよ」
——あなたのリミックス作品は、約13年ぶりになりますね。久しぶりのリミックス制作は、いかがでしたか?
「確かにブランクがあったから、難しかったねぇ。でも、音楽をつくるという意味で、良いきっかけになったと思う」
——あなたの代名詞とも言える、派手なトリックを抑えた仕上がりですね。どのようなリミックス・プランを練りましたか?
「リミックスは、“いかにもデリック・メイ”という感じに、やろうと思えばいくらでもできる。でも今回は、あまり極端なダンス・リミックスにはしたくなかったんだ。今回のリミックスのポイントは、ダンス・ミュージック・ファンのためにダンス・リミックスをつくることではなかったからね。だから、フィルムのこと、原曲のスコアのことを考えて、あくまでもオリジナルのイメージを中心に据えたリミックスにしたよ。つまり、わがままにならなかった、ということさ。とはいえ、自分のカラーは出てしまうものだけどね」
——確かに、あなた独特のタッチは健在ですね。
「そうだね。実はこれから再びスタジオに戻って、3分間くらいに短くエディットする予定なんだ。というのも、最初に制作したとき、ついついエピックな、長尺のリミックスをつくってしまったから。できあがったトラックを実際に聴いてみて、少し長過ぎるし、ちょっと方向性を間違ったかもしれないと感じたんだよ」
——ところで日本では、以前からテクノとアニメーションの間に、ある種のつながりが存在します。これは、あなたにとって理解できることですか?
「日本のそういったアニメは、アメリカのカートゥーン(子供向けアニメ)とは全く違うね。もっとアートフォームなものだと感じる。だから、こうした作品で使用される音楽が、テクノに限らずシンセサイザー・ミュージックであることも分かるよ。シンセサイザーは、僕らの暮らすリアル・ワールドとは異なる世界を表現しやすい楽器だからね。その点で、シンセ・ミュージックとアニメの世界には、共通するものがあるんじゃないかな」
——『鉄コン筋クリート』にも、そうした“リアル・ワールド”とは異なる世界を感じますか?
「この映画を観たときに感じたことは、“スコアに関してはもっと良いものができたんじゃないか?”ということだ(笑)。デトロイトのアーティストを起用したなら、もっと良いスコアになったと思う。 例えば、カール・クレイグとか、URとか、ケニー・ラーキンとか、ルシアーノとかね。彼らには才能がある。でもまあ、プラッドでOKかな!(笑)」
——さすが、デトロイト・テクノ・ゴッドですね(笑)。
「でも今回、映画のスコアをイギリス人が担当したことは、すごく良いことだと思う。というのも、日本のアニメーションには、まだまだ小さな世界から発信されているという印象がある。だから、ちゃんとした海外マーケットがまだ確立されていないと思うんだ。その意味で、今回のようにプロジェクト自体を国際化していけば、もっともっと作品が広がっていくからね」
interview FUMINORI TANIUE
CD
鉄コン筋クリートREMIX
鉄筋コンクリート
(JPN) ANIPLEX / SVWC-7470
tracklisting
01. Intro - My Kung Fu Remix by Derrick May
02. Ratsback2 - Saitone Remix
03. city - Valou Remix
04. Dawn & Dusk Chase - Go Home Productions Remix
05. Ratsback 2 - drumcomputer nerd remix (Remixed by Atom TM)
06. Thai Boxing - QP Mix
07. Bar Kimura - Vex'd Remix
08. Snakes Lair - 8-bit Remix
09. Ratsback - Prefuse 73 Remix
10. Dragon Chase - Mathew Jonson's System100m Mix
11. Kiddie Castle - Para One Remix
12. White's Dream - Shinichi Osawa Remix
DVD
鉄コン筋クリート
(JPN) ANIPLEX / ANZB-5022(完全生産限定版:DVD2枚組)
(JPN) ANIPLEX / ANSB-5022(通常版)
原作:松本大洋(小学館刊)
監督:マイケル・アリアス
出演:二宮和也/蒼井優ほか
音楽:PLAID


