DISCO TWINS インタビュー/LOUD141号
DJ TASAKA & KAGAMIによる奇跡のテクノ・ポップ
それぞれが精力的にソロ活動を行っているDJ/プロデューサー、DJ TASAKAとKAGAMIによるDJユニット、ディスコ・ツインズ。1999年に同名のパーティーを起点にスタートしたこのチームは、アッパーなテクノ~ディスコ・トラックを連発していくDJスタイルで着実に人気を獲得。2003年にはミックスCD『DISCO TWINS MEGA MIX』をリリースしている。 そんな彼らが、ディスコ・ツインズとしては初のアーティスト・アルバム『Twins Disco』をリリースした。吉川晃司、セイジ(GUITAR WOLF)、宇多丸(RHYMESTER)、オオヤユウスケ(Polaris/ohana)、KAORIをフィーチャーした今作は、全曲がヴォーカル・トラックという内容。「あわせKAGAMIの現実」では、なんとKAGAMIによる初ヴォーカルまで聴くことができる。アップリフティングなダンスビートの上で、ポップなメロディや様々なアイディアが舞い踊る様子は、ディスコ・ツインズの真骨頂といった趣きだ。
フジ・ロック・フェスティバル、ライジング・サン・ロックフェスティバル、WIRE06に出演した後は、吉川晃司との新ユニット構想もあるというDJ TASAKAとKAGAMIから、天性のスパーク感覚が詰まった今作について話を聞いた。
二人でアルバムをつくるんだったら、
対象がパーティーに来る人だけに限定されないものにしようと思いました。(DJ TASAKA)
一人で壁あてをしていたのが、二人でのキャッチボールになると、
すごくクリエイティヴになるんです。(KAGAMI)
づくとどんどんポップになっていく感じは、傾向としてありますね。
その点はディスコ・ツインズのDJにしてもそうなんです。(KAGAMI)
歌メロは、カガミ君が鼻歌で考えたんです。
DJを一緒にやっているだけじゃ分からない才能です。(DJ TASAKA)
―今作はディスコ・ツインズとして初のアーティスト・アルバムになりますね。構想はいつ頃からあったんですか?
DJ TASAKA(以下 T)「以前から、二人で地方に行った帰りの新幹線とかで“こういう曲があったらいいよね?”なんて話はしていましたけど、実際にアルバムをやろうということになったのは今年の春先です」
KAGAMI(以下 K)「InKがリキッドルームでライヴをやったとき(3月31日)に、ヴォーカリストの話をしたよね」
―アルバム・コンセプトについては、どのような相談をしましたか?
T「現場でバンバンDJ素材として使えるモノは、お互いに黙っててもつくれちゃうんですよ。だから、せっかく二人でアルバムをつくるんだったら、対象がパーティーに来る人だけに限定されないものにしようと思いました。具体的には、DJが爆音で使って初めて有効なものではなく、ラジカセの小さな音で、家や自分の部屋、ワンルーム・マンションなどで聴いても楽しめるようなものにしたかったんです」
K「もちろん、それぞれがリリースしてきたミックスCDや、ageHaでかかっているようなクラブ・トラックの要素もしっかり踏まえて、その部分も高めながらつくりたかったんです。今回は構成的にも、そういう感じになったと思います」
―アルバムは短期間で完成していますね。曲づくりはどうやって進めたんですか?
T「ソバ屋の例えでいきますね。もともとタサカ屋とカガミ屋という二店は、それぞれ開店営業をしていました。で、新たにディスコ・ツインズ屋というソバ屋を開店するにあたって、カガミ屋のソバ粉にタサカ屋のソバ汁を合わせても、ディスコ・ツインズ屋のソバは美味くならないんです(笑)。ディスコ・ツインズ屋はディスコ・ツインズ屋として、二人でダシからつくり始めないと美味しくないんです。だから、一緒にソバ畑に行くところからスタートしました」
K「でも、そこに持ち寄るアイディアは、既にタサカ屋やカガミ屋で培ったものなんです」
T「お互いの味も知っているんですよ。だから、それを踏まえて一緒に厨房に入った。で、今回はソバに結構豪華な天ぷらを乗せようというアイディアがあったんですが、思いのほか良い天ぷらが揚がってきて、それがお店の外で待っていた(笑)。だから、素早くソバを打ったりダシをとらなくちゃいけなかった。タサカ屋はダシが得意だからダシをとって、その間にカガミ屋は得意のソバ打ちをした。そんな感じだったんです」
―スムーズに行く部分は、どんどん分担作業をしていったんですね?
K「“なるほど、だからInKや琉球ディスコはいっぱい曲がつくれるんだ”って思いましたね(笑)。一人で壁あてをしていたのが、二人でのキャッチボールになると、すごくクリエイティヴになるんです」
T「キャッチボールの他に、今回は天ぷらの揚げ方を二人で考えたんですけど、その点での収穫が大きかったですね」
―豪華な天ぷら(笑)は、どうやって選んだんですか?
T「Inkのライヴのときに話し合ったリスト段階では、相当言いたい放題でしたね(笑)。“デジタル・ドラムのスネアに合うのは、この声”とか、“透明感のある男性ヴォーカルで爽やかに響くのは、この声”とか、そういう選び方をしました。ヴォーカルを音色として選ばせてもらう感覚でした」
K「結果的に、一番はじめにリストアップした人の名前がわりと残りました。僕の場合はiPodが大活躍で、音色を選ぶようにiPodの曲を聴いて、“オオヤ(ユウスケ:Polaris/ohana)君の声はすごい滑らかな、ポルタメントがかかったようなシンセの音だな。で、キーは高めよりも低めでいくとよりいい男性ヴォーカルだな。じゃあこの曲(「SUNSET/SUNRISE』)にはオオヤがいいな”とか、そういう感じでした」
T「何かザクザクした男のラップだったら、宇多丸さん(RHYMESTER)の声はパーカッションのように聞こえるな、とかね。図々しく選ばせてもらいました(笑)」
―吉川晃司さんをフィーチャーした「Juicy Jungle」や「Thunder Storm」のインパクトは強烈ですね。そこで印象がロックされてしまうのかものしれませんが、全体に歌謡曲やJ-POPといった日本のポップ・ミュージックのイメージがあります。今作では、その点を意識しましたか?
T「“歌がある=ポップ”ということでは必ずしもないんですけど、先ほど言ったコンセプトをふまえて考えていったら、自ずと“意味の分かる日本語で、何回か聴くと口ずさめるようになる歌”ということになったんです」
K「まあ、気づくとどんどんポップになっていく感じは、傾向としてありますね。その点はディスコ・ツインズのDJにしてもそうなんです。気づくとミキサーのゲインが上がっていて、エフェクトはディレイだらけになっていたりする。そんな盛り上げ癖にも通じるのかな(笑)。とりあえず、基本的に“明るい曲をつくらなければつくらなければ...”という思いでつくった曲は一曲もないんですよ。自分の知識の限界部分で、これはダークな感じに聞こえるだろうと「Thunder Storm」をつくったということはあるんですけど」
―そうなんですか。とても明るい曲調の曲が揃っていると思いますよ。
T「...僕らは、そういう人達なんだろうね(笑)」
K「あと、歌モノをつくってみて僕が思ったのは、僕たちがヴォーカリストを指名して、歌詞も完成したうえで歌ってもらうと、その途端に曲も表情が増したり変化したりするということなんです。つくづく感じました。いろいろと予想をつけてオファーしているものの、ご本人が登場して実際に歌うと、本当に凄い“天ぷら”が揚がってくるんです」
―吉川晃司さんには、なぜ参加してもらおうと思ったんですか?
T「狙ったわけでも何でもなく、動機はいたって単純なんです。「LA VIE EN ROSE」とかが好きなんです」
K「僕はけっこう考えたよ。ココに、ドカ~ン!とした味を入れたいなって。こういうアルバムをつくれるのは、僕たちの強みだから。吉川晃司さんの後にGUITAR WOLFのセイジさんって、普通のコンピレーション・アルバムじゃ絶対にできないと思う」
―そのGUITAR WOLFのセイジさんをフィーチャーしたのが「スーパーゾッキー2300」ですね。彼には、どのようなオファーを出したんですか?
T「セイジさんの場合は、“暴走する感じのトラックだから、ぜひセイジさんに未来の暴走族というテーマでいかがでしょうか?”と投げたら、“オッケー”という言葉をいただきました。スタジオに来たときには、もうこのストーリーで歌詞ができ上がっていましたね。でも、実は今作の中で一番bpmが遅い曲なんだよね」
K「うん。バイクの音ももらいました。“なかなかエンジンがかからないところから始めてください”とかリクエストして(笑)。今回、声をエディットしてループっぽさを出したのって、この曲くらいなんですよ。面白い曲ができたなぁって思います」
―KAORIさんを「ADABANA」「Bite Me Dracula」で起用したのはなぜですか?
T「KAORIちゃんには、去年出したソロ・アルバムにそれぞれ参加してもらっていたので、最初から歌ってもらうことは決めていました。女の子はKAORIちゃんだけにしようと話していたんですよ。ツーカーでできる、ありがたい存在のヴォーカリストです」
―歌メロは、各ヴォーカリストと一緒に考えたんですか?
T「歌メロは、カガミ君が鼻歌で考えたんですよ。DJを一緒にやっているだけじゃ分からない才能です。それは、今回本当にスゴいと思いましたね。オレが音を出して作業をしていると、“ちょっと一回止めて”って言って、ヴォイス・レコーダーに自分が思いついた歌メロを入れたり、そういうことが結構ありました」
K「で、インゲンの天ぷらくらいに相当するのが僕の歌です」
―「あわせKAGAMIの現実」ですね?
T「遂に出た!って感じ(笑)」
K「謎の天ぷら。ガイドのメロディを歌うときは、ほとんど“ラララ”でやるんですけど、ディレクターが“誰が歌ってるの?”って言うから、“ボクです”と言ったら、“じゃ、カガミ歌えばいいじゃん”、“エエッ!!”って。天ぷらじゃねえな、コレ。たまにある“何だ?このメニュー?”ってヤツですね」
T「ジャムが...カレーに??? みたいな(笑)。今回、七尾旅人君の歌詞も含めて「あわせKAGAMIの現実」を聴いて、やっとカガミの頭の中がちょっとだけ見えた気がしましたね(笑)。10年くらいのつきあいになるのに、いまだにカガミの行動パターンって分からないんですよ」
―ところで、カガミさんは普段J-POPしか聴かないと聞いていますが、本当ですか?
K「圧倒的にそうですね。で、タサカさんとか卓球さんからいろいろ洋楽を」
T「洋楽!(笑)。洋楽って表現、スゴいね。でも、それは一貫してるね」
―DJ用のトラックとJ-POPでは、聴くときのモードが違うんですか?
K「うーん。とりあえず電気グルーヴを聴いてテクノが好きになって、結果的にミニマルな感じのトラックをプレイするようになったわけじゃないですか。だからね~、うーん...」
T「でも、J-POPを聴いていて、“この曲、もっとダンスビートだったらいいのにな”とか、そういう意識は芽生えるんでしょ? そいういった意識が、今回の曲になったんじゃないのかな」
K「うん。だから、あえてJ-POPしか聴かないというようなことじゃないんです」
T「まだ日本語のダンスビート・トラックをフロアで聴くことがあんまりないから、こういう話になるだけのことだと思うんです。まだ不自然な感じするもんね」
―実際に完成したアルバムを聴いて、現時点ではどんな感想ですか?
K「マスタリングのときに“ああ、かっこいいものができ上がったなぁ”って思ったけど、まだわからないなぁ(笑)」
T「完成して一週間くらいですからね。とにかく、“変わったもんができたなぁ”とは思います(笑)」
interview & text FUMINORI TANIUE


