ELLEN ALLIEN

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ELLEN ALLIEN インタビュー/LOUD138号

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ELLEN ALLIEN & APPARAT
Orchestra Of Bubbles
(GER) BPITCH CONTROL / BPC125

テクノとエレクトロニカの優美な出合い

ジャーマン・テクノ・シーンを代表する女性DJ/プロデューサーにして、BPITCH CONTROLレーベルのヘッド・オフィサーも務めるエレン・アリエン。同じくドイツを拠点とするエレクトロニカ・アーティストのアパラート。普段は異なるシーンで活躍する両者は、ドイツ政府が2000年に開催した音楽イベントで出会い、意気投合。コラボレーション・プロジェクトを始動させるまでになった。ここで御紹介する『Orchestra Of Bubbles』は、そのファースト・アルバムだ。  エレンによる情感豊かなメロディー・ラインとタフなエレクトロ・ビートを、アパラートが得意とするドラマティックな展開でブラッシュ・アップした今作。収録曲は、フロア直結のフィジカルなダンス・トラックから、メランコリックなダウン・ビートまで多岐に渡るが、その全てに二人の希有な音楽性が絶妙にブレンドされている。耳の肥えたダンス・ファン、エレクトロニカ・ファン双方を満足させる充実作だ。  エレクトロニック・ミュージックの新境地に足を踏み入れた二人に、コラボレーションの様子について話を聞いた。

―まずは、お互いのイメージについて聞かせて下さい。
ELLEN ALLIEN(以下、E)「人間的に信頼できる人。時間もしっかり守るしね。一方で、すごく神経質な一面もある。例えば、私は10時間キーボードを弾き続けても飽きないんだけど、彼は次々と制作を進めていくタイプ。そういった相違性も、制作を順調に進める助けになったと思う。今回のコラボレーションは彼に誘われたんだけど、まさか一緒に音楽をつくるようになるとは思わなかったわ。もともと彼は、一人でこもって制作するオタク・タイプなのよ(笑)。でもどうやら、それに飽きちゃったみたいね(笑)」 APPARAT(以下、A)「彼女の前向きな人柄は、やる気を与えてくれたし、共同作業を容易なものにしてくれたよ。制作は、僕にとっては共同作業のやり方についての講座みたいだった。今では一人で音楽制作をする方が難しく感じるよ(笑)」
―制作はどのように進めたんですか?
E「一緒にスタジオに入ったの。彼はコンピューターに向かいっぱなしで作業をしていたから、彼のニックネームは“マウスマン”だったわ(笑)。私はキーボードを弾いてメロディーを考えたり、歌詞を書いたりしていたの」
―タイトルの『Orchestra Of Bubbles』に込めた意味は?
E「“たくさんの言葉”という意味で、“オーケストラ”と“バブルス”という単語を使ったの。例えば、DJをやっている時、話しかけてくる人は多いんだけど、口からブクブクと泡が出ているのをイメージして、気にしないようにしていた。でも、それを意味のないことと思ってはいけないのかもしれないと最近は思うの。大切なメッセージが込められているかもしれないからね。くだらない話だと思っていても、後から思い起こすとポジティヴに取れたりするし、それでメランコリックになったりもするの。そういうことを繰り返さないという想いが、収録曲の「Bubbles」には込められているわ」
―エレクトロニカ調の女性ボーカル曲ですね。女性ボーカルはエレンさんによるものだとわかるんですが、男性ボーカルの「Leave Me Alone」は? ひょっとして...。
A「うん、僕だよ(笑)。人生初の歌う機会だったけど、今ではハマっちゃって、自分のプロダクションでも結構歌うようになった(笑)」
E「そもそも彼は“歌モノなんてイヤだ、面白くもなんともない!”と大反対していたわ。「Leave Me Alone」も最初は私が歌っていたんだけど、サウンドの方向性として彼に“もっと低い声で”と指示されたから、“じゃぁ、あなたが歌えばいいじゃない!”と言ってみたの(笑)」
―楽しいハプニングだったんですね(笑)。
E「その人の可能性を、周りの人が引き出すのは大切よね。例えば、小さい子の落書きを親が厳しく注意したら、そこで可能性は終わり。もし、その絵を褒めてあげれば、画家としての才能が開花するかもしれないのに。今作で得た大きな成果は、一人より誰かと作業する方が、より多くの可能性を生むと気づいたことね。これは、普段の生活にも当てはまるわ。例えば、一人で料理するより誰かと一緒の方が、いろんなものができるのよ。何より、誰かと一緒だと楽しいでしょ!?(笑)」
―そうですね。 楽しそうなスタジオ風景が目に浮かびますよ! では、今作の収録曲で最も気に入っている曲はどれですか?
A「あえて言うなら、ミニマル・パターンのモダン・クラシックというイメージがある「Retina」と、僕のIDMサウンドと彼女のビート感がクールなコンビネーションになった「Way Out」かな」
―エレンさんは、自身のWEBサイトに載せているDJチャートで、「Turbo dreams」をピックアップしていますね。
E「あのチャートには、シングルで手に入る曲を選んでいるの。「Turbo Dreams」は、今作からの1stシングルよ。技術的な面で好きな曲は「Way Out」「Jet」「Leve Me Alone」の三曲。もちろん全曲気に入っているけどね(笑)。ちなみに、今作からの2ndシングルは「Way Out」になるわ」
―今後の予定を聞かせてください。
A「このユニットでのフェス出場が、この夏たくさん控えているんだ。今はライヴ・セットの準備をしている段階。日本でのパフォーマンスも、年末頃に実現しそうだよ! 個人としては、来年2月リリース予定のニュー・アルバムを制作している。オーケストラル・エレクトリック・ロックといった感じのサウンドになるよ!」
E「BPITCHとしては、キキのアルバムを次に出すわ。その後は、サシャ・フンカによるミックスCD。サブ・レーベルのMEMOは、アナログ盤のみをリリースしていく、ミニマル・テクノのレーベルになるの。ファッション・ラインは、これから秋冬コレクションに取りかかるところよ!」
―ところで、最近音楽以外で興味のある出来事はありますか?
A「最近友達に“ミュージシャン以外の人生があるとしたら何がしたい?”と聞かれたよ。そこで僕は“何もしないのがハッピーだ”と答えたんだ。だってさ、そうすれば1日に12時間、好きなように音楽をつくっていられるから(笑)」
E「最近ハマっているのは、自伝や社会学の本を読むこと。出生率について書かれた本で面白いものがあったわ。最近は核家族が増えているし、出生率が下がってきている。結婚せずに一人で生きていく人も多いじゃない? そういった一人で暮らしている人の統計を取ると、家族を持って暮らしている人より寿命が短いらしいのよ。考えさせられる話よね。あとは、週に3回のヨガも楽しみね。ビジネス・ウーマンとして仕事をしたり、日々DJで世界を飛び回る忙しい生活をしているから、健康管理には気を配っているの。それから、週に一度、ボイス・トレーニングも受けているわ。仕事、趣味、友達、恋愛、人生の全てを積極的に謳歌しなきゃね!」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation KEIKO YUYAMA